「古代史」謎解きのヒント/関裕二/講談社/2006
古代史の歴史書をある程度読み終えた人が読むと、古代史に関する視野、着眼点が見えてくる参考書みたいな本。
著者は歴史作家だが内容は歴史家的記述なので、剽窃だらけと評判の百田の歴史書とは一線を画している。参考文献の紹介もあり中級者向けの読書案内本でもある。
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歴史の教訓 「失敗の本質」と国家戦略/兼原信克/新潮社/2020
第二次安倍政権を安全保障外交面で支えた、官僚が纏めた、近現代史の歴史書。内容的に素晴らしいと思うのは、大東亜戦争開戦前の日本政府内の分析、終戦を導いた軍人たちのドラマである。満州事変、仏印進駐を外交上の悪手であると言い切るところ、山本五十六の歴史的評価などは一読の価値がある。
何より素晴らしいのは日本語表現である。流麗であるばか . . . 本文を読む
謀略の構図/吉原公一郎/ダイヤモンド社/1977
戦後現代史の闇を扱った貴重な本。古書価格は1万円以上。ロッキード事件から始まり、CIA関係者、日韓利権、昭電疑獄、金大中事件、再軍備、戦後の中野学校卒業生の動向など、この時代を生きた人なら、読んでみたくなる箇所が満載。類似本がないため、戦後現代史に関心ある人にとって必読の一冊。 . . . 本文を読む
日米戦争を策謀したのは誰だ! ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿 そしてフーバーは──/林千勝/ワック/2019
大東亜戦争開戦の引き金を引いたのがルーズベルト大統領であったことをたくさんの歴史書から読み解こうとした労作。この種の本にしては400頁近い大作である。しかし、引用箇所は、前半はフーバーの名著「裏切られた自由」が多い。フーバーが、フーバーがという件が多くいため、著者は巻末の参考文献 . . . 本文を読む
歴史に学ぶ知恵 時代を見通す力/副島隆彦/PHP研究所/2008
いささか自画自賛傾向な点を除けば、一見まともそうな歴史書。ただし、著者の歴史観は参考になる点は多いものの、当該史料をきちんと読み込んで書いているかどうかはわからないが、出典・参考文献をまったく記すことない百田尚樹の「日本国紀」、一度も歴史書を書いたことがない西尾幹二が通史書としてまとめた「国民の歴史」よりは、歴史書としての価値があ . . . 本文を読む
ファシスト群像/長谷川公昭/中公新書/1982
ファシストというと悪いイメージしかないが、これは、戦時中ナチス側と手を組んだ勢力であったため、戦後においてレッテル貼りされることとなった。この本の終わりの方に、知られざるリンドバーグ語録が纏められている。それによると、リンドバーグは、アメリカを戦争に巻き込まないことを目的とする、反戦論を掲げたアメリカファースト委員会に参加、「アメリカを戦争にひきず . . . 本文を読む
実録アヘン戦争/陳舜臣/中央公論社/1980
アヘン戦争の経緯だけでなく、イギリスの経済事情、アメリカという国の信用ならない外交態度など、当時の欧米各国の事情についての見解が読める。歴史書としては異色。ただ、19世紀に清国が置かれた事情、明治維新直前のアジア情勢を把握するのに役立つ一冊である。
著者は、台湾系中国人。後に日本に帰化。小説家として知られている。含蓄ある日本語を駆使する特徴がある。 . . . 本文を読む
ユダヤ人とダイヤモンド/守誠/幻冬舎/2009
ユダヤ人とダイヤモンドの係わりについて述べられた歴史書。著者の商社マンとしての経験をもとに実態に即して書かれている。参考文献等の紹介もあり、歴史書としての要件を満たしている。
第二次大戦で、ナチス・ドイツがアントワープで何をしたかについての解説は、世界史の知られざる一面である。ダイヤモンド取引に係る、ユダヤ人とベルギー、インド、イスラエルの関係を . . . 本文を読む
東西のユダヤ人/高橋吉文/北海道大学言語文化部/1998
ユダヤ人に関する基本的情報を整理した初歩的な本であるが、学者が書いて纏めた本ということで、引用・参照価値ある文献である。第一章のタイトルは「基礎的図版史料によるユダヤ・ガイダンス」となっている。各章巻末の参考文献は、(陰謀論扱いされにくい)ユダヤ史の重要文献を一応網羅している。 . . . 本文を読む
英国ユダヤ人の歴史/佐藤唯行/幻冬舎/2021
ヨーロッパ各国がユダヤ人を歴史的に差別した中で、イギリスだけは異なり、ユダヤ人の権利を尊重、活躍の場があったとされる。イギリスが中世以降、世界の強国となれたのはユダヤ人の支援・活躍に負うところが多いと言われている。本書は、イギリス史上、活躍したユダヤ人に焦点を当て、著者なりの調査結果を纏めた一冊である。中でも、「ビートルズを作った男、エプスタイン」 . . . 本文を読む