一庵 (ひとつあん)

飛べないライター『いたっきい』の愚行をさらしています。

※普段ハtwitterニ居リマス。

曇天・・・ (三沢基地航空祭 Vol.3)

2006-09-10 | 旅行・見学


午後。

空には雲が広がりつつあるものの、気温はますます上がってくる。
そらチョコレートも溶けるわな。。。

引き続き基地所属機のフライトが行われる。
第601航空隊のE-2C“ホークアイ”、米海軍の対潜哨戒機P-3Cが飛ぶ。

 
 三沢飛行警戒監視隊第601飛行隊のE-2C

第601飛行隊が開設されるに至った直接の原因は、1976年のベレンコ中尉亡命事件。

1976年9月6日、通常の訓練のため離陸したソ連極東空軍中尉が操縦するミグ25戦闘機が、訓練空域へ移動する途中に突然日本に向けて針路を変更した。
これを察知した航空自衛隊はスクランブルをかけ、千歳からF-4EJが迎撃に飛び立つ。
しかし、ミグ25が低空飛行に移行すると地上のレーダーサイトからは死角に入り、またファントムのレーダーにはルックダウン能力がないため、自機より低い高度の機体が確認できない。
結局ミグが函館空港の上空に達し、空港からの通報で初めてその位置を確認した。。。

この事件が与えた衝撃は大きかった。
自衛隊の防空能力の限界を世界中に宣伝したようなもので、これを機に、それまで予算化されなかった早期警戒機の導入が決定。ここに第601飛行隊が誕生した。
また、亡命したミグを調査した米国はソ連空軍の能力を過大評価していたことに気づき、対ソ戦略を大きく転換することになった。
そしてソ連空軍はIFF(敵味方識別装置)の暗号などを全面的に見直す必要に迫られた。さらに、この事件を機にパイロットの待遇は大幅に改善されたという。。。

とにかくそんないきさつであわてて導入されたE-2Cだが、さすがに老朽化は隠せず、大幅なアップグレードもしくは機種の変更が必要になりつつある。
その回答のひとつとして、同じ第601飛行隊(浜松飛行警戒監視隊)に最新のE-767が導入されている。


さて。
いよいよお待ちかね!?
第3航空団第3飛行隊のF-2A×2機によるデモフライト。

F-16ゆずりの空力特性、F110エンジンのパワー、複合材のボディ。
加えて、フライバイワイヤによる操舵システムが、キビキビとした動きを同機に与えている。

 
 部隊創設50周年記念のスペシャルマーキングを施したF-2A

1機はスペシャルマーキング(43-8525)、もう1機(13-8510)は通常の洋上迷彩。
派手なアクロは主に525号機が担当し、510号機はその僚機を務めていた。
特に525号機のパイロットの腕には見応えがあった。

また、曇天がかえって機体を目立たせていた。
F-16とは形状の異なる翼も、はっきりとわかる。

 
 青空や海面に溶け込む迷彩は、曇天時にはかえって目立つ

それにしてもF110-IHI-129エンジンのパワーはさすが!
増加燃料タンクを胴体下に吊っていても、その重量を感じさせない。
35FWのF-16CJはクリーン状態でアクロを行うが、F-2+ハイGタンクでもそれほど変わらない動きを見せる。
翼の“しなり”は、肉眼でもはっきりと確認できる。いたっきいはこれほど翼がしなる戦闘機をほかに知らない。

 
 とんでもなくしなる翼。急旋回中でも尾翼はほとんど動かない

このアングルで見ると、F-2はエンジンと翼だけでできていることがよくわかる。
しかしそれは、機体容積に余裕がなく、将来の発展の余地が少ないということでもある。
そして、将来の発展可能性が低い機体は、寿命も長くない場合が多い。
果たしてF-2の将来はいかに?

