ひできの八ヶ岳ブログ

未来に残したいリジェネラティブな社会づくりを考える

【シリーズ】新しい社会の基本がわかる その7

2009年06月30日 23時49分27秒 | 【シリーズ】新しい社会の基本がわかる
Boundary ~ ”境界”を意識する

“境界”(Boundary)とは、
境の向こうとこちらとでは、
世界が異なることです。
これは、自然界において、
いたるところに、
当たり前のように存在しますが、
そこには、とても重要かつ、
深遠な意味が含まれています。

例えば、私たちの身体は、
細胞壁で囲まれた、
一つ一つの細胞で出来上がっています。
細胞は、それぞれが分離し、
自律した働きをしているものの、
お互いに密接な情報交換をし合いながら、
協調した働きを行い、
それが臓器や脳、筋肉として、
非常に効率的で、
周囲の環境変化に柔軟に対応できる、
そういった身体を形成します。

もし、人間の身体が単細胞で出来上がっていたとしたら、
決してこれほどまでに、繊細な動きや、
様々な外的環境の中で生存することは、
決して出来ません。

一様だった世界に“境界”が現れ、
「個」が生まれたことは、
地球生命系にとっての大きな出発点でした。
そして、その分離した「個」は、
ただ分離している閉じられた系ではなく、
適度に外に開かれた開放系も持っています。
それぞれの「個」が、
お互いに協調的な働きをすることで、
地球は豊かな生命の世界を実現したのでした。

細胞と言うミクロな世界だけでなく、
マクロな世界でも“境界”が、
重要な役目を持っています。

日本のように、様々な山や尾根、
渓谷が複雑に入り組んでいるところでは、
そういった山や尾根、渓谷が、
“境界”の役目を果たしています。
その“境界”の向こうとこちらとでは、
様々な様相が異なることから、
そこに生息する植物や動物たちの種類にも、
違いが出てきます。

これは、野山にある岩や小川といった“境界”でも、
同じことが言えます。
こういった“境界”が野山の中に、
多数存在すればするほど、
そこの種の多様性は増大します。

多様性が増大することで、
自然環境は安定していき、
豊かな自然環境が育まれていきます。

パーマカルチャーでおなじみのスパイラルガーデンも、
基本的には同じことが言えます。
狭い空間をスパイラル上に“境界”を設けることで、
非常に効率よく多様な植物を共存させることができるのです。

一方で、砂漠や草原のような一様な世界の場合、
そこの生命の多様性は、
“境界”の多い地域に比べて著しく低くなり、
数えられるくらいの限られた種しか生存できません。

“境界”の形成(分離)という、
自然界の重要な摂理のひとつが、
“協調”というもう一つの摂理と相まって、
いかに大事な役目を担っているかが、
お分かりいただけたと思います。

これは、私たちの社会や組織にも、
全く同様のことが言えます。
特に、今日的なテーマである、
グローバリゼーションによって、
“境界”が失われ、
どこのスーパーに行っても、
同じようなものしか売っていないといった、
世界全体が一様(ノーマライゼーション)の、
方向に進んでいるのは、
誰もが感じていることでしょう。

私たちが安心で、安定した、
質の高い生活を営むためには、
ある程度の“境界”を維持した、
基本的な生活を維持でき、
自分の生活を安心して預けられる、
地域コミュニティーを形成する必要があります。

地域コミュニティーと言っても様々なレベルがあります。
集落的、或いは、都市部で言う街区のレベル、
村、或いは、都市部で言う地区のレベル、
地域レベル、県レベル、地方レベル、国レベルなどあります。

少なくとも生活していく上で基本となる、
衣食住に関わるものや福祉、
そして生活のセーフティーネットは、
比較的小さな地域のレベルとなりますし、
逆に、自動車や鉄鋼などの重厚長大なものは、
場合によっては、
国家規模のレベルかもしれません。

では一体、基本的な生活を維持できる、
その小さな地域とは、
どのくらいの大きさが理想なのでしょうか?
かつて、地域コミュニティーの研究家、
リチャード・ドゥースウェイトに聴いた時、
彼は、小さな図書館などの機能があり、
その地域の人々の基本的な生活を維持する人々、
(例えば食料品店、鍛治屋さん等)
が生計を立てられるくらいの規模で、
人口1500人程度が理想ではないかと言っていました。

私自身は、理想的な規模は、
もう少し大きいのではないかと考えています。
人口1500人規模では、
かなり質素な生活を余儀なくされます。
現在の物質的豊かさに慣れた人に、
それを要求するのは無理があります。
また、様々な面での創意工夫を進めるには、
その地域内での多様性、つまり、
地域に一店舗だけではなく、
数店舗が存在し、お互いに協力し合いながら、
切磋琢磨できることも必要です。
それを考えると、
人口5000~1万人程度の規模が適当かと考えます。

