カルデロン・アラン・クルズ一家に在留特別許可を!

本ブログは、カルデロン一家の在留特別許可取得に向けての活動を報告するものです。

のりこ基金立ち上げとご支援のお願い

2009-03-12 19:46:20 | 弁護士から
1 本日カルデロン一家の父アランと母サラが東京入国管理局に出頭しました。


2 本日の手続において法務省入国管理局による強制退去が一層現実的なものとなってきたと判断せざるを得ない状況になりました。

3 カルデロン一家は最後まで法務大臣に対して一家全員に対する在留特別許可をお願いしたいと考えています。この決断に現在も変更はありません。法務大臣にはぜひとも再考をお願いしたいと考えています。


4 この間,非常に多くの方から“(のりこの)里親になってもいい”,“支援をしたい”というありがたい申入れをいただきました。ただ,この間家族としては家族3名全員での在留を希望している家族としてはこれまで,お申入れに対して正面からお答えすることができませんでした。これまでのお申入れに心からの感謝を申し上げます。


5 ただ,現時点においてこのような状況を迎え,のり子の今後の日本での生活を支えるための経済的な基盤が必要になることは明らかです。
そこで,のり子の「就学費と生活費の援助」と,「のり子の本邦においての生活を援助」を目的としてのりこ基金を立ち上げます。

今後,ご支援は下記基金宛にお送りいただきますようにお願いを申し上げます。皆さんからの支援によって,のり子の日本での継続的な就学・生活を支え,ひいては家族を支援したいと考えます。

 心から,皆さんからの支援をお願いいたします。よろしくお願いします。


<のりこ基金>(ゆうちょ銀行) 

ゆうちょ銀行からお振込みの場合:10070 31787101 ノリコキキン
その他銀行からお振込みの場合:
   店名:00八(ゼロゼロハチ)店番:008
   口座番号:普通3178710
   口座名義:のりこ基金(ノリコキキン)


以上


2009年3月9日
弁護士渡辺彰悟


ノリコの意思の尊重を!

2009-03-11 11:14:23 | 弁護士から
今般,人権理事会の特別報告者から日本政府に寄せられた照会の内容は下記のようなものであることが明確になりました。



 【ノリコ・カルデロンに関する照会

1 上記要約に主張されている事実は,正確か

2 カルデロン・ノリコ本人もしくは代理人から不服は申立てられたか?もしそうなら,本件に関して行われたと思われる何らかの調査,及び司法もしくはその他の審理の詳細を,そして可能であればその結果を教示されたい。もし審理が行われなかったならば,もしくは審理の結論が出ていないなら,その理由を説明されたい。

3 カルデロン・ノリコの教育の権利は貴政府によりどのように保障されているのか,情報を提供されたい。

4 (日本)政府は,子どもの最善の利益という法的原則の実施,ひいては少女カルデロン・ノリコが家族とともに過ごせ,学校に通い続け同世代の子ども達と社会的関係を発展させ,さらに彼女の両親の(入管法上の違法な)状態に基づいた差別から保護されるため,何らかの方策を講じたか。それらの方策の実施につき,詳細及び可能であればその結果を教示されたい。もし何の方策も採られていないなら,その理由を説明されたい。

5 日本で外国人の両親から生まれた子どもを保護するための法的枠組みにつき,情報を提供されたい。子どもの両親の入管法上の(違法な)状態を理由に適用可能な法律の違いが生じる場合は,その違いに言及されたい。】



 日本政府は,これらの照会に対して現在回答を準備している段階です。


 その回答をする段階である現在の時点で,入管はこの家族を丸ごと収容し退去しようとしているということです。



 この質問に示されている内容から,特別報告者の基本的な見解を読み取ることができます。つまり,この子どもに対して,「教育の権利が与えられなければならないこと」「ノリコが家族とともに過ごし,学校に通い続け同世代の子ども達と社会的関係を発展させることが,子どもの最善の利益にかなうこと」,さらに「両親の入管法上の違法な状態に基づいた差別から子どもは保護される必要があること」が示されています。


 今回の日本政府・入管がとろうとしている手続はこの見解に比べて異質のものとなっていることは明白です。両親の帰国意思の明示的な表明がなければノリコを保護しないと言っています。それは「両親の入管法上の違法な状態に基づいた差別から子どもは保護」されなければならないとする立場とは対極にあります。両親が自ら帰国する意思を明示しない限りノリコも収容・送還しようというのですから,それは教育の権利を奪い,同世代の子ども達と社会的関係を発展させようとする子どもの最善の利益を真っ向から否定するものです。

 しかも,今回私が最大の問題と考えるのは,ノリコの保護を両親の意思に従属させようとしていることです。子どもの権利条約12条1項には「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」とあります。ノリコは自らの意思によって,どんなことがあっても日本に過ごしたい希望しています。そしてそのことは入管にも伝えています。法務大臣はノリコの在留を認めることはできるとしました。そのことを認めておきながら,その在留保護を両親の意思に従属させようとするのは矛盾です。




