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トゥルー・グリット

2011年03月20日 21時09分48秒 | 映画 た行
評価:★★★★【4点】



バリー・ペッパーって何処に出てた?

そういや、今回も冒頭すぎ辺りから睡魔が来まして
そのたびに、ウトウトし始めてたからバリー・ペッパーを見逃したのか。

いやいや、クレジットにも名があったから、カメオのワンシーンではないはず。
ということで観終わってから検索して驚いた!

え?これってほんとうにスナイパーがお似合いのバリー・ペッパー?!
特殊メイクとかしてる? もし、してなきゃショックなんですけど^^;
まさか、終盤に出てきた、あの汚いオっちゃんだったとは・・・。



自立心と責任感を併せ持つ14歳の少女マティ・ロスは、
町を訪れていた父親が雇い人のトム・チェイニーに殺されたとの報せを受け、
自ら遺体を引き取りに向かうとともに、必ず父の仇を討つと心に誓う。
しかし、犯人のチェイニーは法の及ばないインディアン領に逃げ込んでしまう。

そこでマティは、大酒飲みだが腕は確かな隻眼のベテラン保安官
ルースター・コグバーンに犯人追跡を依頼する。
最初は子ども扱いしていたコグバーンだったが、マティの執念に押し切られ
彼女も同行することに。
やがて、別の容疑でチェイニーを追っていた若きテキサス・レンジャーも加わり、
少女には過酷すぎる旅が始まるが…。
<allcinema>




【ネタバレに要注意】

ココ最近のハリウッド西部劇は製作数こそ激減しているものの
内容に関しては、骨太で見応えのある作品が続いているような気がします。
本作も、御多分に洩れず正統派で重厚な印象を感じました。
アカデミー賞10部門ノミネートされたことを受けても納得できるものであり
これは、コーエン兄弟の底力を本作品で証明した形になったんではないでしょうか。

この映画、音楽も含めて雰囲気的にはイーストウッド映画みたいな印象ですね。
コーエン兄弟も、その辺りを意識してたのかは不明ですが^^;

本作、主人公が14歳の少女という珍しさと
彼女を支え、旅に同行する老練な保安官と気高きテキサス・レンジャーとの
道中でのやりとりなど、場面によってはコミカルタッチに描かれ笑いを誘う。

14歳のマティが、年齢に似合わず、物怖じしない性格付けと
男ふたりとの対比が本作での最大の魅力に感じた部分です。
父親殺しの犯人に対し執拗にこだわる復讐心が終始一貫しており
物語にブレが微塵も感じられないところがいいんです。

また、彼女が仇打ちに行く格好は父の遺品で、サイズがぶっかぶかのハットに
紙切れをねじ込み、サイズ合わせをしたり、大きなコートの袖はまくり上げ
そして、コルト・ドラグーンという父所有の伝説の名機を手に持つ。
こういったところで父の意志を継ぐという想いが鮮明に伝わってきます。


今やティーンエイジを甘く見てはいけない。
彼女が冒頭でフォートスミスの町で、厩の老主人とする会話は
とても14歳とは思えない商談力に目がくぎ付けとなる。
325ドルの攻防戦は、一見無謀にも見えるが
自分の境遇に決して怯むこともなくする強気な会話は
バイヤーのお手本のようなものだった。

マティの目に余る強気な言葉の数々に、旅を引っ張る保安官・コグバーンは
「世の中、思い通りにならないことも学べ!」と、熟年層の重い言葉を
さりげなく言い放つ。
こんな風に言われたのは何時以来だろうか。
マティは亡き父の姿をコグバーンに重ねるかのように小さく頷いた。
この辺りから、ふたりは少しずつ絆のようなものが芽生え始めたように見えた。

さて、物語はまるで不意打ちにでもあったかのように
意外な局面を見せてくれます。
こういう展開は、まさにコーエン兄弟の真骨頂とでも言うのでしょうか。
そこはフェイント的な見せ方で、観客をさらに惹きつける上手さを感じるんです。

---◇

あれから25年の歳月が流れ、映画はラストに意外なオチを持ってきます。
熟女となったマティが言う名台詞「賑やかに旅をした仲間」に涙を誘う^^;
これでよかったのかどうかは賛否が分かれると思いますが
ワタシ的には、こういう風に余韻を残す作品作りは割合に好きですね~。
女性目線で描かれた西部劇であるからこそ、こういう柔軟なドラマが出来る。
コーエン兄弟の派手さを控えた演出が心地良かったです。

やっぱり、イーストウッド映画に酷似しているな~と改めて感じた一作でした。


おまけ)
・トム・チェイニーの本名をもういちど聴いてみたくなるラストでした。
 レンジャーのラビーフの台詞に注目しておけばよかった。
 これ以上書くとネタバレになり危険ですね。

・一緒に旅をすると約束した後、自分を出し抜いた保安官の後を追い
 先住民保留区に向かい、馬上のマティがひとり川を渡るシーンは最初の見どころ。
 直後のコグバーンの唖然とした顔がなんとも可笑しく、マティはしてやったりだね。
 っていうか、その前に乗馬がかなり上手いんですよ、この子。