もっとも、現代の物質的な豊かさを、
失わないとするならば、
ざっくりとですが、10万人~30万人程度の、
コミュニティーが必要ではと思います。
これくらいの人が力を合わせれば、
重厚長大なものを除けば、
現代生活に必要なほとんど全てを、
自分たちで生産でき、
しかも、物を選ぶにも、
充分な選択肢があるかと思います。

ただ、あまりこの数字には、
こだわらなくて良いかと思います。
結局は、地理的条件や現在の人口に合った、
それぞれの地域で実現可能な、
地域コミュニティーを作らざるを得ないからです。
また、この“境界”は、
個々の物やサービスごとに、
その地域での自給自足できる規模が異なることから、
それぞれにその範囲の大きさが違ってきます。

これは、サービスや行政においても同じです。
その内容によって、
どの範囲で自律的なサービスや行政を、
達成できるのかを見極めたうえで、
その“境界”を決める必要があります。
従って、地域の“境界”といっても、
様々なものが同時に存在するのです。

あくまでポイントは、
先にも書いたように、
“境界”で分離した地域は、
完全に閉じられたものではなく、
適度に外に開かれます。
そして、地域同士の連携、助け合いも極めて重要となってきます。

この絶妙な美しいバランスをもった、
Boundary=境界をいかに形成していくかが、
これからの社会づくりの肝になってくるはずです。

会社などの組織作りにおいても同じことが言えます。

テレビで見られる!ヒューマンスケールを目指す企業

2009年06月24日 21時21分20秒 | 共生社会の姿を求めて・・・

この間の月曜日、
車とバスと電車を乗り継いで、
5時間かけて八ヶ岳から愛知まで行った夜のこと、
半分ぐったりしながらテレビをつけると、
村上龍さんと対談する、
どこかで見た顔が映っていました。

それは、
つい先週にご紹介した、
ヒューマンスケールを目指す企業のひとつ、
メガネ21の創業メンバーのお一人でした。

取材映像を見る限り、
昔以上に、パワーアップして、
次々と新たなアイデアを出しながら、
極めて民主的で、
お互いが思いやり、
協力しながら会社を運営できるしくみを、
進化させていっているようでした。

この創業メンバーの多くは、
地元で大手のメガネチェーンに務めていましたが、
その会社から解雇された経験をお持ちです。
その会社は、
多額の内部留保を持っていたにも関わらず、
従業員より会社を優先していたことから、
創業メンバーには、
従業員を大事にする会社づくりをする想いが強かったそうです。

会社が利益を出した分は、
全てをお客様への値下げと従業員への分配とにするそうです。
そして、この会社の資金繰りは、
従業員からの融資でまかなっているそうです。
若そうな従業員でも、会社が決して強制することなく、
何百万円とか、一千万円以上を会社に貸し付けています。

でも、一番驚くのは、
従業員の方々の、同じ店を支える仲間として、
一致協力し、貢献しあう姿です。
まさにボランタリー(自主的貢献)経済の先駆けを見る想いです。

この番組、
カンブリア宮殿」というものですが、
今回は、2週にわたってメガネ21を、
徹底解剖と言うことで、
来週も続きがあります!

愛知では月曜日の夜ですが、
地方によっては違うかもしれません。
ちなみに、民放が2つしかない八ヶ岳では、
地上波では見ることができません。

どうぞ地元の番組表をお確かめの上で、
ご覧ください。

なぜか、このようなテーマの番組や話になると、
疲れもどこかに吹き飛びます。不思議です。

Schumacher Collegeを訪れたい方へ

2009年06月23日 21時03分55秒 | 大自然のしくみから学ぶ社会

シューマッハカレッジを体験するには、
これまで、ショートコースに参加するか、
大学院コースに入学するかしかありませんでしたが、
シューマッハカレッジの生活を体験したい人のための、
特別な企画があるとのお知らせが来ました。

7月の12日から17日までの約一週間、
Summer Celebration ~ Land,peple,ideas
というイベントがシューマッハカレッジであります。

この一週間の間、
シューマッハカレッジに泊まりながら、
学校や母体のダーティントンホール財団が催す、
いろいろな催しに参加できる企画です。

シューマッハカレッジでは、
料理教室、近隣の森やダートムーアなどの散策のほか、
ホリスティックサイエンスの専任講師の
ステファン・ハーディングや、
ブライアン・グッドウィン教授によるレクチャー、
また、今話題のトランジションタウン・トトネスの、
ロブ・ホプキンスさんの話もあります。

