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ミケマル的 本の虫な日々

『道長ものがたり』

 
 昨夜は地震アラートにびっくり。
震度4の地震でしたが、こちらは地震が少ないので。
関東では多いけれど、こちらでは皆さんびっくりしただろうな〜。

 さて、少しずつ読んでいた『道長ものがたり』山本淳子著
読了しました。



副題は「我が世の望月」とは何だったのか
藤原道長の生涯を当時の貴族の日記、『小右記』(藤原実資)『権記』(藤原幸成)や
残っている和歌、道長の死後に書かれた『栄花物語』『大鏡』など、そして『枕草子』、『源氏物語』などの資料から考えるという本です。
平安中期のこの時代は日記や和歌など当時の資料が多く残っているので、詳細がわかるのがすごい。
道長本人も日記を残しているし、『紫式部日記』もその大部分を道長の娘である彰子が天皇の皇子を出産する様子に割かれていて、そのために書かれたものということもあります。

 そんな道長は三男だったため、上級貴族ではあるし頂点に近くにはいるけれど、父や兄のような頂点に立てるとは途中まで自分でもわからなかったようで、長兄、次兄の死によって、そしてライバルの自滅もあり、頂点に立ったという人。
その後は多くの娘を持っていたために天皇のに入内させ、その皇子を天皇にして外戚となるという方法を最もうまく利用した人でもあったのでした。
しかし、幸い(幸運)とともに恐怖もあっただろうと作者は考えます。
道長の幸運には他の人の不運があってのものだったので、当時はそれが怨念となるという恐怖が根底にあっただろうと。
何しろ、病気も死も怨念や祟りによると考えられていた当時ですから。

 そんな道長の幸運の一つはしっかりした妻を2人持ったことが大きかったんだなと、この本を読んで改めて思いました。
妊娠や出産で亡くなることも多いこの時代に、正妻である源倫子は2男4女、さらに源明子は4男2女を生み、二人とも長生きしています。
特に倫子の生んだ4人の姫は天皇や春宮に次々と入内して、道長は外戚として長く実力を持つことができたし、倫子の実家の財力によるバックアップも大きかったよう。

 大河ドラマを見る上でも、枕草子や源氏物語を読む上でも、藤原道長は欠かせない人ですが、その実像が興味深く読めました。
ものがたりという題名ですが、資料を元に詳しく書かれているので、想像力で書かれたところは少なくて、勉強になりました。
それにしても、一条天皇はとても聡明で才能もあった天皇だったのだなと思います。
そんな天皇が道長との関係も考えながらも、定子との愛も貫いたところも、しみじみしました。
定子は悲劇の中宮と言われているけれど、愛情という点では恵まれていて、栄華の中心にいた彰子は違う悩みが多かったのかなと。
千年前の愛や悩みや人間模様をこんなに身近に思えるって凄いなと思います。



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