・ラビーフ演じるマット・デイモンが今ひとつ冴えなかったのは
 レンジャー部隊に居たことを、マティに侮辱されたことに端を発し
 以降、コグバーンにもアホ扱いされ、それを真剣に言い返すところは
 ちょっぴり可愛かったけど、ほんとうにヘタレ一歩手前の印象だった。
 ただし、持ってるカービン銃だけは最高の品だったらしい。
 っていうか、もっと早く引き金を引けって!
 マット・デイモンのキャラの幅を本作でさらに知ることに^^

・そういやジョシュ・ブローリンのキャラこそ幅が広いね~
 これ、本作では28歳の設定じゃなかったかな。

・回想映画だからか、仇打ちに行く前段階に於いて、男どもの不安要素ばかりが気になり
 マティ自身、半分は旅の途中で決着できないと諦めていた部分があったんだと思う。
 それを解消してくれたのが、例のフェイント的な演出に繋がっていくのです^^
------------------------------------------------------------------------
監督:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:カーター・バーウェル


出演:ジェフ・ブリッジス/マット・デイモン/ジョシュ・ブローリン/
    バリー・ペッパー/ヘイリー・スタインフェルド/


『トゥルー・グリット』

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6 コメント

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☆ちょびっと期待☆ (TiM3)
2011-03-20 22:44:50
ばんはです。

ちょびっと(だけ)期待しとる本作。
んでも、近年のコーエン兄弟ってば、どっか「終わってる」
感じがあり、どうにも信用出来ません(・ω・)

少女の雰囲気が、ちょっと御大(クリント)の西部劇『ペイルライダー』を連想させてくれますね。

マット・デイモンの役柄に興味津々・・
死者と会話したりするんかな?(しないしない)
返信する
そうそう、御大っぽいんです (ituka)
2011-03-21 21:29:59
TiM3さん、こんばんは。

確かにコーエン兄弟の作品は、当たり外れがあるというか客を選びますよね。
でもこれは、もう音楽からイーストウッド製の映画みたいでした^^
もしや、ココのところ製作総指揮に定着しているスピルバーグの影響かも。

『ペイルライダー』いいですね~
言われてみれば、そんな感じにも見えますよ^^

>マット・デイモンの役柄に興味津々・・

雰囲気はライナス・コールドウェルってところでしょうか。
寝顔にキスしたいとか、お仕置きするとか笑ってしまいますよ。多分^^;
返信する
ミリオン座で (笛吹働爺)
2011-03-23 18:05:18
今日の仕事が早く終わったのでミリオン座で見ました。
☆☆☆☆/5 です。
保安官とかレンジャーをスーパーマンに描かずクズすれすれに描いているところがリアルなのかなと思います。
マティ役のヘイリーはすごいね。日本で言えば志田未来か、でも馬には乗れないだろうなぁ。
返信する
ワタシもミリオン座でしたよ (ituka)
2011-03-23 22:19:29
笛吹働爺さん、こんばんは。

鑑賞お疲れ様です。
そうですね。出てきた男ども誰ひとりヒーローにしてなかったですね。
なるほど!リアルな印象って、そういうことだったのですね^^

>日本で言えば志田未来か、でも馬には乗れないだろうなぁ。

志田さんをほとんど知らないんですよ^^;
日本のティーン・エイジャーの女優さんで
馬に乗れるひとって居るんでしょうかね~^^;
返信する
バリー・ペッパー (オリーブリー)
2011-03-27 19:40:13
私もエンドロールで「どこに??」と思いました。
悪党のボスだったんですね…。
全然顔が違うって(爆)

面白かったけど、例えば「3時10分」のように引き込まれていく作品ではなかったです。
私は彼女には幸せになって欲しいと思いましたんで、未見にしわ寄ったオバサンが登場すると、ハンディはともかく、あのまんまな性格だったのか…とか思っちゃいました(苦笑)
ひとつ乗り切れずに残念でした。

花粉症で出遅れてます。
調子が良ければ、明日またミリオン行く予定でーす(笑)
返信する
悪党名もペッパーでしたね(笑) (ituka)
2011-03-27 20:35:52
オリーブリーさん、こんばんは。

花粉症酷いんですか?ワタシもマスクは絶対手放せない状態です。
でも、くしゃみがないだけ余裕で映画館に行けるので、まだ良い方ですね^^;

あの悪党のボスが声を張り上げるたびに、唾が飛び散って
マティに掛っていたのではないかと心配してました(笑)

あ~!『3時10分』よりは盛り上がりに欠ける感じでしたね。
中年女性となったマティは、ずっとあのまんまの性格だったんだと思います。
「クズは座ってなさい」って、、、言われた方は半分、認知きてるような雰囲気でしたね^^;

明日のミリオンは、もしかして気丈に振る舞う三人娘のひとりが出てるアレですね^^
ちなみに、ワタシの中での気丈に振る舞う肉食系三人娘は、本作のマティ、エレン・ペイジ、キャリー・マリガンです(笑)

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