These Foolish Things

何気ない日常の中に見つけたいろんな素敵なものの記録

パクリ文化の楽器事情

2010-05-08 | 音の話し
何かとお騒がせなパクリ騒動
普通に日本で働いていらっしゃる皆様方には縁遠いお話しでしょうが

このブログを読んでらっしゃるあなた!
そうそう、あなたです

家に1本くらいは有名ブランドのギターのコピーモデル
あるんじゃないですか?

コピーモデルと簡単に言いましたが
正直言ってほとんどが正規品の認可を取っていないパクリ商品です

楽器業界には悪しき伝統があり、ほんの数年ほど前まで
日本のとある企業がアメリカのギターメーカーから特許侵害で訴えられていました

あろう事かその企業はブランドやメーカー名まで同じに作り「技術提携」まで謳い文句にしていました
当然、全くそんな事実はなく・・・
騙されたのは高額でその商品を買い続けた顧客なのですが

わたしもずいぶん多く「この企業のギター」を修理しましたが
ほとんどのお客様は本物と信じて疑いもないようでした。。。。
「アメリカ本国の技術供与を受け日本の現地法人にて生産」だと・・・・(悲)

正直言って楽器業界に長く携わってきたものとしては
このところの「パクリ!パクリ!」と中国を非難する声には耳が痛いのです

だって日本の業者がアメリカの有名メーカーのコピー品を中国の工場に作らせているのですから・・・・
楽器店の店員なんか堂々と「レスポールモデル」だとか
「ストラトタイプのエントリーモデル」「マーチンタイプ」
「ギブソンのJタイプ」なんて甘い言葉でお客さんに売りつけちゃってます

70年代の日本の楽器業界が率先してコピー品の製造・販売の既成事実を作り
結果として今、無許可(メーカーから見ると)のまま製造販売を続けているのです
99%同じ形でもヘッドデザインの一部が違えば良い・・・と言う業界通念です
いわゆる「似て非なる物」と言うヤツですね

ただし、以前も書いたようにその「本物に追いつきたい」「出来る事なら本物を追い越したい」
そうした職人の熱意と研究・向上心が70年代の国産傑作ギターの誕生へ繋がった事は
言うまでもありません(諸先輩方に敬服する点ではあります)

とは言え楽器業界人は「パクリ」と言う言葉にどの業界の人より「敏感で鈍感」と言う
矛盾の中に生きている事実も一般の方々にはぜひ知っておいて頂きたいのです
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