流星パズル

イナズマイレブンの愛を語りまくるブログ。
一部腐向けですので、苦手な方はお引取り下さい。

別れ ~灼熱~ (吹豪)

2010-03-15 22:07:58 | 小説
※腐向け(BL)小説ですので、苦手な方はご注意下さい。


―――夕焼けが町全体を橙色に染める頃、
キャプテンがぱっと鉄塔広場のベンチから立ち上がった。
「それじゃ、俺はもうそろそろ行くな」
「あ、キャプテンもう帰るの?じゃあ僕も帰るよ」
僕もキャプテンとほぼ同時に立ち上がった。
「吹雪と豪炎寺はゆっくりしとけよ。
最後なんだから、二人で喋ったらいいじゃん」
キャプテンは優しく笑いながら僕の腰を下ろした。
「キャプテン…。
じゃあ最後だから言っておくね。
今までありがとう。君に出会えて本当に良かった。
また会おうね」
「ああ!またな、吹雪」
キャプテンと僕はがっちりと熱い握手を交わし、
そのままキャプテンは去っていった。
そして僕は、豪炎寺君の隣に座りなおした。
「…豪炎寺君にも、最後だから言っておくね。
今までありが…、!」
僕は自分でも無意識に、声がぴたりと止まった。
いきなり真正面から抱きしめられてビックリしたから。
「ご、豪え…」
「最後なんか言わないでくれ。言葉なんかいらない。
欲しいのは…吹雪、お前だけだ」
「!」
僕の心臓がドクン、ドクンと高鳴り始める。
豪炎寺君の心臓も騒ぎ始めていた。
「…いいよ」
僕は聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で同意した。
豪炎寺君は強く抱きしめていた手を離し、僕の肩に手をやった。
そして唇と唇を重ねる。胸が熱くなった。
初めは触れるだけのキスのつもりが、お互い夢中になってしまい、
熱い舌をどちらからか差し込んでしまった。
互いの舌が絡み合い、口の中に唾液が溜まってごくんと飲み込んだ。
豪炎寺君の何かが僕の体内に入ってくるようで、何ともいえない感じがした。
飽きず舌と舌を絡み合わせていると、唾液の混ざり合った音がいらやしく感じたりもした。
だけど、僕はいきなり重ねていた唇を離した。
すると、今まで唾液を混ざり合わせていたので白い糸が僕と豪炎寺君の唇と唇の間で伸びた。
「…お前…いきなり離すな」
豪炎寺君は驚いた後、眉間に皺を寄せて白い糸を吸った。
「…ごめん。でもっ…辛いよ…」
「!」
豪炎寺君は目を見開いて驚き、その後色々考えている様子を見せた。
だけど僕は静かに頬に涙を伝わした。
泣いたのなんか、久しぶりだった。
今まで色んなことがあっても、泣かなかった。泣きたくなかった。
弱い自分を隠したかったというのもある。
そしてアツヤに「泣き虫」ともう言われないように、と。
一人でも、独りでも、泣かずに生きていけるんだと自分に言い聞かせたかったのもあるから。
「…どうして辛いんだ。どうして泣くんだ」
「…豪炎寺君と一緒に居られなくなるのが…辛い。
今はキスだって出来るんだよ。でも…もうすぐ会うことも出来なくて見ることも出来なくなるんだよ。
…それなら、今こんなことしたって…辛いだけだよ…」
僕は涙を流したけれど、拭いたくはなかった。
自分が泣いているという事実を、受け止めたくなかったから。
やっぱり自分は弱いんだ、と嫌でも現実が胸に突き刺さる。
結局一人でなんか生きれるはずはない。
自分の中に、アツヤという人格を作り、アツヤに何もかも頼り切っていた。
アツヤがいなければ生きていけない、と思う程になっていた。
泣かなかったのはアツヤがいたから。
僕よりも強いアツヤに負けたくないから、と自分に言い聞かせていただけだ。
アツヤの人格がなくなってから、良くも悪くも変わっていた。
やっぱり誰かに頼らないと生きていけないような人間ということには変わりない。
涙を流し、今も豪炎寺君を頼り、自分の隠しきれない弱さを豪炎寺君のせいにしている。
そんなことを考えながら泣いていると、豪炎寺君のはっきりとした声が聞こえてきた。
「守ってやりたいと思うんだ。誰よりも傍で、何よりも近くで」
今まで黙っていた豪炎寺君が言った言葉は、自然と耳にこびり付いた。
もしかしたら、この言葉が僕の求めていた言葉だったのかもしれない。
守ってほしかったのかもしれない。
「辛いことなら、いっぱいあるんだ。
俺もそうだけど、吹雪だって沢山経験してきただろう。
だけど…俺が痛い程思ったことは、
何よりも辛いことは諦めることだと。
だから、諦めたくないんだ。
どんなことがあったって、どんなに離れていたって、吹雪をずっと好きでいたいんだ」
豪炎寺君ははっきりと言ってくれる。
その声に迷いはない。それが羨ましくて仕方なかった。
「…豪炎寺君がいなきゃ、迷わずに帰れたのに…。
豪炎寺君…。帰りたくない…。北海道に…戻りたくないっ…」
僕は豪炎寺君に縋り付くように抱きついた。
誰かの手を借りないとここに居ることすら出来なくなるような気がして。
「もう…一人に…しないで…」
僕の本当の気持ちだった。だけど本当だからこそ、震えてきた。
怖かった。悲しかった。誰にも言えなかったことを、言ってはいけないことを、
声に出してしまった。
今まで独りぼっちだと自分に言い聞かせてきた。
“吹雪士郎”という存在は一体何なのかと考えても考えても、答えは出なかった。
寂しくて寂しくてたまらなかった。いつだって誰かと一緒にいたいと思っては、
周りの人は一人、二人、とどんどん消えていった。
「大丈夫だ。離れてても…」
「変わらない気持ちなんてないんだよ。
終わらないものなんてないんだよ」
僕は必死に言った。
大丈夫なんて言ってほしくなかった。
僕の愛する人は、必ず離れていく。
僕の手の届かない所へと行ってしまう。
追いかけても追いかけても届かなくなってしまう。
そのうち、追いかけることを諦めるようになってしまう。
それが怖いんだ。
豪炎寺君とこのまま離れて、もう会えなくなるんじゃないかって。
今までの経験が、その考えしか生み出せなくなってしまっている。
「俺を信じてくれ、吹雪」
「でもっ…」
「人を信じることは簡単じゃないと分かってる。
だけど、俺だけは信じてくれ」
僕は、その言葉を信じてしまった。
信じたくない、と思っていたわけではなかったからだ。
信じたい、と思ったからだ。
豪炎寺君を、豪炎寺君そのものを。
僕は抱きしめる腕の力を強くした。
「信じてる」のサイン。
見逃さないでほしい。
僕のどんな傷だって、癒してほしいと思うから。
その傷を癒す相手は、豪炎寺君だけだと信じたいから。
「別れなんかじゃ…ない」
豪炎寺君の声と、豪炎寺君の僕を抱きしめる腕の力が、僕の心を強くしてくれる。
例え二人の行く道が別れてしまっても。
別れは次の出会いと一緒で、また豪炎寺君と出会えると信じているから。
例え何かが終わってしまっても。
終わりがくればまた新たな始まりがくるのが、この世界で唯一変わらないもの。
それを気付かせてくれたのは、豪炎寺君だけだから。
この気持ちが壊れない限り、
豪炎寺君は僕だけのもの。僕は豪炎寺君だけのもの。
その隠された強さと優しさが誰かに汚されないように。
小さく願った。
――――――――――――――――――――――――――――――


