エレベーターに乗り込み、一番上のボタンを押す。
高速エレベーターは、一気に数百mを駆け上る。
照明の落とされた、黒とwenge色でシックにまとめられたエレベーターホールから、唯一照らされた光の路が、店内へと誘う。
黒い服を身に纏った非常に美しい女性が笑顔で出迎えてくれる。ここは、男女問わず、従業員を容姿も含めて選んでいると思われる。容姿をとやかくいうことは、褒められない。でも、それは明らかに才能の一部ではないのだろうか?
こういう場所に来て、次々と供されるホスピタリティに美しい笑顔が伴うと、カスタマーエクスペリエンスの満足度が更に上がる気がする。顧客は、味だけを買うのではない。景色だけを買うのではない。経験を買うのである。満足度は経験を構成する全てから作られる。でも、blogでこんなこと書くと、時々叩かれる。今さらいいけど。
名前を告げ、奥へと通される。Buona sera!という声があちこちからかけられる。
用意されたのは、左手には東京湾、レインボーブリッジ、正面奥には横浜、右手には東京タワーが見える席。
かつては、このビルのすぐ近くに勤務していたので、時間に余裕がある時など、ここにはちょくちょくやって来ては、90分くらいかけてランチ兼、ビジネスミーティングをしていたものだ。
夜に来るのは久しぶり。
黄昏から夜の帳がゆっくりと降りて来始めた頃の時刻に到着したために、窓の外のトーンが、徐々に変わって行くを楽しむ。東の湾の上空を少しだけ桃色に染めていた夕陽も、程なく存在感をそっと消した。
僕の目は、社会人になるまでは左右とも2.0だったのだが、色々あって一年目で0.7くらいになってしまった。乱視も入った。それ以降は、多分視力はそのままを維持している。
眼鏡をかけて夜景を眺めていると、呆れるほどの光の粒の作り出すキラキラしたうねりが美しくいつまでも観続けてしまいそう。でも、途中で眼鏡を外すと、手元にだけピントが合い、外の景色は、絞りを開いて撮影したポートレイトの背景のように程よくボケていて、グラスや、カトラリーや、そして伴に食事をする相手だけにピントが合う。

グラスの中の液体を通して、彎曲した夜景が像を結ぶのを観る頃には、すっかりリラックスしていた。
これらの光は、それぞれの窓や、車なんかから発せられている訳である。羽田から飛び立つ飛行機の光も見える。1つの光の先には、1人以上の人間の営みがある。
でも、生涯出会う人は、その1%にも満たない・・・のかな?
東京の人口が1280万人、通勤・通学で出入りする人々も入れると3500万人くらい。
すれ違うだけの人だったら未だしも、出会って、言葉を交わし、人生のひとときを共有する相手って一体どれくらいの比率なのだろう?
そう考えると人の縁って不思議だな、と思う。
こうやって、読んで下さっているあなたと、僕の関係だって・・・blogって不思議なメディアですね。。。
奇しくも、先週あたり発表された、現在国内にあるblogの数も都民とほぼ同じ1300万らしい。すごい数だ。もっとも、blogなんて書いていない日本在住の人が、未だ90%以上いる、ってことだけど。メディアの論調は、10%に達した!ということを大げさに取り上げていたけど、絶対的な少数でしかない。そこを見誤ってはいけない。
とか言うものの、ご察しの通り、僕はblogに対して非常にpositiveなattitudeである。
この日頂いた、イタリアンは美味しくて、席をバーコーナーに移して頂いた、新鮮なフルーツをふんだんに利用したデザートも美味しかった。
夜の闇を最大限に生かした、薄暗い照明のインテリアが、妙に心地良い。
jazzの演奏をカウンターでリラックスしながら待っている、ピアニストのでぶっちょの黒人男性と目が合い、微笑を返す。
時々は、オシャレして美味しいモノを食べに行かないとね。最近、仕事ばかりしすぎていたかもしれない。。。
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