きみがくれた未来

評価：★★★☆【３，５点】


“私を見つけて”なるメモの突っ込みは置いとこう。

遂に、今年最後の映画となりました。
もう１本行っておきたかったけど時間的に無理ということで
本作の鑑賞を持って今年の締めとさせていただきます。

◇

ヨットの才能に恵まれた高校生チャーリー・セント・クラウドは、
スポーツ奨学金で大学進学も決まり、前途洋々。
だが卒業式の夜、助手席に11歳の弟サムを乗せて車を運転していた時に
大規模な衝突事故に遭遇、チャーリーが奇跡的に命を取り留める一方、
サムは帰らぬ人となってしまう。

弟を守れなかった自責の念に駆られ、葬儀の最中も居たたまれずに
墓地の裏手の森へ駆け込んでいくチャーリー。
そこは、夕暮れ時に兄弟で野球の練習をするのを日課としていた場所だった。
すると、そんな思い出に耽っていたチャーリーの前にサムが現われる。
そして、兄弟は再びこの日課を続ける約束を交わすのだった。

５年後、チャーリーは進学もヨットも諦め、墓地の管理人となって
サムとの約束を守り続けていた。
そんなある日、高校の同級生でヨットレースのライバルだったテスと再会。
これをきっかけに自らの人生を見つめ直すチャーリーに、
やがて選択の時が訪れる…。
＜allcinema＞

◇

兄弟愛がすごく、こういう仲の良い兄弟も居るんだなというのが率直な感想。
母ひとりで彼らを育てたという苦労話は、ここでは完全に端折られてる。
そうです！この映画はまぎれもなく兄弟をメインに描き
彼らに襲う突然の悲劇に塞ぎこんでしまう兄目線で最後まで突き進んでいきます。

どうなんでしょう！
ザック・エフロンは唄って踊れる若手俳優という認識しかなかったのですが
これが意外にも、こういうシリアス系もそつなく演じられることが
本作で判ったことが唯一の収穫かなと。

冒頭のヨットレースこそ、華やかであり青春映画のようではあったけど
その直後に訪れる交通事故から作品は一気に重い雰囲気に豹変していきます。
そして、それからは人生を亡き弟に懺悔するかのように墓地管理人となり
毎夕5時のサイレンならぬ、号砲に合わせ森に入り弟に会いに行くんです。

臨死体験の影響で死者と会話ができる特異体質となります。
そのおかげで本作はほとんどホラー映画といっても過言ではないです。
死んだ弟も兄に会いたくて天国へ行こうとしない。
つまりこれは地縛霊として、そこに住みついているわけですよ。
でも、生きてた頃の11歳のままなので可愛いんです。

さて、チョットしたホラーな雰囲気を醸し出しておき
ココから主人公が立ち直る切っ掛けをつくったのが冒頭のヨットレースで
惜しくも優勝を逃した別のチームに居た同級生のテス姐さんです。

5年ぶりに偶然に墓地で出会い
今は落ちぶれ、過去の栄光など微塵もない主人公に何かと関わってきます。
彼女が単独世界一周に向け、その前段階として嵐の来る海峡に練習として
出航する辺りは、まさに王道のような展開です。

そして、数日後・・・。
ここからスクリーンを注意して観ないと意外なことに気が付きません。

観終わってみて、この辺りの演出があったからこそ
本作の出来が案外と面白かったとも言えます。


追記）
・テス姐さんのアスリートぶりにうっとり＾＾

・この映画にベースボールが結構絡んでいるんだが、それがキーとはなってない。
　弟の宝物はレッドソックスのカード。それは父が在籍したチームだから。
　しかし、本当は3Aのテストを受けその後蒸発したらしい。

・リトルリーグに所属する弟のキャッチボールを見て、あのレベルは
　日本の小学3年生くらいか＾＾；
　ザック・エフロンはキャッチングは上手いけどスローイングは？？？

・本作のキーワードは救命士の吐いたひとこと「奇跡には理由がある」
　この救命士のスピンアウト映画に興味があるんだけど・・・。

・母（キム・ベイシンガー）から5年ぶりに掛って来た電話を取らなかったのは
　ダメでしょう！それはもしかしたら『セルラー』かもしれないのに＾＾；
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監督：バー・スティアーズ
脚本：クレイグ・ピアース/ルイス・コリック
撮影：エンリケ・シャディアック
音楽：ロルフ・ケント


出演：ザック・エフロン/アマンダ・クルー/チャーリー・ターハン/
　　　　キム・ベイシンガー/レイ・リオッタ/


『きみがくれた未来』