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ミケマル的 本の虫な日々

『月と日の后』 読みました


 『月と日の后』 冲方丁

   


 何気なく本屋さんに行ったら、冲方さんの新刊が出てました。
そして、藤原彰子・一条天皇の妃彰子が主人公。
おまけに装丁がとっても素敵。
ということで、買ってきてしまいました。

 冲方さんと言えば、『天地明察』❗️
とても面白かった!
その後『光圀伝』『はなとゆめ』を読みました。

『はなとゆめ』は清少納言を語り手とした定子の物語でした。

 平安時代の一条帝の世に二人の妃がいて、それが定子と彰子
それぞれの父が藤原氏の兄弟であり、父達がライバル同士だった二人。
そして、一条天皇とこのお二人の妃が有名なのは、定子に支えていた清少納言と彰子に仕えていた紫式部が日本を代表する書物をそれぞれ残したためでしょう。

清少納言は随筆『枕草子』、紫式部は長編小説『源氏物語』
この歴史的な書物によって、定子と彰子の人生が千年後にも語られることになったって凄いなと思います。
そして反対に、この二人がそれぞれ素晴らしい女性だったからこそ、清少納言も紫式部も書物を書き、残す事ができたとも言えるのでしょう。

 この本は、彰子が語る彼女の人生の物語です。
どちらかというと、悲劇の妃としての定子の方を描いた物語が多いように思います。
定子は当時のお姫様の中ではとても博識で頭もセンスも良かったようで、その点が特に一条天皇とお似合いであったようです。
その素晴らしかった定子の宮廷の様子を残したいと清少納言は『枕草子』を書いたという。
しかし、藤原家の権力を持っていた定子の父が亡くなると、後ろ盾を失い、兄弟の失態もあり、立場が危うくなります。天皇の寵愛は変わらないし皇子も生みましたが、苦しい立場で3人目の出産の時に若くしてなくなります。

 定子が亡くなる少し前に入内したのが彰子で、こちらは定子の父の弟、藤原道長の娘。
彰子が宮廷に上がるところから物語が始まります。
12歳というまだ幼い時に宮廷に入り、一条天皇の妃の一人になるけれど、心も体も子供のままに一人心細く過ごす日々。

 しかし、ここから彰子は自分で感じ、自分で考え、とてつもない制約がある中で行動します。
何も不自由なく、反対に父の過剰な華美なしつらえと男子を生む期待の中で。

 これまでの多くの物語は定子が亡くなり、その後に彰子が一条天皇の皇子を生み、一条天皇も比較的若くして亡くなると、そこで終わっていたと思います。
しかし、彰子はそこから長生きします。
その生き様を描いているのがこの本です。

 とにかく宮廷の中の天皇と藤原氏をめぐる陰謀の数々、そして怨みの感情が渦巻く!
自分の娘を天皇に嫁がせて皇子を生ませ、その皇子を天皇にして権力を握るという藤原氏の権力掌握の方法がとにかく凄い。
藤原道長がこの時代にこの方法で一番栄華を極めていました。
その中で、女性達は駒のように動かされ、皇子を出産することのみを望まれ、さらに当時のことなので出産で亡くなる事が多かったのが分かります。
また、権力を集中するために近親婚も多い。
いとこはもちろん、おじやおばと結婚するのは当たり前って感じ。
血統図を見ると非常に混乱してます😅
そんなこともあってか、この時代の天皇は短命な方が多いようです。

 そんな中で、彰子の成長と人生を描いたこの本は興味深くもあり、彰子への共感もあり、今まであまり知らなかった一条帝の後の宮廷の様子を垣間見ることもでき、とても面白く読みました。
しかし、やたらと宮廷に火事が起きるのはなんとかならなかったのかな〜、なんて思ったり😅
ともすれば、事実の羅列になりがちなところも、冲方さんの筆力で先へ先へと読み進める事ができるノンストップ本でした。

 装丁もとても素敵なので、こういう本を手に持って読むっていうのがやっぱり読書の醍醐味だなと思うような本でした。
 
 カバーをとった表紙も凝っています(写真が下手ですが)

   



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