さらに、同じ時期に、
ダーティントンホール財団では、
シューマッハカレッジとも連携しながら、
At the Ways With Words 2009 Festival of Literature and Ideas
というイベントを併催しており、
そこでは、
シューマッハカレッジの創成期の中心をなす二人ともいえる、
ガイア理論のジェームズ・ラブロックと、
サティシュ・クマールの話も聞くことができます。

もちろん、
これらのレクチャーに参加しなくても
自分が好きなように、
貴重な本が並ぶライブラリーで、
好きなだけ本を読んだり、
庭仕事を手伝ったり、
トトネスや美しいダーティントンの森、
を散策したりすることもできます。

イギリスは、
夜中の10時くらいまでまだ明るく、
緑の美しい季節。
思う存分、シューマッハカレッジ、
トトネス、ダーティントンを楽しめる、
一週間になるはずです。

なんて贅沢な企画でしょう!!
参加費は550ポンド。

これはこの夏一押しのイベントです。

虫歯菌も共生していた

2009年06月19日 12時34分58秒 | 健康と食と心と暮らしかた

私の子供が生まれる少し前に、
テレビのニュースを見ていたら、
虫歯菌は、もともと赤ちゃんの口の中には無く、
生後から3歳くらいまでの間に、
親や他人からうつされるもの、
という内容をやっていました。

口の中には、多数の細菌が常に存在し、
それは、3歳くらいまでに、
どの菌がどのくらいの割合で生息するかが固定してきて、
全体の菌のバランスが決まるのだそうです。
そこに、虫歯菌が混入していたら、
一生にわたって、
虫歯菌が一定割合で存在する口になってしまう、
とのことでした。

人間の皮膚のいたるところにも、
様々な菌が生息しており、
そのバランスが保たれていることで、
私たちも健全な生活を維持できていることが知られています。
そのバランスが崩れたときに、
皮膚病などの異常が現れます。

それは口の中も一緒で、
先のニュースの話には、
すぐに合点がいきました。

私も妻も、虫歯には悩まされています。
私なんぞは、つい最近、歯医者に行ったばかりで、
虫歯の治療をしましたが、
つい2日前、その隣の歯が、
玄米2つ部分くらい欠けてしまいました。
これも虫歯のせいです。
大人になってから、
食事の後には必ず磨いていますが、
それでも虫歯になります。
老人になるまで、自分の歯が残っているかどうか、
心配です。

人によって、
口の中の菌のバランス、つまり、
共生の状態が異なることから、
それによって、
虫歯になりやすい人、なりにくい人と、
分かれるようです。
私は明らかに前者のようです。

そこで、わが子には、
この苦労はさせないようにと、
虫歯菌の子供の口への侵入を防ぐために、
まず、絶対に親の口で咀嚼したものを、
離乳食がわりに食べさせないこと。
そして、箸も、親が使っている箸で食べさせないようにと、
祖父母にも協力をしてもらって、
それらを徹底しました。

すると、
今のところ、子供は歯の検査で、
虫歯は見つかっていません。
歯磨きは自分でさせていますので、
きちんと磨けているかどうか、
怪しいところもあるのですが、
それでも大丈夫のようです。
私がこの子の年代の頃は、
既に歯医者さんに通っていました。
少なくとも、わが子は、
私よりはずっと、
虫歯になりにくい、口内細菌バランスになっているようです。

今は、大人になってから、
虫歯菌を口の中から除去する治療がありますが、
殺菌剤を長時間にわたって口の中に入れなければならず、
ちょっと、私にはやる勇気はでません。

せめて、子孫に虫歯菌を受け継がないように注意しておけば、
いずれ、世界から虫歯はなくなるのかもしれません。

ヒューマンスケールを目指す企業

2009年06月16日 12時59分37秒 | 大自然のしくみから学ぶ社会

スモール・イズ・ビューティフルで知られる、
経済学者シューマッハは、
「全てのものには、適切なサイズがある」と、
その著書に残しています。

会社組織などの場合、
お互いの顔が分からない程度の規模では、
お互いの意思疎通もないし、
現場と管理者との距離が離れ、
意思決定と現場との間にギャップが生じてしまいます。
そうなると、企業運営の上でも、
環境の変化への対応や、
しっかりした自己管理に支障を生じます。

会社組織であれば、
ヒューマンスケールであること。
それが、働く人や健全な会社運営のために、
大事であることを、
シューマッハは述べています。

そういったことに気づいて、
一つの企業形態のモデルを作ったのが、
京セラです。
そのアメーバ経営といわれる手法は、
会社の中を、数名から、
多くても20名程度の小ユニットに区切り、
それぞれが、
あたかも小さな会社のように機能するようにしています。
これは、単に小さく区切るだけではなく、
会計上も明確に区分できるように、
工夫されたアメーバ会計を利用します。
そうすることで、末端の社員であっても、
自分が行っている仕事の収支がわかり、
社長と同じように、
経営的に物事を考えることができるのです。