 これまで,家族は3人での在留を求めてきましたし,その考えは本日までのところ変化はありません。ただ,どんな形になっても,ノリコは残したいというのも両親の気持ちであり,ノリコの意思でもあります。

 このノリコの意思を尊重する手続のとられることをこころから願っています。


以上


2009年3月11日
弁護士 渡辺彰悟

3月9日の出頭の前に

2009-03-06 09:30:20 | 弁護士から
3月9日の出頭日が迫っています。


前回仮放免の延長が9日まで認められた際に,今回の延長が基本的に最後であると入管で告知されています。次回の出頭の際に帰国日を決めるなり,入管の提示した二つの道のいずれかを選択しなければ収容という事態が現実的なものとなってきています。


この間,家族と話してきました。ノリコちゃんが今後とも日本において教育を受けたいという気持ちは強く,ノリコちゃんが帰国するという選択はありません。では両親は帰国するという選択は?といえば,それも家族において選択するということはできませんでした。両親にとっては,13歳の自分の子どもを自分たちの意思で日本に置いて帰国するという選択はできないのです。

この間,報道でも流れたように,国連の人権理事会の特別報告者が日本政府に対してカルデロン一家の問題について,その処分に関する説明を求めています。2月19日と聞いています。そこから30日以内に日本政府が回答をすることになっています。国際機関が関心を示し,条約の履行として問題があるとした案件について収容や退去を強行する姿勢を入国管理局が示していることに非常に驚きます。

この一週間,この問題に関心をもっていただいた多くの国会議員の方々や,NGOによって法務省・外務省に問題意識が伝えられましたが,3月9日に向けての姿勢は非常に厳しいとみられます。


法務大臣は子どもの在留を認めるとしました。その決断をしながら,なぜ両親を切り離そうとするのか私には理解できません。親子の分離を強制することは家族の保護をうたった自由権規約に反する結果となります。
そして何よりも私は子どもに対してそのような日本の姿勢を示すことが残念です。

ノリコちゃんの所属する音楽クラブでアンジェラアキさんの「手紙〜拝啓 十五の君へ」が歌われています。その中に「今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は 誰の言葉を信じて歩けばいいの?」というフレーズがあります。いろいろなことに自ら葛藤し乗り越えていく自然な成長の中でも,このフレーズは多くの中学生・高校生の心を捉えていると思います。しかしノリコちゃんは,国家という力によってこのフレーズの状態に置かれています。なぜ,13歳の彼女に日本という国はその状況を迫るのか。この子の平穏な成長のために,周りの大人たちの言葉を信じて一歩一歩前に進むことができるように受け止めてあげるのが日本という国の度量であってほしいと私は願います。

先日,イスラエルに文学賞受賞のために行った村上春樹氏は,講演の中で「私たちはそれぞれが多かれ少なかれ卵なのです。世界でたった一つしかない、掛け替えのない魂が、壊れやすい殻に入っている--それが私たちなのです。私もそうだし、皆さんも同じでしょう」(毎日新聞社Webサイトからの引用)と語っています。そして、講演の最後に伝えたいのはたった一つであるとして「私たちは皆、国籍や人種や宗教を超えて人間であり、体制という名の頑丈な壁と向き合う壊れやすい卵だということです。どう見ても、私たちに勝ち目はなさそうです。壁はあまりにも高く、強く、冷酷です。もし勝つ希望がわずかでもあるとすれば、私たち自身の魂も他の人の魂も、それぞれに独自性があり、掛け替えのないものなのだと信じること、魂が触れ合うことで得られる温かさを心から信じることから見つけねばなりません」(同)と述べています。

法務省・入管は強い力を持って彼ら家族を引き離そうとしています。村上氏が語っているとおり,その力に抗するには,私たちがこの家族3つの「卵」を掛け替えのない魂を持つものとして尊重し,そして,ことのほか,ノリコちゃんというもっともやわらかく壊れやすい殻をもった子どもの「卵」を守る決断をすることだと私は思います。このやわらかな卵を守るために両親の存在が必要であることははっきりしています。同時に,たとえ彼らが不法入国という形態で入国した人たちであっても,その独自性があることを認めることも必要だと私は思います。
彼らを日本で保護することで,私たちも自分たちの独自性を確認していくことができる,一人ひとりを掛け替えのない個として認め合うことができるのだと思っています。そして,それは,何よりも子どもに優しい社会でもあると信じます。


皆さんの支援を最後まで心からお願いしたいと思います。


以上


弁護士 渡 邉 彰 悟

Amnesty International(アムネスティインターナショナル)からの要望

2009-03-05 11:31:59 | 一家プロフィール
Amnesty Internationalとは:

