多元的全体食のすすめ(十三) 食べ物研究家 五十嵐玲二談
13. 食物の危険性について
美味しい料理の話をしているのに、私もこの話をしたくありませんが、避けては通れません。本当は食物の安全性としたかったのですが……。食物が距離と時間を超越して、私たちの口に届くのは、喜ばしいことですが、そのためには代償をはらわざるを得ないのです。
その一つ目は、殺虫剤、除草剤などが、ダニならダニにだけ効力があるのではなく、他の生物(人間も含む)に対しても有毒です。この事は、手作業で長期間にわたり殺虫剤を扱った人々が、後遺症に苦しんでいることでわかります。
さらには、レイチェル・カーソンは、多くの困難を克服して、環境ホルモンの生態系への影響について調査して、 ”沈黙の春” の中で様々に語っています。
その二つ目は、除草剤を大豆なら大豆に撒いただけなので、安心とはならないのです。それはすべての物質は水とともに、生物を循環し、地球を循環しているからです。沈黙の春の中でも、食物連鎖によって、白頭鷲の卵が孵らないという、お話しが出てきます。
私のブログの ”地球と太陽と水と生物のエントロピー逆走物語” のメインテーマは、地球上の物質は循環し、私たちの体をも構成していますということです。
その三つ目は、食物は消化されて、酸素と結合することによって、私たちはエネルギーとして利用できます。食物は、そのままでも、時間の経過によって、少しづつ酸化、腐敗、形の崩れをしていきます。
さらには、私たちにとっての食物は、他の動物や昆虫や細菌にとっても、食物なのです。そして、このことが食物の本来の姿なのです。
次に、四つの段階に分けて、どのような有害物質の影響を受けるかを見てみます。
(1) 農産物の生産段階 除草剤、殺虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、防カビ剤
農産物の生産段階に於いて、遺伝子組換え作物とモンサント社について考えます。モンサント社世界最大の種子、農薬メーカーです。モンサント社は、ベトナム戦争の枯葉剤の開発メーカーです。
モンサント社は、除草剤ランドアップを開発し、ランドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組換え作物を販売している。ランドアップの主成分であるクリホサートは、非選択性除草剤であり、ランドアップ漬けになってしまった土壌では、何も育たないそうです。
(2) 畜産の段階 成長ホルモン剤、抗生物質
家畜への抗生物質の乱用は、多剤耐性菌を生みだす原因になります。成長ホルモン剤の利用は、肉や牛乳に移行し、人のホルモンバランスを崩す恐れがあります。さらに家畜の飼料の中の残留農薬や防腐剤も悪影響を与えます。
(3) 貯蔵と移送の段階 防カビ剤、防虫剤
ポストハーベスト(post-harvest 収穫後の農薬処理)は、収穫物である果物や穀物、野菜に防カビ剤、防虫剤を高濃度で使われます。
(4) 料理の段階 防腐剤、抗菌効果剤、静菌硬化剤、酸化防止剤、保護コロイド剤
家庭で料理する時は、使いませんが、工場で料理をする場合は、防腐剤、酸化防止剤、保護コロイド剤などを使用して、つくった時の状態を保とうとします。 (第13回)
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