わたしも、そのアメーバ経営を、
取り入れた会社にいたことがありますが、
非常によく考えられたシステムと、
感心した覚えがあります。
この会社は、
自律的に社員がコストを管理し、
新たな展開を行っていく原動力を、
組織のしくみによって、
自然に生み出していくところが、
なかなかすごいです。
いま、京セラの以外でも、
かなりの数の中小企業、中堅企業が、
このアメーバ経営を取り入れています。

京セラと同じように、
独自に小ユニット経営の方法を編み出したのが、
東京の前川製作所。
まさにホロン構造ともいえる、
独特な組織形態を作り出し、
会社組織の研究者の間では有名な会社です。
この社長の話では、
昔は普通の会社でしたが、
社員の考え方を変え、
ここまで変化させるのに10年かかったそうです。

さらに、一歩進んで、
実務上の社長のいない、
社員の総意で意思決定している会社が、
メガネ21。
テレビや雑誌で一時期よく紹介されていたので、
ご存知の方も多いと思います。
何か決めるときは、
社内のインターネットで皆に問いかけます。
返事がない場合は賛成であるというルールのもと、
迅速な総意による意思決定を実現しています。
もちろん、書類上の社長はいらっしゃるそうですが、
何年かごとに持ち回りで行っているそうです。

メガネ21は、
今や、大手のチェーンといっても良いくらいに、
全国に出店し、急成長しました。
規模が大きくなって、
多少、階層的な構造も取り入れたと聞きますが、
根本のスタイルは変わっていないと思います。

こういった、
いわゆるヒューマンスケールの組織にすること、
また、中央集権でなく、
できるだけ現場の人が意思決定に参加できる、
組織にすることは、
いずれも、これからの企業にとって、
必須といえる課題だと思います。
しかしながら、生身の人間が働く現場で、
新たな試みをすることは、
余程のリーダーシップがないと、
なかなかできることではないと思います。
そういった意味では、
この分野の進歩は、
ゆっくりと進んでいくのでしょうか。

イギリスのNGOなど、
組織構造や運営の上で、
先駆的な試みを行っているところも多い様です。
少し、情報を集めて、
いずれご紹介したいと思います。

働く「個」を大切にする会社

2009年06月15日 12時53分09秒 | 共生社会の姿を求めて・・・

先日、テレビでユニクロの柳井社長の、
インタビュー番組がありました。

柳井社長は、米国の経営学者の、
ピーター・ドラッカーに傾倒し、
その考えを積極的に経営に取り入れてきたそうです。
それが、柳井社長の経営の基本となり、
ユニクロの成功の基礎となった、
ことについての番組でした。

インタビュアーは勝間和代。
若かりし頃に一緒に働いていた同僚としては、
なぜか当時を思い出し、
老“爺”心ながら、
次に何を言い出すのか心配で、
大丈夫かな~と思いながら見てしまいます。

それはさておき、
柳井社長がドラッカーから影響を受け、
経営に生かしていたことの一つに、
「社員を大切にすること」
をあげておられました。

例えば、
ユニクロは、障害者の雇用が実に8.02%。
約12人に一人が障害者です。
障害者でも、自分の活かせる能力を使って、
十分に会社に貢献できる職場環境と従業員教育。
多くの女性が店長や企画開発など、
フルに活躍できる環境。
そのために、育児をしながらでも、
残業せずに店長が務められるような制度など、
従業員が前向きに仕事をできるための、
創意と工夫がいろいろとあるようです。

実は、今日なぜこのような話を書いたかというと、
共生社会というのは、
一般的には自然と人類の共生をイメージする人が多いのですが、
それと同じくらい大事なのが、
人間同士の共生です。
それができないで本当の共生はありえません。

特に、日本では労働人口の大半が所属する、
会社のほとんどは、
社長も大変だし、従業員も大変です。
共生社会とは程遠い世界です。
共生社会の実現や、
真のエコカンパニーと呼ばれる会社になるには、
この会社組織の変化が絶対に必要です。

しかし、ようやく、
わずかな進歩かもしれませんが、
ユニクロのように、
従業員ひとり一人のことを大事に考え、
そのための会社のしくみを、
積極的に検討し取り組みをする企業が、
大企業の中に出てきたということは、
ちょっと嬉しいことでした。
これも共生社会に向けての大事な一歩です。

