流星パズル

イナズマイレブンの愛を語りまくるブログ。
一部腐向けですので、苦手な方はお引取り下さい。

約束 (豪円)

2010-03-07 16:35:41 | 小説



―――何だ、この気持ち。
俺は一人で立ち竦んだ。
「…どうかしたのか、円堂」
後ろから声が聞こえた。
振り向かなくても分かる。鬼道だ。
「え、な…何もねぇぜ、別に」
俺は鬼道の方を振り向いて、にこりと笑った。
自分でも分かるんだ。
作り笑いが下手だってことくらいは。
だけどそうでもしなきゃ「何かあったのか」とか
聞かれるのが嫌だったから。
俺の気持ちを察したのか「…そうか」と鬼道は言い、
俺の肩をぽんと叩いた後その場を去った。
だけどゴーグル越しに鬼道の目が俺の後ろに向いたのが分かったんだ。
そう。俺が今まで見ていた景色。
俺はまた振り返り、ただ見た。
見ることしか出来なかった。
豪炎寺と土方が楽しそうに喋っている。
ただそれだけのことだ。
チームメイトが仲良く喋っているだけだ。
キャプテンとしてはすごく微笑ましい光景じゃないか。
…キャプテンとしては。
だけど、円堂守としては?
俺としては、何でか分かんないけどもやもやする。
豪炎寺は、俺と喋ってる時だって笑ってくれる。
だけど、土方と喋るときは俺と喋るときと違う笑い方をする。
そりゃあ、人なら誰だってそうだ。
だけど何でか、胸の奥の辺りがうずうずしてる。
俺は数ヶ月間は豪炎寺と一緒にいれなくて、
その間豪炎寺はずっと土方と一緒だった。
その過去の事実は変えられない。
それが悔しくて悔しくてたまらなかった。
俺は豪炎寺がいない間、サッカーで精一杯だったけど、
それでも頭の中は豪炎寺でいっぱいだった。
今までのこととか、
今豪炎寺はどこで何をしてるんだろうとか、
今豪炎寺は誰とどういう風に笑ってるんだろうとか、
少しでも俺のことを思い出してくれるのかなぁとか。
そんなことばっかり、考えてた。
だけど豪炎寺はどうだったんだろう。
今も二人の間に特別な何かがあるわけでもなく、
実際に今豪炎寺は土方と仲良さそうに喋っているから。
どうしたんだよ、俺。
前はこんな風に考えたことなんかなかったのに。
何か…心が狭くなった気がする。
俺以外の人と笑わないでほしい。
そんな言葉しか頭に浮かんでこなかった。
焼餅を焼いてるとか、嫉妬だとか、
そういう単純な感情に振り回される日が来るなんて思ってなかった。

