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ミケマル的 本の虫な日々

『雪の階(きざはし)』


 『雪の階(きざはし)』 奥泉 光 読みました。


 この本はフィギュアの世界選手権を見に行った時に会場近くのモールの中の紀伊國屋書店で上を買いました。
読み始めたら面白かったので、下はアマゾンさんで購入。

 昭和の初期の戦前の物語。
読み進むうちに話は2.26事件に向かっていることがわかります。
この事件は太平洋戦争に向かう上で重要な事件なので、色々なノンフィクションや物語で書かれていますが、この本はまた新しい方向からの物語でした。
ミステリー仕立てで、神秘主義的なところも出てきたり、戦前の華族の華やかな社会が描かれていたり、戦争へ向かっていく政治や軍についての皮肉な視点もあり、盛り沢山な内容。

 語り手も場面によって変わるのですが、主人公と思われる華族の娘である笹宮惟佐子が初めに登場し、その後にカメラマンとして働く千代子が出てきて、二人で惟佐子の親友の死の謎を解こうとするところから物語は始まります。
初めは心中とされた友の死に疑問を持つというシンプルな物語かと思いきや、複雑で危険な雲行きになっていきます。
途中で結構な奇想天外な展開もあるのですが、それがなぜかそれほど不自然に感じさせず、最後に伏線回収されていくのがすごいなと思いました。

 これだけの盛り沢山な内容を破綻なく、最後まで面白く読ませてくれるのは作者の文章力なのかなと思いました。
奥泉さんの本って長いものが多いようなイメージですが、これも上下で長い!
でも、最後までどうなるんだろう?という興味を持って読み切れる本でした。
特に主人公の一人である笹宮惟佐子という人の描き方がこれまでにない感じ。
華族のお姫様ですごく美しいけれど、常軌を逸して頭が良い(笑)
頭の良さが数学的、科学的、それでいて神秘的な面もある。
そこがこのお話の秘密とも通じるのですが。
この惟佐子さん異論はあるかもしれないけれど、私は好きです。

 最近は色々な沼にハマっていて小説をあまり読んでなかったけれど、久しぶりに読むのをやめられなくなった本でした。



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