働く「個」を大事にするようになった先には、
意思決定の仕方も、
働く「個」に委譲されてくるはずです。

その究極は、
意思決定が一定の個人に集中することのない、
関係者全てが対等な立場で、
それぞれの役割に応じて参加する、
「対話=ダイアローグ」によって、
意思決定する会社。
いずれ、
こういう会社が“普通”になることでしょう。

既に、中小企業では実践をしている所もあります。
この件は、またいつか書きたいと思います。

Transition Town と Organizing America

2009年06月11日 12時55分19秒 | グローバルからグローカルへ

5年くらい前だったと思いますが、
その昔、留学時代にお世話になった、
イギリスのトトネス在住のHさんから、
クリスマスカードがきました。
そこには、
その街で始まった新しい環境活動のことが、
びっしりと書いてありました。

その内容は、
トランジションタウン・トトネスという、
ピークオイルと気候変動とに対しての、
解決にむけた運動を、
地域の仲間で立ち上げ、
精力的に活動しているということでした。

それから年月が過ぎ、
トランジションタウン・トトネスの活動は、
イギリス国内だけで100箇所を超え、
国境を越えてトランジションタウン活動として、
広く知られるようになりました。
ふと気づくと、日本でも、
トランジションタウン活動の勉強会が開かれ、
どうやら日本でも何箇所かで、
活動を始めた地域が出てきたようです。


私がトランジションタウン・トトネスの話を知ったとき、
地域の様々な人が、ある統一の目標に向かって、
お互いの考え方の違いを乗り越えながら、
それぞれの方法で改善に向かって努力していく方法は、
とても素晴らしいと思いました。
このトランジションタウン・トトネスの活動も、
現在は約10グループが加わり、
約20のプロジェクトが稼動しているようです。
お互いを拘束することなく、
お互いのゆるやかな連携によって、
着実に地域の変容を実現していくアプローチは、
世界のどこでも実施でき、
しかも、社会を変えるための、
とても基本的なことでもあります。

オバマ大統領の“Organizing America”
の活動も、全く同じ路線上にあります。
トランジションタウンとややアプローチは異なりますが、
地域の中でお互いの連携を重視し、
諸問題の解決に結びつかせようという施策は、
地域を中心とした新しい時代の社会づくりにむけた、
大事な種まきに他なりません。

ただし、一つだけ、
注意しなければならないことがあります。
5年前、
早い段階でトランジションタウンの活動を知っていながら、
私自身は、それを日本に持ち込み、
行おうという気は起こりませんでした。

それはなぜかと言うと、
トランジションタウン・トトネスの最終目標が、
当時は、
「ピークオイルと気候変動とにむけた解決」
に設定されていたからです。

そのいずれも、
私としては、確信のもてる根拠はありません。
明らかでないものを、
あたかも問題としてとりあげ、
しかも他人を巻き込んで活動を行うことは、
私の信条としてはできなかったからです。

曖昧な根拠の中で、
人のため、社会のため、地球のためといった、
大看板をかかげて行う活動は、
とても危険な要素を含んでいると思います。
場合によっては、
当の本人はまじめにやっていても、
現実は「扇動」と変わらなくなってしまうこともありうるのです。

これは、
私自身も常に気を引き締めて、
注意しなければならないことです。
特に、人様を巻き込む活動は、
本当に、慎重にその根拠や目的を考えぬき、
自分自身の心の底から、
納得できるものでなければならないと思います。

よくよく考えぬいた上で、
トランジションタウンの目標設定を行うこと。
この活動を行うには、
何よりもそれが大切だと思います。

「踏み絵」としての郵政社長問題

2009年06月10日 12時55分00秒 | 時事~経済の流れ、社会の動き

そろそろシリーズの続きを書かなければなりませんが、
今日は、時事ものの話を一つ。

日本郵政社長人事がもめていますが、
現社長の留任に賛成している人、
反対している人、
と様々です。
国政を担うキーパーソンたちが、
それぞれにどちらの立場かは、
今後のために、
よく覚えておいた方がよさそうです。

多くの人がすでに気づいているように、
郵政民営化の発端は、
アメリカからの圧力でした。
日本郵政がもし完全に民営化されていたなら、
預金者が知らないうちに、
その預金は、
米国の金融機関やファンドの金融商品に投資され、
昨年の金融危機で、
多額の損失を負っていたことでしょう。
或いは、もしかしたら、
金融の破綻を延命するための資金に、
あてられていたかもしれません。
どちらにしても、預金は消滅する運命です。

どうして、現社長の賛成派は、
そこまでして完全な郵政民営化を実現したがるのでしょうか。
日本を守るより、米国の一部の人たちの利益を優先するほどの、
何か特別な理由があるのでしょうか。

