バンテージ・ポイント

評価★★★★


息つく暇をまったく与えない緊迫感あふれる展開に手に汗をにぎる。


テロ撲滅の国際サミットが開催されるスペインのサラマンカ。
大観衆を集めた広場では
アシュトン米大統領によるスピーチが行なわれようとしていた。

だが、演説が始まろうとした矢先
一発の銃声が轟き、大統領が狙撃されてしまう。

直後の演台からの大爆発により多くの群集が犠牲となり
一瞬にして広場が混乱状態に陥る。

大統領狙撃の瞬間を目撃した８人の異なる視点から
暗殺事件の真相に迫るさまをスリリングに描く。

この映画、過去に観た
時間軸を解体した上で再構築された複雑な構成ながら
巧みな脚本で衝撃のラストへと観客を導いて行った話題作
クリストファー・ノーラン監督の『メメント』の記憶を呼び起こす。

大統領狙撃の瞬間から
映像は数秒の逆再生をして、それぞれ異なる８人の視点から見た
映像を再生する。
それは、すべてAM１１時５９分５７秒の時間軸からスタートする。

衝撃の瞬間を何度も見せられるが
決して飽きることはない。
それは、視点を変えてもそれぞれの人物の
問題のPM１２時２３分までを丁寧に描いているからだ。

それぞれにしっかりとしたドラマがあり
ほんの些細なシーンでも、視点が変われば
それが非常に重要なシーンであることが後で分かる。

大統領本人の視点から見たドラマは可也驚かされた。

全ての視点から見たシーンの後には
リアルタイムの追跡劇が展開する。

本作は、スペインロケであり
街中でのカーチェイスで容疑者を追うシークレット・サービスのトーマスが
年齢に見合わず結構タフな印象でしたね。
リアルなカーチェイスは最近の流行なんでしょうか。

全体の印象は『ジェイソン・ボーン』シリーズに似ています。


無駄なカットは、ことごとく削ってしまうという大胆な編集により
９０分と近年では短めの上映時間によりテンポが速く良かったと思います。


おまけ）
ラスト近くで、マシューフォックスが運転するパトカーは
スピード狂のタクシー・ドライバー『TAXi』のサミー・ナセリでしたね！

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監督：ピート・トラヴィス
脚本：バリー・Ｌ・レヴィ
撮影：アミール・モクリ
音楽：アトリ・オーヴァーソン


出演：デニス・クエイド/マシュー・フォックス/フォレスト・ウィッテカー/エドゥアルド・ノリエガ/シガニー・ウィーバー/ウィリアム・ハート


『バンテージ・ポイント』