アムネスティは、人権侵害に対する調査と、独立した政策提言と、ボランティアによる市民の力に基づいて活動する国際的な人権団体です。すべての人が「世界人権宣言」や、国際法に定められた人権を享受できる世界の実現をめざしています。
(アムネスティ・インターナショナル・日本ホームページより)

国際的人権団体で、国連との協議資格を有するアムネスティが、今回のカルデロンさん一家の件につき、以下のような声明を公表しています。


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『日本 : フィリピン人夫妻の退去強制は人権侵害』


アムネスティは本日、日本政府に対して、アラン・カルデロンとサラ・カルデロンの夫妻が、13歳になる娘ノリコ・カルデロンと共に日本に残れるよう、2人に対する退去強制手続きを停止するよう求めた。

ノリコ・カルデロンは、日本で生まれ日本語しか話せない。彼女は法務省から、両親と共にフィリピンに帰るか、日本に残るために在留特別許可を申請するかのどちらかを選択しなければならない、と命じられた。しかし、政府は両親に対して、彼らが非正規滞在であることを理由に退去強制を行おうとしている。ノリコは、日本に残りたいという意思を公式に表明している。

「日本は、あらゆる政策において、子どもの利益を最優先に考慮する国際的な義務を遵守しなければならない。ノリコの両親に対する退去強制は、明らかに彼女の最善の利益に反するものである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。

日本も締約国である子どもの権利条約では、第9条において「締約国は、子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない」と規定している。

日本は、同規定について、出入国管理法に基づく退去強制の結果として子どもが父母から分離される場合に適用されるものではない、との解釈宣言を行い、この義務を免れようとしている。

アムネスティは、この解釈は受け入れられないものであると考える。「子どもの利益を最優先とする原則は、子どもの権利条約の中核であり、絶対に拒否できないものである。私たちは日本に対し、国際的な義務に従い、人間としての良識と基本的な人道の観点に基づき、この家族が一緒に日本で暮らすことを認めるよう要求する」と、ロジーン・ライフは述べた。

背景:
子どもの権利委員会は、2004年に発表した日本に対する最終所見の中で、「国内法制度が条約の原則及び規定を十分に反映していないこと」について懸念を表明し、日本の法制度が移住労働者の子どもを差別していると指摘した。

*この件に関するアムネスティ日本支部の声明(2009年2月27日付)はこちらからご覧いただけます。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index:ASA 22/004/2009
2009年3月5日
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また、アムネスティ・インターナショナル日本支部からも以下のような要請書が森英介法務大臣に提出されています。




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『日本支部声明 : 森英介法務大臣への公開書簡』

アムネスティ・インターナショナル日本は、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、2月27日付けで以下の書簡を森英介法務大臣に送付しました。

法務大臣 森 英介 殿

拝啓 貴下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対し、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、国連子どもの権利条約に対して政府が行った解釈宣言を速やかに撤回し、関連する国際人権基準を遵守するよう要請いたします。

2月27日、東京入国管理局は、フィリピン国籍のカルデロンさん一家に対して、一家で帰国するか、娘のカルデロン・のり子さんだけが日本に残るのかを3月9日までに決めなければ、3人を入管施設に収容して退去強制手続きに入ると通達したと伺っております。

これまで、日本の教育機関で学んでいた多くの子どもたちが在留資格を問われ、退去強制処分を受けてきました。今回のカルデロンさん一家のケースのように、父母との分離を要求される事例も繰り返されております。このような状況は、日本政府が批准している国際人権基準に明白に違反するものであります。

特に「子どもの権利に関する条約」では、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては子どもの最善の利益が主として考慮される」(3条1項)、および「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」(9条1項)等の義務を締約国に課しております。

日本政府は9条1項について、「出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではない」との解釈を宣言しています。しかし、このような解釈は、「子どもの利益の優先」を規定する同条約の趣旨と両立しえないものであり、今回の事案のような、就学中の子どもに対する退去強制や父母からの分離を正当化することはできません。

そもそも、日本政府の解釈宣言については、国連子どもの権利委員会が、1998年および2004年の日本政府報告書審査の際に発表した最終所見の中で、二度にわたってその撤回を日本政府に明確に求めております。

アムネスティ日本は、日本政府が子どもの権利委員会の勧告を受け入れ、速やかにこの解釈宣言を撤回すること、そして出入国管理における在留資格の認定や退去強制手続きにあたって、子どもの権利条約に明記された義務を誠実に遵守するよう要請いたします。今回の事案に関しましても、これらの点を踏まえ、子どもの権利を最優先に考えた対応を取られるよう、謹んで要請いたします。

敬具

2009年2月27日

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 寺中 誠

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**内は、アムネスティインターナショナル日本ホームページより抜粋しました。