 
 右主翼に負荷がかかっているのがわかる

 
 膨大なベイパーを発生させながらの急旋回

おー。長い長い。
翼端から伸びる長いベイパーは、短射程空対空ミサイル用のレールが空気を裂いてできたもの。
筒状のレールから伸びるベイパーも、同じく筒状になる。
エンジンの排熱と、胴体や主翼から発生するベイパーで空気がゆがめられ、ピントが合っているのかどうなのかわかりにくい。こういう状態では、撮っていてもあまり手応えがない・・・

次はお決まりのタッチアンドゴーオオおおをををををををを!?( ̄□ ̄;)

 
 ほとんどテイクオフロール

なんと、離陸しそのまま垂直に近い角度で上昇・・・まではたまに見るが、その状態からロールしてインメルマンターンというのは見たことがない!
しかもこの間、ずっとダーティのまま。ということは当然、速度は出ていないということ。(ギアを出したまま飛べる上限速度は案外低い)
この後、背面の状態で脚を収納した。

ごちそうさま。いやあ、いいもの見させてもらいました。。。


そしてショーの締めくくりはやはりこれ。ブルーインパルス

曇天で雲高も低かったため、第4区分の演技を実施した。
曇天だし4区分で派手な機動もないし・・・ということで、望遠レンズは撤収。
広角レンズで広く撮ろう。

 
 チェンジオーバーターン

 
 長野五輪でも行ったレベルオープナー

 
 オポジットトライアングル終了後の編隊解散

オポトラなど、あまり見かけない課目も久々に見た。
それにしても、相変わらずブルーのパイロットの技量は高い。
なんで6機であんなにくっついて飛べるのだろう?

ショーの後半には、雲が薄くなる瞬間もあった。
再びレンズ交換。最後の課目、ロリコンだけはアップでおさえてみた。

 
 ローリングコンバットピッチによる編隊解散

 
 ロリコン中の3番機、4番機

白を基調とした機体の上面と、青を基調とした下面の塗り分けがよくわかる。
最後に5,6番機によるコークスクリュー・ブレイクで、今回も無事演技を終了した。

さて。

このあとは温泉(≧∇≦)/
したがって長居は無用。

適当に展示機の前で写真を撮って、早々と基地を後にする。
広大な敷地を歩き、ゲートを出て三沢駅行きのバス乗り場へ。
予想に反し、なぜか人がほとんどいない。
しかもタイミングよくバスがやってきて、待ち時間約1分でバスに乗る。

その瞬間、突然の夕立!
・・・ほんの数秒の差でバスに乗れるか乗れないかで、くっきりと明暗が分かれた。
よしよし。今回の旅行も、ここまではツイてるぞ。
この調子で宿も「当たり」であってくれ・・・・

徒歩で帰る観客があちこちの軒下で雨宿りをする光景を眺めつつ、そんなことを考えていた。

 

続く。

 



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3 コメント

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ご馳走さまでした! (仮眠ライダー55)
2006-10-01 10:29:07
F-16といい、F-2のしなりも凄いですね!

本当に鳥のようです。



広角のブルーもいいですね!

お父さんに肩車してもらっているお子さんを見ていたら、自分もこんな風に父に肩車してもらって、ブルーをみてみたかったなあと思いました。



食欲の秋、航空祭の秋、素晴らしい画像をみせていただき、本当に大満喫です、ありがとうございました!

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これはイイね! (どんちゃん)
2006-10-02 11:30:49
航空ショー!

特にはこれまで見に行った事がなかったんだけど、ここであれこれ見る機会が増えてきて、来年は美保と岩国、行く事がケテーイ致しました(笑)
返信する
やっとのことで・・・ (いたっきい)
2006-10-04 06:21:40
三沢基地航空祭のレポ書き終えました。

しかし「みちのく旅行記」そのものはまだ未完だったり・・・



■仮眠ライダー55さん

F-2は本当にフニャフニャに見えますね。

肩車親子も、航空祭では定番ですね。ほほえましい光景です。

いたっきいも空自の基地のない兵庫県で育ったせいか、子供のころに航空祭に連れて行ってもらったことがありません。行ってたら、もしかしたら別の道を目指していたかもしれませんよ。



■どんちゃんさん

岩国、美保決定ですか!一度行ったらハマりますよ~Ψ(`∀´)Ψウケケケ

では来年ぜひご一緒しましょう。

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