勢いでバーッと書いてしまったので、
ちょっと納得出来てませんが更新します…。
ミッフィーさんからのリク&自分の書きたいものもあるので、
この吹雪ver.は早く更新させておきたかったんです。
豪炎寺のときと、吹雪のときと、
同じシチュエーションで、見方によっては全く同じように見えるかもしれませんが、
私にとっては全く違います。
豪炎寺と吹雪って正反対の人間に思うから。
でも、人って自分にない魅力がある人に惹かれるじゃないですか。
それってやっぱり豪炎寺と吹雪みたいだなーって思います。
まあ…こんな感じです(笑)。
吹雪ってあんまりテレビでは泣かなかったので、
本当は涙もろい子だといいなーって。
でもあんまり泣かないのは強い子だと思います。

だってさー…アニメの話だけども、フィクションだけども、
中学2年生で肉親が誰もいないとか悲しすぎる…。
誰でもノイローゼになるよ…。
っていうかまず肉親が皆いなくなったのって、吹雪が幼稚園とか小学生とかでしょ。
ああ…それ思うと泣けてくる。
そういう辛い過去があるのに、サッカーやってるのとか、
泣かずに生きてるのが強い子だって本当に思います。
大好きだぜ吹雪!!愛してる!!(同情とかじゃなく)
大好きなキャラが大好きな声優さんが声やってて良かったと思います。
宮野さん好きすぎてやばいです。
私が一番好きな声優さんは宮野さんです。
あの囁くような美声たまらない…!歌も上手すぎるし!!
でも、3期になって突然吹雪(宮野さん)目立たなくなったよね…^p^
虎丸・飛鷹・鬼道・豪炎寺・網海あたりが目立つ存在になってるな。
(キャプテンは主人公だから目立つのは当たり前として)
虎丸と飛鷹が目立つのは分かるけど。
まあ…吹雪は2期にめちゃくちゃ目立ったからしょうがないのかな…。
っていうか立向居とか小暮とか目立たなさすぎ大丈夫かorz
何故栗松のほうが目立つんだ…!
風丸も好きだけどもう少し大人しくてもいいんじゃ…。
まず夏未が全然出てこない時点で3期に絶望感じてる^p^
ああ…暗くなるな、私よ…。
大丈夫…。すぐに夏未出てくるわよおおおおおおおおお(多分)

…ということで、ミッフィーさん。
またすぐ吹円とか豪吹とか書きます。
リクエスト、期待に応えられるように頑張ります。

下手くそでぐっちゃぐちゃな小説ですが、
コメント下さる叶さんも本当にありがとうございます!
嬉しいです!そのコメントが私の原動力です(笑)。

そして3期のあの記事にはまだたくさんのコメントが…!
皆さん繋げて下さってありがとうございます(笑)。
何かあそこだけレスみたいになってる(笑)!
嬉しいです、皆さん本当にありがとうございます。
また新たな情報がばんばん入ってくるのが、
私たまらなく嬉しい!!(≧∀≦*)
また3期のことについては更新します。

まずはまた小説書くの頑張ります(´・ω・`)

では~


2 コメント

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がんばれい↑ (ミッフィー)
2010-03-16 19:51:59
ワーーーー。葵さん、やっぱりすごいですね。同じ中1とは、思えない・・・(汗)。
そんでっもて、葵さんに無理なお願いかも知れないんですが、ガゼル・吹雪、ヒロト・円堂の小説を書いてくれませんか?
がんばってください。
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ありがとうございます!! ()
2010-03-16 18:10:44
私も葵さんに嬉しいと言ってもらえて、嬉しいです!!
ちなみに私も宮野さん大好きです!!(笑)大ファンです!!デュラララ(紀田正臣役)も見てるのですが、やっぱりあの声は最高ですッッ!!
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