結局、『レ・ミゼラブル』も『オペラ座の怪人』も25周年記念公演DVD仕入れちゃいましたよ!
予定外の物をあまぞんで購入した場合、買ったとは言わず「密林から仕入れた…」とうしろめたそうに言うことにしている。
恐るべきラミン効果…!
オペラ座はCDを先に聞いてますから、物凄いパワー・ファントムであろうことは心得て見たぜ。
でもあの声で迫られたら、クリスティーヌは拒否っても私はオペラ座の地下で一緒にバリケードを築きます(違います)。
しかしクリスティーヌも強力だった…。ラウルもな。みんな突撃体制。
まずは怪人については、この話の肝である、ファントムの哀しみと惨めさが真に出せる役者はこれまでどのくらいいたのかな。四季公演の数人のバージョンしか見てないから比較はできませんが。
市村ファントムはそこは完璧だった。当然ながら。あの人は歌唱力より演技力でキャスティングされたから。あれ以降歌唱力も上がりました。
ラミンは何にせよ力技のファントムだったけど(笑) 突っ走りながらも必死さと、押し込められていたエナジーが伝わってくる。
彼は“悲哀”というより“悲痛”ですね。見世物小屋から地下へ。フリークとして生きてきたファントムの人生を憤怒と苦しみで表現していたと思う。
アンジョルラスはともかく、怪人は相当心配だったんですが(^^ゞ
昔、某山口さんがファントムなり立ての時を見たとき、あまりの颯爽さと伸び伸びした明朗快活さに眩暈がしました(笑)
ラウル役の人が怖ろしく地味に見え、クリスティーヌがなぜラウルを選ぶのか全く説明がつかなかった。
白昼堂々歩いていても、みなおびえるどころか見惚れるようなファントム。
それ怪人ちゃいます。地下にいましょう。
今や日本のミュージカル界を背負っている彼にも、そんな若造時代があったわけです。私はいまだに山ちゃんと呼んでしまう(^^ゞ
昨年32歳のラミンは、オペラ座の地下でくすぶり続けて見染めた女子に噴火しちまった男として、ちゃんと演じてた。
地下ごとオペラ座爆発させそうな勢いだったが…。ばか! 好き!(落ちたらしい)
Ramin Karimloo and Sierra Boggess - The Phantom of the Opera - Phantom 25th at the Royal Albert Hall
一部分 YouTubeで
『Phantom of the Opera』は唄い出しは、やっぱり若いなあと思ったけど、声の幅が圧倒的に広いことが聞いてるうちにわかった。
高低自在に出せる上に深みもある。逆に段々30そこそこの男子の声に思えなくなる。「Sing!!」と叫ぶ声は若いので我に返る(笑)
「マイ エンジェル オブ ミュージック」と抑揚つけて呼びかけるところなんてゾクッとしましたね。
クリスティーヌとのデュエットとファントムのソロでは、この超有名な2曲より、実はPoint of No Returnの方が好きです。
Sierra Boggess and Ramin Karimloo - The Point of No Return - Phantom 25th Royal Albert Hall
一部分
この歌、邦訳では全然考えられないほどエロいんだよね。オペラでの劇中歌として歌われてるけど、二人の関係性がもう師と弟子とかの体裁を取れないところに来てる。
この後、クリスティーヌはファントムの仮面はおろかカツラまで剥いでしまう。昔はなんて酷いアマだと思った(笑) だって衆人の前で一番醜い人に見せたくない姿を暴くんだよ?