今回の日本郵政社長人事はまさに、
それに賛成する、賛成しないによって、
いまだに米国型の金融資本主義的な考え方を優先している人なのか、それとも、そうではなく、預金者の保護を優先しているのかが、かなりはっきり分かる、まさに「踏み絵」のような感じです。

次回の総選挙においても、
どちらの考え方の人を選ぶかは、
これからの社会作りのためにも、
とても重要なポイントだと思います。
日本郵政社長の人事問題は、
その人が、どちらの考え方をしているかを知る、
絶好のチャンスです。

Transparency ~ Open Government Operation

2009年06月09日 12時57分26秒 | 時事~経済の流れ、社会の動き

行政担当者、政治に関わる人にとって、
いま、必見のブログは、
間違いなく、
Whitehouse Gov. Blog”でしょう。
オバマ大統領が行っていることについて、
その日のうちに、
解説付きで最新情報が提供されています。

オバマ大統領は、
グリーンニューディールを推し進めるのと並行して、
“Transparency; Open Government Operation”
という、
これまでベールに包まれていた米国の政治、行政の、
透明性を強力に推しすすめるプロジェクトを行っています。

このプロジェクトでは、
“Open Government Brainstorm”
とネーミングし、ネットをフルに使って市民から意見を募ったり、
“Online Dialogue with Government Employees”
という、市民が行政の職員と直接に対話することで、
相互の理解を進めたりなど、
国民を巻き込んだ事業が進んでいます。

オバマ大統領が、
政治と行政の透明性をまず確保する狙いは、
多分、これまでの一部の利権に牛耳られた米国を、
リンカーンの、
“This is government of the people, by the people, for the people.”
のとおりに、国民に取り返すことにあるのだと思います。

非常に強靭な利権集団を前に、
オバマ大統領は、非常にうまく進めていると思います。
私が評価するのは以下の点です。

1)利権集団を決して敵視せずに、
  彼らも政権内に巻き込んでいる。
2)利権集団の一部であるメディアによって、
  情報操作されないように、
  ネットを利用して直接に国民に情報を流している。
3)できるだけ全てを国民の目に触れるようにし、
  一部の人が利権を行使できないような、
  環境を整備しつつある。
4)検討の過程に市民を巻き込み、
  市民の意見を反映させている。
5)健康保険の問題など、
  社会的弱者への問題解決を急務としている。
6)「力」による解決ではなく、
  「対話」による解決を優先している。
7)業界や企業のロビー活動による、
  政府への影響を抑制している。

ちなみに、以下は、
大統領が市民に情報を直接届けるための、
Websiteの一覧です。

http://www.whitehouse.gov/newmedia/

政治と行政の透明性が確保されたとき、
これまでの政権が行ってきた、
911事件をはじめ、
いくつもの嘘と偽りが表に出てくることでしょう。

オバマ大統領の政権は、
短命だと言っている人も多いいのですが、
私としては、
立ち向かわなければならない、
非常に手ごわい相手に対して、
慎重に、かつ確実に、
対処を進めていると思います。
それは、類まれな才能をもった、
リーダーと言えるでしょう。

鳩山さん(兄)にこれができるかわかりませんが、
今の日本の政治家の中では、
一番近い人であることは、
間違いないでしょう。


オール電化の時代、電磁波は大丈夫か?

2009年06月08日 20時57分58秒 | 時事~経済の流れ、社会の動き

テレビで電気自動車の取材をしていました。
三菱自動車の電気自動車の開発拠点が、
いま私が来ている街にあり、
テレビに出てきた車のナンバーからも、
取材もこの街で行われたようでした。

いよいよ電気自動車の時代の到来なのかもしれません。
ただ、一つ気になるのは電磁波の問題。
その昔、糸川英夫先生がご健在だったとき、
リニアモーターカーの開発に際して、
電磁波の健康問題を提起されていたのを思い出します。
それは、今でも重要な問題として残っています。

10年くらい前のことですが、
いわゆる電磁波測定器で、
いろいろなものの電磁波を測定したことがあります。

その中で、測定器が振り切れたものが3つありました。

それは、よく言われている、
電子レンジや携帯電話、
高圧電線ではありませんでした。

一つ目は新幹線。
これは車両によって違いました。
旧式の新幹線だったときに、
一両目、二両目付近で振り切れました。
今の新幹線は、モーターの位置も、
パンタグラフの位置も以前とは違うので、
きっと、電磁波の具合も変わっていると思います。

二つ目は、両親の乗っていたドイツ車の運転席。
エンジンをかけたとたんに振り切れました。
ただし、そのメーカーの車全ての電磁波が強いのではなく、
きっと車種ごとに、その電気系統の仕組みで、
変わってくると思います。
他の乗用車もいくつか測りましたが、
どれも弱からぬ電磁波でした。

