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チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

概念アラカルト(その3)

2016-07-08 13:25:29 | 教育

  概念アラカルト(その3)   概念研究家 五十嵐玲二談

 10. 微分 デファレンシャル(differential)

  difference (相違)+al = 区別を示す、特異な、微分の

 今、45度の角度で、ボールを投げた時、縦軸に高さを、横軸に時間をとって、グラフを書きます。すると、最初は上昇しますが、最高点に到達すると、今度は落下し、万有引力で加速され、地上に落下します。

 このグラフで、接線が高さ方向の速度です。最高点に達した時、高さ方向の速度は一瞬ゼロになり、つぎに下方向に加速されて、地上に落下します。

 万有引力を発見したニュートンは、微分積分をほぼ現代の形にしました。ニュートンは、地球の周りをまわっている月が落ちないのは、接線方向に飛び出そうとする遠心力と地球が月を引っぱる万有引力が釣り合っているためだと考えました。

 このことは、太陽の周りをまわる地球にも、地球の周りをまわる人工衛星にも適用されます。しかしながら、万有引力は、重力であることは解かっていますが、重力のなんたるかは不明です。


 11. 積分 インテグラル(integral)

  integr (整数)+al = 不可欠な、全体の、積分の

  今、走っている車の速度を縦軸に、時間を横軸にとって、車の動きを描くと、一つの曲線が描かれます。

  この曲線は、出発時点を時間軸ゼロとして、アクセルを踏んで加速していきます。すると右肩上がりの曲線になります。

  この曲線に接線を引く、(その時の速度の変化をみる、すなわち微分すると)加速度が得られます。

  この曲線の出発点から、ある時点(T)において、垂線をたらしたとき、囲まれた面積、(すなわち、0からT時点までを積分すると)走った距離が、求められます。

 速度を微分すると、加速度が得られ、速度を積分すると距離が求められます。逆もまた真なりです。私もイメージとしてしか理解してませんが、微分積分はどこまで行っても、謎のような気がします。私も勉強中のつもりです。


 12. 文化  カルチャー (culuture)

  calt-(耕された)+ -ure(もの) = 文化、教養、耕作

  文化と文明について、考えてみます。文化は言葉に対応し、文明は文字に対応します。話言葉は、すべての民族にそれぞれの言葉が存在します。文化もすべての民族、地方で独自の文化が存在します。

 一方、文字は、文明であり、数カ所の都市で発生したものが、引き継がれて発展し、現在は、アルファベット、漢字、アラビア文字、ブラーフミー文字(インド語系)などがある。(シュメールの楔形文字に触発されて生まれたとも言われている)

 文化は、人々が生活するためのすべてに於いて、引き継がれて発展しますが、文明は、大きな歴史の流れの中から、生まれ、その中で、発展します。

 

 13. 文明 シビリゼーション(civilization)

  civilize(啓蒙する) + -ation = 文明

  文字、鉄器、優れた農産物(小麦、米、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ)、貨幣、数学、音楽、科学技術、蒸気機関、自動車、飛行機、船舶、ガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、発電機、モーター、ジェット機、ロケット、コンピュータ、集積回路、ネットワークシステム、医薬品、兵器、株式会社、都市……などが文明の産物です。

 これらは、都市文明の中で生れ、発展し、人々を文明の流れの中に、巻き込んでいきます。文明は、水の惑星地球にとっても、私たちにとっても、もろ刃の剣でもあります。


 14. プラシーボ (placebo) 偽薬

  プラシーボ効果とは、薬効成分を含まないプラセボ(偽薬)を薬だと偽って投与された場合、患者の病状が良好に向かってしまうような、治療効果を言う。プラシーボの語源はラテン語の「喜ばせる」に由来している。

 これは、生理的にも心理学的にも、もっとも奇妙な現象で、暗示効果で痛みなどの主観的な症状には効いても、血液検査などの検査値には関係ないと思われがちだが、その検査値すら変わることもある。

 私たちは、本質的に病気は自分の力で治すことができる。単に病気は治ると信じているからだ。言い換えれば、自分に暗示をかけて健康を取り戻すことができる脳の底知れない力を証明しているのだ。

 近年、医者たちは、ハロウィンのキャンディのように抗うつ剤の処方箋をばらまいてきた。薬のおかげでうつ病が抑えられる確率が高いからだ。しかし、偽薬でも同じ効果があらわれ、有害な副作用も減らせるという研究が注目を集めている。

 当然のことながら、大手製薬会社はこの発見を重要視していない。抗うつ剤でなくてもうつ病が抑えられるとなったら、多大な損失をこうむるからだ。

 一方で、精神疾患に苦しむ人たちにとっては朗報となるかもしれない。病は気からであって、薬の助けをかりなくても、回復することができることを示しているからだ。 (パラカイヤより)


 15. ポテンシャル (potential)

  potent-(能力、力)+-ial(…関する)= 潜在力

  ここで言うポテンシャルは、可能性を秘めた 〔 力、資源、能力 〕です。

  たとえば、子供のポテンシャル(秘められた能力)を持っていますが、しかるべき時に開花させなければ、その能力は開花することなく失われます。

  緑の地球のポテンシャルは、計り知れませんが、熱帯雨林も、サンゴ礁も、マングローブの森も、豊かな草原も、豊かな海の幸も、地下水も、それぞれのサスティナビリティ(持続性)を考えて、その恩恵を享受しなければなりません。

 すなわち、ポテンシャルは秘められた力であり、資源であり、能力ですが、その可能性が失われないように、よく観察し、もし失われたら、二度と戻らないことを、よくよく考えなければなりません。

 

 16. チョイス (choice) 選択

  ここで言う選択とは、未来に対して、自分がいくつかある選択肢の中から、どれを選択するかということです。しかし、未来は誰にも分りませんが、選択する前に、それぞれを選択した時の、未来での結果を予想します。


 シーナ・アイエンガーは、「選択の科学」(The art of Choosing)の中で、選択によって道は開けると書いています。


 選択について、私は三つの課題を提示します。

 一つ目は、選択するタイミングです。選択をすべき最適な選択肢は、無論ですが、選択すべき最適な時点、すなわち、チャンスはその時点では、見えませんので、ぼやっとしているとチャンスは消えてしまいます。

 二つ目は、選択肢は自分で努力しなければ、選択の自由は得られません。

 三つ目は、窮地に立たされてからの選択肢は、前門の虎、後門の狼で、そこには選択自由はすでに残されていません。


 自分で選択肢を獲得するには、自分の得意な分野を伸ばし、自分の力を発揮する場が必要です。

 一般に、選択の時期は、ピークがあり、その後減少し消滅しますが、プラスの方向に回転し始めると、つぎにはより大きなチャンスが訪れます。


 選択に於いて、意外に重要なことは、小さな選択を積み重ねて、大きなチャンスを呼び込むことではないでしょうか。

 例えば一食一食を大切にし、こまめに働いて、よく歩き、現状をよく観察し、地道な努力をするとき、未来へのチャンスの扉が見えてくるのではないでしょうか。 (第3回)