でも今回はそうは見えなかったね。彼女にそれだけのことをする覚悟が見えた。
このソロが非常に良かったので、ラミンに合格点(なにさま)、シエラは当然凄い。
特殊メイクがどんどん凄くなっている。映画版なんて全然醜くなかったが。唇をあんなに引き上げるメイクでよくこんな声出んな! 最後のシーンの絶叫は、こっちが気迫で死ぬかと思った。
でもだいぶ彼はこれでも押さえてますね。怪人は音楽の師でもあるので、彼の個性である破天荒な歌い方は控えたんでしょう。
それと彼は時々まさに野獣のようなうなり声をあげるんだよね。それが虐げられてきた人生への怒りの塊に思えて結構いい。
ぐるる… みたいな(笑) 傷ついた野獣のラミン・ファントム。でも下品にならないところが彼の不思議な持ち味ですね。
ファントムは“エンジェル・オブ・ミュージック”であり、秘めていた愛情の発露としてクリスティーヌを初恋と父親的な被保護欲で想う壮年の男のイメージがあるので、それだとやはりある程度年季の行った俳優の方がいいわけですが、ラミンのファントムは、隠れ住まなくてはならない怒りと、報われぬ恋情の辛さを叫ぶ若いファントム。
シエラ・ボーゲスのクリスティーヌ。パッと見地味に見えたんですが、小出しに歌唱力を出してきたら、その物凄さ(^_^;)
現代子っぽい生き生きとしたクリスティーヌでとっても好感でした。ソロも素晴らしかった…。
Sierra Boggess Think of Me Phantom of the Opera 25th Anniversary HD
何しろ今回のファントムもラウルも双方押せ押せなので(笑)、二股かけるどっちつかずの女でも、気が強くて突っぱねるのもそぐわない。
二人の男の間で自分を見出していく女性に見えました。その上愛らしい。
シエラ本人がそうらしいけど、どこか天真爛漫なクリスティーヌだからこそ、この男共に挟まれても何とかできた(笑)
指輪を返すところ、クリスティーヌの心情が身に染みたよ。
ラウルのハドリー・フレイザー。
これは…画期的なラウルでしたよ!! ラウル・ド・シャヌイ子爵は究極のおぼったまなので、つまりは想いのままにしたいタイプのはず。
でもこれまで見てきたラウル像はそれぞれでしたが、クリスティーヌをひたすら愛し包む王子様の部分がフューチャーされるのが一般的でした。
でもハドリー・ラウルは違ったよ! こいつ高慢ちきだよ!(笑) 言い方が悪いな。上の世界しか知らない者に特有の押しの強さと、人とも思わぬところがある。
それは怪人はもとより、オペラ座の支配人や出演者、さらには愛するクリスティーヌにさえも出てるんですよ。彼女の話、聞いてるようで聞いてないもん(笑)
そう書くとヤな男みたいですが、これがそうではない。そういう生まれであっただけで、愛を知り少しずつ変化する。
金と力に物言わせ惚れた女を守ろうとするが、彼女がおびえてることにあまり頓着してない(笑) 取り乱しぶりを見てやっとただ事でないと分かり、物凄く腹を立て怪人撲滅宣言(笑)
騎士道精神の王子様でもなく、気弱な貴族の二男坊の逆切れでもない(映画版がちょっとこれ)。
ハドリー、地味顔で背も低いんだけど、演技が凄い上手い。表情が細かい。
All I Ask of You (Sierra Boggess and Hadley Fraser) - Royal Albert Hall | The Phantom of the Opera
一部分
彼もいい声してんなぁ。ハイ・バリトンというのか?
何を怖がっているんだ、僕についてくれば何も問題ないだろ? みたいな上から目線が、クリスティーヌの「お願い約束して?」と必死の懇願に動かされ、安心させてやると見せる愛らしさにメロっとなり、かわいいな、かわいいな、たまらないな!みたいになってしまう子爵様。チューしすぎ(笑)
えらい心境の変化が出てるんですけど! うわ初めてラウルがいいと思った!(笑) ラウルに興味なかった私が。
この点、怪人はあまり表情を見せられないので不利ですね。ラミンファントムはその分全身とメガトン級の声で訴えてたよ(笑)
二人が女を取り合う墓場のシーンは(語弊)、ラミンファントムがもう生き生きとしていた(笑) ファントムとラウルは別々のシーンで、「今度はお前(二人)に宣戦布告だ!」と叫ぶんだけど、二人ともそりゃあもう殺!みたいに気合(笑)
日陰者の天才と社会の上に立つ貴族、その間で揺れるクリスティーヌという定番の関係性から、三者ともにエネルギーのはけ口を見つけられずにいた若い魂が、出会うことで化学反応に近い大きなうねりを見せる感じに。若い三人だからこその魅せ方とバランスに結構感心した。
ラストの三すくみ対決は、涙の愁嘆場にされると見ていられないんだが、それぞれが一歩も引かず要求をぶつけあった果てに、愛する者のために初めて己を捨てるんですよ。
自己犠牲を超えた献身。
三人ともそれぞれの献身の姿を激しくさらけ出すシーンになっていて、素晴らしかった。
普段は40~50人のキャストで行う公演を、140人前後に増やし巨大コンサートホールでの特別公演。
物凄い豪華。
レ・ミゼ25周年記念のようなスタンドマイクの前で歌うコンサート方式ではなく、ちゃんと舞台形式でした。
ただ会場が大きすぎるためか制約があり、山場となるシャンデリアの降下は許可できなかったらしい。
それでも衣装は素晴らしいしセットも凝りに凝ってる。怪人の黒マントの背の刺繍も美しい。
見どころは他にも満載です。カルロッタ役の女優さんが、ふとっちょでめちゃ高慢プリマらしくてベストだった!
