カトマンズの曼荼羅屋さんにいると、ネパール人のオーナーのお友達がやってきて、わたしが日本人と知ると(最初は中国人と思っていたらしい)、どこの出身かと聞かれ「広島です」と言うと、「オー、ヒロシマ、ナガサキ」。
どこの国でも「オー、ヒロシマ、ナガサキ」は、最初に出てくる言葉です。バンコクの食堂のおばさんも、カンボジアのツクツクの運ちゃんも、カトマンズのゲストハウスの兄ちゃんも。みーんな、悲しそうな表情を浮かべて、まずそう言います。悲惨さは世界中の人が知っています。
ネパールはどこを観光したか、と聞かれ、さらにはネパールで行くべきところを挙げてくれました。その中に釈尊の生誕地、ルンビニがありました。
その人は、「ルンビニ公園は日本人が設計したんだ」と日本人のわたしと関連付けてくれました。
わたしは、それで思い出しました。その設計者は「原爆資料館」をはじめ、広島平和公園の設計をした人だということを。そのことを伝えると「オー、ブッダ、ヒロシマ、ピース」と、感慨深そうに言いました。
その設計者の名前を、その時、どうしても思い出せませんでしたが、8月6日が近づき、平和祈念日に関連する報道が目に付くようになり、思い出しました。
丹下健三さんでした。
あー、記憶力が衰えていく。
けど、消してはいけない記憶。