三つ目はなんと電気ヒゲソリ。
男の人だけの問題ですので女性は安心。
毎日使うものではありますが、
時間が限られているので、
あまり心配するものではないと思います。


以前に、イギリスで携帯電話の開発者が、
毎日、脳が強力な電磁波の影響にさらされていたところ、
ある日突然、記憶を失い、
自宅に帰れなくなった事件がありました。
その後、何年かたって、
欧米では、徐々に規制や行政指導がなされつつありますが、
直接的な因果関係が明確でないことから、
厳しい規制は行われていません。
日本の規制は皆無に近い状態です。

個人的な推測ですが、
電磁波は、
細胞レベル、或いは、もっと微細なレベルで、
影響を受けているはずです。
電磁波の影響を、
ES細胞などを使って細胞レベルで実験すれば、
少なくとも、電磁波が大丈夫か、大丈夫ではないかくらい、
その影響はすぐに分かるはずだと思います。

世の中は、
政治、経済、環境破壊の諸問題の原因であり、
戦争のきっかけにさえなった「石油」から脱却し、
オール電化への方向に進みつつあります。
それと並行して、
電磁波の健康への影響を見極めることも、
とても大事なことだと思います。

絶妙なタイミング

2009年06月05日 12時59分39秒 | 八ヶ岳の日々

このまえの日曜日。

最近、毎週500キロの、
高速道運転をしていることから、
ちょっと気になって、
いつも御世話になっているガソリンスタンドで
タイヤの空気圧を調整してもらったところ、

「タイヤが劣化して側面に細かいヒビが入っていますよ、
そろそろ取替えの時期ですね」
と、タイヤの交換を促されました。

確かに、多数のヒビが確認できたので、
その場でタイヤの注文をしておきました。
でも、今週も愛知で仕事で、
取替えは愛知から帰った後の土曜日にしました。

そして八ヶ岳に帰る予定だった今日、
日中に仕事を終えて、
夜に中央高速を走って帰るつもりをしていましたが、
朝、会社に行こうと車に乗ろうとすると、
なんと夜中のうちに、
前輪の片側のタイヤの空気が抜けて、
パンクしていました。

本降りの雨の中、
ちょっと気分的に落ち込みましたが、
もし、今夜、
雨の中の高速道路で、
バーストしていたらと思うと、
きっとこのブログも今日で終わり。
ちょっとぞっとしました。

パンクのこの絶妙のタイミング。
命拾いさせてもらって、感謝です。

より透明性の高い金融制度へ

2009年06月04日 13時00分33秒 | グローバルからグローカルへ

16、7年前くらいだったかと思いますが、
時々、このブログでご紹介させていただいている、
金融の専門家「竜河」さんに誘われて、
虎ノ門のビルの一室で行われた、
ある国会議員の方による、
勉強会に参加したことがあります。
それは、世界金融の要である、
ドルの正体についてのものでした。

その老齢の国会議員が教えてくれた、
ドル紙幣が意味するところは、
結構オドロオドロしいものでありました。

その後、インターネットの発達や、
この点についての本も出てきたことから、
今は、かなり多くの方が、
その正体を知るようになってこられたと思います。

ここ最近、
経済危機も峠を越したとの見解をもつ、
経済人、メディアが多くなりました。
しかし、ドルにまつわる、
極めてゆがんだ世界金融による弊害が、
取り除かれているわけではなく、
言わば、最大の病因の解消を、
先延ばしにしたといえるでしょう。

世界には、より透明性が高い、
国際金融制度が必要です。

これがないと、
いつまでも世界はこのまま。
いや、企業の利益至上主義は続き、
貧富の差はますます激しくなります。

また、投機資金を限りなく拡大させることのできる現在の仕組みは、
早々に終わらせる必要があります。

前にもこのブログ(4/17)で触れましたが、
私としては、TERRA構想は、
その最も相応しいものとして支持しています。

お金の基本は、
バーター取引の仲介であり、
決してそれ自体が価値のあるものではないと思います。
記号であり、空気のような存在でなければなりません。

価値があるのは、その商品であり、労働です。
今は、本末転倒になり、
お金のための商品や労働になっています。

そろそろ、中世(石器時代?)からの古い概念を捨てて、
新しいお金の価値観を、
皆で共有したいものです。

導師が夢に現れた?

