J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

小笠原シジミ

2007年09月08日 | 緑の仲間

ああ、1週間ほど浮世を離れて、心の洗濯をしたいな、と思うのだったら、
昆虫同好会の清邦彦さんなら、小笠原諸島を勧めてくれる。

なにしろ、東京都だが、離れて1000キロ、船は6日に1便なので、乗船したら5泊6日は決定。
25時間半の小笠原丸の船旅では、夜の間は看板の灯りを落とす配慮の下、たっぷりと天の川をなぞる星空の旅。

その昔はボニーアイランドと呼ばれた、各国の捕鯨船が急速と給油に立ち寄った、平和と交流の南の島。

東洋ののガラパゴス、小笠原諸島。

その固有種の動植物の多さは、島の成り立ちにある。




  小笠原が大陸と一度もつながったことのない「海洋島(大洋島)」であることと深い関係があります。
  小笠原は火山活動の結果、海洋の中に突然できた陸地ということができます。

  もちろん動植物がまったくいない状況からその歴史は始まるのですが、
  動植物の豊富な大陸からは陸続きではないために、生物は直接侵入することができず、
  例えば海流に乗って漂着する流木の中に入ってきたり、台風などに巻き込まれて運ばれたりという、
  偶然の機会によってのみ島にたどり着くことになります。

  そして、そのような少数の先祖から長い時間をかけて進化した結果が、
  現在のような固有種の豊富な独特の生物相がみられる島なのです。
                     http://nh.kanagawa-museum.jp/tobira/8-3/karube.html 
                      *小笠原の固有昆虫は今~神奈川県立生命の星・地球博物館




到着した島では、大小30あまりの島々があり、無人島へ渡ることも出来る。
マリンスポーツもあり、クジラやイルカのウォッチングは陸からでも楽しめ、
約4割が固有種の植物を見ながらのトレッキング、夜にはナイトツアーも。

清さん、夜のお散歩にも、もちろん参加した。
星空は十分に楽しめるし、夜の暗さが十分な中で、夜光茸グリーンペペの緑に光る森、浜辺の夜光虫の煌めき、
大ヤドカリやカニの夜の散歩、小笠原大コウモリがリュウゼツランの蜜を吸いに来る様子、と贅沢な内容。

ああ、まったくうらやましい。


〇ナイトツアー・スターウォッチング
http://www.ogasawaramura.com/playguide/nighttour.html

〇小笠原村観光協会
http://www.ogasawaramura.com/

〇小笠原村
http://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/



小笠原を夏の旅に選んだのには理由がある。
清さんは、昆虫同好会のチョウ屋さん。
小笠原固有種のオガサワラシジミの絶滅が近い、と見に行ったのだった。

実は、小笠原の動植物は、1980年代から急速に奪われつつある。
既に絶滅した種も少なくない。

この原因を探ってゆくと、持ち込まれた動植物によるものだと判明した。

グリーンアノール。
中南米原産のイグアナ系トカゲが、昆虫を捕食して大繁殖した。
島のあちこちには、アノールホイホイとアノールスベールが設置されていた、と写真を見せてくれた。
が、到底間に合わない。
〇侵略的外来種グリーンアノールの食害により破壊された昆虫相の回復に関する研究
http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/bonin/ecosub4.html



他にも、ネズミ、ノネコ、食用に持ち込まれ野生になったノブタ、ノヤギ、植物では薪様に植林されたアカギ。

アカギは、葉から他の植物にとっての忌避剤となる化学物質を放出して、一切、下生えを許さない。
だから、ずべてアカギの森と化す。




カタツムリの貝殻が累々と並ぶ海岸の写真も見せてくれた。
いまは、ニューギニア・ヤリガタ・リクウズムシというプラナリアが寄生して、カタツムリを食べるらしい。
名はお里を現す。ニューギニアからやってきたのだ。
〇小笠原のカタツムリを滅ぼす侵入者~独立行政法人 森林総合研究所
http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/Press-release/2005/ogasawara20060201.html

小笠原におけるカタツムリは95種、そのうち88種が固有種で、父島ではそのうち7種のみが見られる現状。
〇理科かわらばん
http://miyuken.com/ken/archives/2006/08/post_1068.php#trackbacks