そして練習が終わった後、俺は一人で帰った。
誰かと一緒に帰るのも何でか嫌だったし、
いつもみたいに練習が終わった後でも練習をする気もなかった。
誰にも見つからないように、早く。
「…何だ…これ…」
俺は橙色に染まりつつある街並をとぼとぼ歩きながらひとりごちた。
俺が、俺じゃないみたいだ。
いつもの俺じゃない。
俺は何度も何度も溜息をこぼしながらただ歩いた。
「円堂!」
すると、後ろから声が聞こえた。
その声が聞こえた瞬間、体全身の神経がぴたりと止まった気がした。
何でか分かんないけど、涙が出そうになった。
足が竦んで動けなくなった。
振り向きたい。だけど振り向けない。
振り向いてしまったら泣いてしまうような気がした。
その声を聞いただけで泣きそうになってる。
「…円堂。今日、どうしたんだ」
豪炎寺は俺の後ろ姿をじっと見つめて言った。
「…っ―…」
俺は何かを言おうとしたけど、何て言ったらいいのか分からなかった。
歯を食い縛った。力いっぱい拳を握った。
だけど俺の脳は怠け者で、いい言葉を出してくれない。
「…円堂?」
豪炎寺のいつもより優しい声が、ふわりとした感覚で耳に入ってくる。
だけど豪炎寺はそれ以上俺に何も聞かなかった。
それが豪炎寺らしいと俺は思った。いつも通りの豪炎寺。
俺が知ってる豪炎寺。
そんなことをぼんやり考えていると、豪炎寺が俺の腕を掴んだ。
「…えっ…?」
俺は驚いた。豪炎寺は無口のまま、俺を引いて歩き出す。
「…豪炎寺…?」
俺が豪炎寺の名前を呼んでみても、何の反応も示さない。
二人は何も言わずに歩き続けた。
すると、見覚えのある場所に来た。
鉄塔広場だ。
それが今はすごく良い時間帯で、夕日が綺麗に輝いていた。
「…なんで…」
俺はらしくもなく、小さい声で聞いてみた。
「お前が元気ないみたいだから。
街の中じゃ喋りにくいかと思ったんだ」
豪炎寺はそのままベンチに腰掛けた。
こういうさりげない優しさがあるのも、豪炎寺の性格の一つ。
豪炎寺の一つ一つを知っていく。
それはすごく嬉しい。
だけど、一つ一つ豪炎寺の知る部分が増えていくたび、
一つ一つ豪炎寺の小さな仕草も忘れていくんじゃないかって不安になる。
本当…何なんだろう。
こんなの俺じゃない。
「…何でもいい。何でも言ってみろ」
豪炎寺は夕日をじっと見つめたまま呟いた。
俺はどうしても言いにくかったけど、思い切って言ってみることにした。
「…お前が今日、土方と喋ってるときに思ったんだ。
お前が沖縄にいた間、俺はサッカーのことで精一杯だったけど、
頭の中は豪炎寺のことばっかだった。
どこで何してるんだろうとか、誰とどうやって笑ってるんだろうとか、
本当にもうそんなことばっかり。
だけど豪炎寺は沖縄にいる間、ずっと…。
土方と一緒だったんだろうな、って…」
俺はまた言葉に詰まった。
だけど、何だか自分が言った言葉に急に恥ずかしさを感じた。
「…あ、や、やっぱいい!今の、全部忘れて!」
俺は自分でも分かるくらい顔が赤くなっていた。
何言ってんだろ、すっごい恥ずかしい…。
「…」
豪炎寺は黙っていた。俺は豪炎寺の方を見ると、豪炎寺は少し顔を赤くして微笑んでいた。
何か…嬉しそう?
「ご、豪炎寺?」
「…何でもない」
豪炎寺はそっぽを向く。耳まで真っ赤にして。
「…豪炎寺、もしかして喜んでる?」
俺は豪炎寺の顔を覗き込んだ。
「見るな」
豪炎寺は自分の顔を手で覆い隠す。
「…豪炎寺」
俺は自分でも驚くほど急に真面目になって、豪炎寺に喋りかけた。
「何だ」
豪炎寺は相変わらずそっぽを向いてるけど返事はしてくれた。
「もう、どこにも行かない?」
俺がそう言うと、豪炎寺はこちらを振り向いた。
「…ああ」
豪炎寺は静かに頷いた。
それがどれだけ幸せか、前の俺なら全然知らずにいただろう。
「離れない?」
「ああ」
「俺の、ずっと傍にいてくれる?」
「ああ」
「俺と、ずっとサッカーやってくれる?」
「ああ」
「絶対に?」
「約束する」
そんな会話のキャッチボールをしながら、俺は幸せに浸っていた。
今、幸せなんだ。
豪炎寺とこうやって話せていることが。
豪炎寺とこうやって笑えてることが。
「豪炎寺…。好きだ。お前が一番好き」
「俺もだ、円堂」
きっとこの瞬間は誰にも邪魔されず、二人の思い出になる。
忘れられない、忘れたくない思い出になる。
もう絶対に、握り合ったこの手を二度と離さない。
二人の重なり合った唇が、約束の証であるように。
――――――――――――――――――――――――――――――

っていう豪円…え、これって円豪かな??
まぁ豪炎寺×円堂の小説でした。
つまり、何が書きたかったんだ、と聞かれるとしたら、
私は円堂が嫉妬する姿が書きたかったんです。
円堂って、綾瀬は○か級の天然だと思うんですよ。
そんな天然な子が、恋に気付き嫉妬とかやっちゃってくれたらおいしい!
と思ったのがきっかけです。
それに、二人がお互い離ればなれだった時のこととかも書きたかったし、
円堂に嫉妬されて内心嬉しいってなってる豪炎寺も書きたかったんです。
最終的にキスもさせたかったんですよね。(最後の一文だけだけど)
っていうか、昔からもそうなんですが、
最近豪円が好きすぎてたまらない。
(私の)イナズマの腐は、豪円から始まったんですけど。
何かさ、あの二人はまるで少女マンガだよねー。
始まりの出会いとか、初め豪炎寺は円堂を避けてたり(避けてはないけど)、
お互いの信頼関係とか、途中のすれ違いとか、また出会ったりとか…。
今までの歴史がね。イナイレの中で深いのはやっぱり豪円だよね。
この二人は最強夫婦だと思うんだ。夫婦だよ夫婦。
実はですね、何で突然豪円の小説が書きたくなったんだというと、
今まで撮っておいたイナイレをDVDに移そうとして、
CM編集をしてたんですよ。
そしたら、その回が丁度豪炎寺が帰ってくる話のときだったんです。
で、CM編集とかいっときながらじっくり内容を見てたら、(おい
やっぱりこの二人は最強夫婦だな~と思い。
お互いがお互いを信頼してる姿が、見てて微笑ましすぎます。
これからもずっと好きだよ!豪円!!

なんか汚く長い文章お見せし申し訳ありませんでした(汗)。

またね!!


1 コメント

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お願いします! (ミッフィー)
2010-03-08 22:07:23
豪炎寺と吹雪の、小説を、書いていただきたいのですが・・・。この二人って、仲が良いし、会話がちゃんと、吊り合って、結構良い方向にいくのかな~~・・・って。
すみません。何か勝手なこと言ってしまって。じゃあ、楽しみにしています。
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