音楽もアレンジがロックっぽいところもあるので、現代っ子三人キャストに合ってた。
一呼吸おいて。
アンコールが問題でした。
私は見てはいけないものを見た。
カーテンコールの後、アンドリュー・ロイド・ウェーバー御大が登場。段々好々爺の域に。
その後、歴代の英語圏のファントムが4人登場。レ・ミゼ記念公演と同じ流れ。
そしてウェーバー先生が「マイ・エンジェル・オブ・ミュージック♡』とご紹介と共に。
サラ・ブライトマン登場。
お決り的に一人クリスティーヌ対4人+おまけのファントム対決。おまけはラミン(笑)
これ… あああ。恐ろしい!! 年季のセイレーン
サラが山○リンダ化してるとか、お太り召された、衰えたとかそんなことばかり目にしますが。
目ん玉ひん剥いてよく見ろよ!! 彼女の表情を。
そりゃ25年経てば外見は劣化もしますよ(嫌いな言い方だが)。歌にも変化がある。でも中身は…
この人、絶対普通じゃない。
通常はまだしも、歌ってる時の眼。ラミンのアンジョルラスどころじゃない。
まさに人外魔境。そして生まれながらの女王。女王らしき人はいっぱいいますがね。実はそうはいない。マドンナだってガガだって努力家。
オケのスピードもガン無視(笑) “歌え私のために!”なんてファントムズが5人がかかりで叫んだとて、しょせんあんたら働き蜂だよ女王に運ぶ。
トップバッターのコルム・ウィルキンソンはレ・ミゼのオリジナル・バルジャンですが、怪人もやってたんですね。
もはや記念日じいさん化してるけど、相変わらずお元気。ジョン・オーウェン・ジョーンズは現役怪人。素晴らしい歌唱。
初演ファントムのマイケル・クロフォードがサプライズでしたが、直前まで来れるかわからなかったため歌はなし。
サラと組んでた彼が入ったとて、変わらなかったと思うな…。
なんか雌トド(土下座)を捕獲しようと5人がかりで囲い込み漁してるが、あっけなく海に引きずり込まれるの図。
観客も動画見てるこっちも。ひらに、ひらにご勘弁を!
ラミンはあとから背後に忍び寄り、「Sing for Me!」だけ参加。諸先輩方をたてたんでしょうが、もはや背後霊にもなりゃしない。
あの魚雷男が霞(爆笑) サラの巨○にすっぽり隠れちゃってるのもある…(汗)
ついでにこんなのも。
Sarah Brightman & Antonio Banderas -The Phantom Of The Opera (1998)
狩人登場2分過ぎ
14年前。確かこの頃、バンちゃんファントムで映画化の話があったんだよね。延期になって(たぶん先生とサラの離婚問題)、実現化した時にはジェリーがファントムに。
歌はそこそこだが、かなり健闘。しかし油断なく間合いを取っている(笑)(笑) そして深みにはまる前に逃走。やっぱり怖いよぉ…
だが最も恐ろしいのが、さんざん大揉めして別れた元夫が暗闇でうっとり見つめている図。
そうだこれがALW版オペラ座の怪人の神髄だった
今さらながら思い出したよ…。たとえどんなに若い女優が完璧に歌っても、この歌はウェーバー先生がサラのために書き下ろしたもの。
てへっ。かなうわけねえや!(ガブローシュ風)
マイケル・クロフォードに敬意を表して手を伏し拝むラミンが怪人なのに可愛い(笑) この子愛されるはずだよ。コルムじさまにはすっかり孫状態で、大ラスにみんな引っ込んだカーテンの隙間から「遠慮せんで出んかい!」と押し出されていた(笑) おまけにシエラ嬢が後ろから抱きついて(無邪気でかわいい)それじゃお姫様、抱っこしますよと抱きかかえて退場していた。
いい若い衆だな…(もはや落ちている)
2012年6月9日
予定外の物をあまぞんで購入した場合、買ったとは言わず「密林から仕入れた…」とうしろめたそうに言うことにしている。
恐るべきラミン効果…!