2009年06月02日 23時35分52秒 | 共生社会の姿を求めて・・・

自然農からオーガニックレストラン、
バイオ燃料トラック、環境建築、
シュタイナー、ヨガ、ホリスティックヘルス、
そして、森の幼稚園など、
様々な実践をされている、
安曇野のシャロムヒュッテの臼井さんの、
経験に裏付けされた、
自然界の摂理についての文章が、
シャロムさんのブログに掲載されています。
http://shalomusui.blog90.fc2.com/blog-entry-609.html

いつか私もこのような生活をと思いつつ、
いつもブログを拝見しています。

シャロムコミュニティーは、
パーマカルチャーであり、
エコビレッジであり、
トランジション活動や地域通貨の、
日本の先駆者です。
ここに影響されて、
新たな価値観に目覚めた人々は、
数知れないと思います。

ここまで書いていたら、
ふと、
10年ほど前、不思議な夢を見たことを思い出しました。

夢の中で、私は家の中にいました。
すると突然、
外の風景が動き出したかと思うと、
家自体が地すべりに巻き込まれ、
そのまま大きな河に落ち、
あっという間に、
家は跡形も無く水の中に消えてしまいました。
私は、どうやってか分かりませんが、
家の中から抜け出していて、
助かっていました。

しかし、私は、ほんの一瞬の間に、
自分の身体以外の、
全てを失ってしまいました。、
そして、これからどうしようかと、
悲嘆にくれかかっていました。

ところが、その反面、
私の心の中には、悲嘆だけではなく、
ふつふつと湧き上がる喜びもありました。

全てのしがらみが消えて自由になり、
新しい世界への入口に立っているような、
再出発の希望に溢れる、新鮮な感覚です。

そんな突然の出来事と、
その不思議な感覚に戸惑っている時、
ふと後ろを見ると・・・、
なんと臼井さんが、
笑いながら立っておられたのです。
「これでよいのだ。」と示してくれている、
まるで導師のような感じでした。

夢はそこまでですが、
10年たっても覚えているくらい、
印象的な夢でした。
もし夢分析が出来る方がおられたら、
是非、意味を教えてもらえたらと思います。


まだシャロムヒュッテに行かれたことのない方は、
是非、訪れてください。
晴れても、雨でも、風の吹く日であっても、
そこは、
千変万化する自然の移ろいが楽しめ、
それに調和した生活を体験できる、
ちょっと他に類を見ない場所です。
このコミュニティーを支えている、
一人ひとりのスタッフ達も、
どの人を見ていても、いつもとても素敵です。

ヘレナの講演録

2009年06月01日 22時55分04秒 | グローバルからグローカルへ


一月ほど前でしょうか。

あるメーリングリストで、
辻信一さんがお薦め下さった冊子です。

私も読みましたが、
とても良い冊子と思います。

特に、
冒頭のヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんの講演録は、
問題点が良くまとめられ、
そして、それに対する解決策も、
簡潔に整理されて述べられていて、
感嘆符がつくくらい、
よい講演録でした。

こんなにわかりやすく、
しかも説得力に満ちた話ができるのは、
流石にヘレナです。

地に足のついた考察と、
それを纏め上げ、表現する力は、
やはり稀有な才能かもしれません。

これだけ上手くまとまった話を読んでいると、
私のブログなんか、
書くのを止めてしまいたくなるくらいです。

特に、いま私が一番共感したのは、
学校教育のこと。

学年別に集められ、
一括して教えられる旧西洋式の学校教育。
今や世界中のスタンダードになりました。
しかし、子供は上の子、大人を真似て育つもの。
また、一人ひとりの子供の学ぶスピードや、
学んでいく順番は異なります。

子供を強制的に同年齢の集団に収容し、
一律に教育するシステムは、
子供の競争意識、劣等感を増幅し、
子供が自発的に学ぶ気力をそぐなど、
子供の自然な健全な成長を阻害するとのこと。
実は、自然の理から遠く離れた、
不自然な制度となっているのです。

むしろ、より多様な年齢の子供が、
ともに生活し、学ぶ環境。
そして、生活に密着したことから学んでいくという、
そういった教育制度が必要です。

私の子供も来年から小学校。
どこの小学校に行かせるか悩むところですが、
先日、夫婦で話し合って、
今のところ行かせるつもりをしているのは、
少し離れたところにある、
統廃合すれすれの高原の小さな小学校。

文部科学省が押し付ける勉強は、
ほどほどで良いから、
自分の興味、関心の向く方向に、
探究心を全開させて学んでいってもらえればと思います。
きっとそれのほうが、
自分の人生を生き抜く上で必要な能力が、
確実に身につくはずです。
また、
行きたい大学に行けるだけの十分な基礎能力も、
効果的に養えるのではないかと思います。

自分が歩んできた、
あまりに無駄とストレスの多かった学校教育は、
自分の子供に体験させたくありません。