Dさんは90歳を過ぎた一人暮らしのおじいさんです。
入院していると聞いたので、お見舞いに行ってきました。
Dさんは少しやせた顔で病院のベッドに寝ていましたが、私のことははっきりと覚えていて、「世の中はどうだ?」「小泉の後は誰が総理大臣になるのだ?阿部か?」などと相変わらず政治に対する関心は旺盛です。
入院してから今日で1ヶ月になるとの事でしたが、これまでも肺炎などに罹り何度か入退院を繰り返しています。
「今年は、これまでにない大雪なので出来るだけ長く置いてもらうといいよ」などと話をあわせてきましたが、社会的な入院は許されない現実があります。少し状態が安定すると、退院を迫られます。
大雪の今年、寒い家での一人暮らしなど到底出来るものではありません。退院を迫られたらDさんはどこで暮らすのだろう。不安な気持ちを隠しながら、「またくるからね」と病室を後にしました。

夜9時から、NHKの「タクシードライバーは眠れない」を見ました。
規制緩和によりタクシーの台数が一気に増え、同じパイの中で客を獲得するための熾烈な戦いを強いられている大阪のタクシードライバーの報道番組でした。客を奪うための値下げ競争や、労働時間を無視した長時間労働は、売り上げの低下とドライバーの健康や事故の多発といった悪循環を引き起こしています。
政府のうたい文句である「規制緩和により自由な競争が出来、利用者はより便利さを得ることができる」は、現実はルールを無視した過当競争と安全無視、労働者の生活破壊に結びつくことを、明らかにしています。
大型店舗の進出により、町の小売店がなくなってしまったと同じように、ルール無き規制緩和は私たちの暮らしを破壊することにつながります。