激しい環境変化の中で、固有の生態系の変化を経験している小笠原。
台風9号は大丈夫だったろうか。
見れば見るほど美しく、心惹かれる島々。

清さん、今回は、素晴らしい島をたっぷりと味わったものの、
会いに行ったオガサワラシジミには、ついぞお目にかかれなかったそうだ。
また行きたい、とその魅力の虜。

行ってみたい。。。。。



〇小笠原プロジェクト
http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/bonin/

〇日本チョウ類保全協会
http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub274.htm

〇小笠原国立公園~セブンーイレブンみどりの基金
http://www.7midori.org/lets/park/ogasawara/03.html



オーストラリア、シドニーで開かれているAPEC首脳会議では、
地球温暖化対策の数値目標を盛り込んだ特別宣言のために時間を割き、採択した。


「気候変動、エネルギー安全保障とクリーンな開発に関するシドニー首脳宣言」。
2013年以降のポスト京都議定書の国際的枠組みにおいては「包括性」のほか、
各国の経済状況を考慮した「差異のある国内事情と能力の尊重」が重要だと指摘。
省エネや、原子力発電を含む代替エネルギーの重要性も強調した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000922-san-int
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000078-mai-int




開催地オーストラリアは、一国といっても、大きな大陸だ。
オゾンホールの影響を受け、皮膚がん上昇を抑える紫外線対策に余念がなかったり、
今年は干ばつによる水不足で苦労をしている都市もあったり、さんご礁の減少と、様々な環境悪化の影響を抱えている。
生態系は、ご存知の通り、小笠原のように固有種が多い。移入動植物の影響も大いに受けた大陸だ。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/78192/

今年、環境問題を取りざたする声が一気に市民権を得たのは、
とても人間には太刀打ちできない天災を、世界各地で数多く体験しているからかもしれない。
そして「不都合な真実」のアル・ゴア氏は、今年のノーベル平和賞の候補者のひとりとなっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000116-san-int

フラッグ化したホッキョクグマは、2050年までには、現在の3分の2の6千頭から8千頭にまで減る予測も出た。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070908-00000115-san-int




以前にも書いたが、地球の環境の変化がどんな要因によるものなのか、いまの人類には未だ解明できていない。
幾つかの可能性を示唆するだけだ。

もともと環境は変化を続け、変化に合わせて地球の生態系も変わり続ける。

そして地球はあり続け、あり方に合った生物が存在を許される。

何が理由であろうが、人類に出来ることは、自分たちの首を絞める状況を可能な限り避けることだと思う。

水質汚染で水が飲めなくなる、水生生物汚染で食物がなくなる、海洋汚染につながり生態系が変わる、気候変動の要因になる、
大気汚染で病を増大させる、天候の異変をもたらす、植物を追いやる、などなどの図式は既に分かっている。


いま私たちは、自分たちの明日を、未来を、食いつぶしている。



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6 コメント

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小笠原 (はっちゃん)
2007-09-12 20:01:55
何を隠そう~隠そう。今を去ること23年前の幼稚園に上がる前、8日間程小笠原に滞在したことがありまっせ。新聞は1週間分まとめて内地から配達、TVは
全戸ケーブルで、夕方~21時位までの時間指定の1局限定版。NHKあり民放ありの楽しい放送だった。
信号は1箇所だけ、鉄筋5階建て、全室エアコン付きの豪華ホテルは、完成間近2億円位で売りに出されてたなぁ。ああ懐かしい。また行きたいけど、28時間の再びの勇気が持てず23年・・・。
へえ。。。。 (本人)
2007-09-13 00:04:52
離島の南の島らしい話だね。
その頃と、変わったんだろうか。
自然は変わったらしいけど、生活は。
行ってみたいなあ。帰らなくなりそうなのが怖いけど、新婚旅行には、よさそうだよなあ。
Unknown (KAYO)
2012-06-04 07:07:59
素敵な写真をありがとうございます!
あ、おそれいります。 (本人)
2012-06-14 21:12:22
とんでもない。被写体とカメラが偉いんです!!
喜んでいただければ何よりです。
シジミチョウ (Yamasanae)
2019-06-24 22:06:00
オガサワラシジミというよりは、ヤマトシジミに見えるのですが?
そうです、そうです! (本人)
2019-06-24 23:48:48
すみません、この当時、ずっと私が出歩いた先で出会った自然を撮影してはアップしていてい、話の内容のイメージ写真と文、という構成でした。誤解を生みそうですね。
おっしゃるとおり、オガサワラシジミの写真ではありません。失礼しました。。。

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