猿谷ハチさんのSZバージョンを買いました。未読の作品が半数くらいあり、お得な作品集でした。
以前私は猿谷ハチさんの作品について、以下のように書きました。
「ゾロサンのゾロは、ちょっとSが入った攻めで、サンジはSとMの混在型の受け。サンゾロのゾロの受けは、極めてノーマルな感じ。攻めのサンジはドSと、私は捉えています。」
これは、ちょっと訂正した方がいいかもしれません。
というか、SとかMとかではくくれないな、と思ったのが本当のところ。サンゾロでもゾロサンでもそれぞれの性格は同じです。ゾロは、災難がわが身に降りかかることが多いのに、無関心。むしろ、サンジが傷ついたりします。ゾロはサンジが傷つくのを見たくないので、結局は災難を振り払うことになります。
頻度としては少ないですが、サンジに災難が降りかかった場合、特に、災難によりゾロと距離を置かなくてはならない場合、サンジのほうが、より早く音をあげます。ゾロが一向に気にかけない(本当はゾロも気にしてるのにそう見えない)様子だと、よけいにサンジは落ち込みます。
つまりサンジは、強がりながら、実は繊細で傷つきやすい心の持ち主として描かれ、ゾロは、サンジが無事なら「まぁ、あとはどうでも」という、大雑把さがデフォルメされたタイプにされています。
私はゾロサンではありますが、たまにはサンゾロ視点に立ってみようかと、猿谷ハチさんのサンゾロで、「これはいい!」と思ったものを拾い出して見ました。
「2度目のランチ」収録の、『隠れた3分隠した1分』
「AP THE BEST 3」収録の『黒き同位相』
「悪食王」収録の『庇護の下 雑食の素』
もちろん、他にもいい作品はたくさんありますが、特にこの3つに絞ってみました。
『隠れた3分隠した1分』は、ゾロが1日分の記憶を失う話。サンジと大切な約束をしたことを忘れてしまうのですが、それを思い出そうとするゾロと、そういうゾロをやっぱり好きなサンジの関係がいい。結局、大切な今の気持ちがあるから思い出せなくてもいいというラストまで、よくできていたお話。『黒き同位相』ゾロがの体のみ小さくなってしまうお話。サンジがまめまめしく世話をするあたりの、笑いを取るセンスもあっていい。ゾロが元に戻れないなら、自分も小さくなってもいい。今、同じ世界を見れないのが辛い、というサンジが好きです。『庇護の~』は、竹藪に阻まれて二人が近づけないお話。サンゾロだけど、ゾロがサンジを守るトコは、ゾロサンの要素あり。
ん~。こうやって考えると、この3つはゾロサンでも通じるような内容なので、「サンゾロだからいい」とはならないかも。結局は私はゾロサン人間ということですかね。
猿谷ハチさんは、とても絵が上手な方なのですが、私は2002年ころの絵が一番好きです。