オペラ座はCDを先に聞いてますから、物凄いパワー・ファントムであろうことは心得て見たぜ。
でもあの声で迫られたら、クリスティーヌは拒否っても私はオペラ座の地下で一緒にバリケードを築きます(違います)。
しかしクリスティーヌも強力だった…。ラウルもな。みんな突撃体制。
まずは怪人については、この話の肝である、ファントムの哀しみと惨めさが真に出せる役者はこれまでどのくらいいたのかな。四季公演の数人のバージョンしか見てないから比較はできませんが。
市村ファントムはそこは完璧だった。当然ながら。あの人は歌唱力より演技力でキャスティングされたから。あれ以降歌唱力も上がりました。
ラミンは何にせよ力技のファントムだったけど(笑) 突っ走りながらも必死さと、押し込められていたエナジーが伝わってくる。
彼は“悲哀”というより“悲痛”ですね。見世物小屋から地下へ。フリークとして生きてきたファントムの人生を憤怒と苦しみで表現していたと思う。
アンジョルラスはともかく、怪人は相当心配だったんですが(^^ゞ
昔、某山口さんがファントムなり立ての時を見たとき、あまりの颯爽さと伸び伸びした明朗快活さに眩暈がしました(笑)
ラウル役の人が怖ろしく地味に見え、クリスティーヌがなぜラウルを選ぶのか全く説明がつかなかった。
白昼堂々歩いていても、みなおびえるどころか見惚れるようなファントム。
それ怪人ちゃいます。地下にいましょう。
今や日本のミュージカル界を背負っている彼にも、そんな若造時代があったわけです。私はいまだに山ちゃんと呼んでしまう(^^ゞ
昨年32歳のラミンは、オペラ座の地下でくすぶり続けて見染めた女子に噴火しちまった男として、ちゃんと演じてた。
地下ごとオペラ座爆発させそうな勢いだったが…。ばか! 好き!(落ちたらしい)
Ramin Karimloo and Sierra Boggess - The Phantom of the Opera - Phantom 25th at the Royal Albert Hall
一部分 YouTubeで
『Phantom of the Opera』は唄い出しは、やっぱり若いなあと思ったけど、声の幅が圧倒的に広いことが聞いてるうちにわかった。
高低自在に出せる上に深みもある。逆に段々30そこそこの男子の声に思えなくなる。「Sing!!」と叫ぶ声は若いので我に返る(笑)
「マイ エンジェル オブ ミュージック」と抑揚つけて呼びかけるところなんてゾクッとしましたね。
クリスティーヌとのデュエットとファントムのソロでは、この超有名な2曲より、実はPoint of No Returnの方が好きです。
Sierra Boggess and Ramin Karimloo - The Point of No Return - Phantom 25th Royal Albert Hall
一部分
この歌、邦訳では全然考えられないほどエロいんだよね。オペラでの劇中歌として歌われてるけど、二人の関係性がもう師と弟子とかの体裁を取れないところに来てる。
この後、クリスティーヌはファントムの仮面はおろかカツラまで剥いでしまう。昔はなんて酷いアマだと思った(笑) だって衆人の前で一番醜い人に見せたくない姿を暴くんだよ?
でも今回はそうは見えなかったね。彼女にそれだけのことをする覚悟が見えた。
このソロが非常に良かったので、ラミンに合格点(なにさま)、シエラは当然凄い。
特殊メイクがどんどん凄くなっている。映画版なんて全然醜くなかったが。唇をあんなに引き上げるメイクでよくこんな声出んな! 最後のシーンの絶叫は、こっちが気迫で死ぬかと思った。
でもだいぶ彼はこれでも押さえてますね。怪人は音楽の師でもあるので、彼の個性である破天荒な歌い方は控えたんでしょう。
それと彼は時々まさに野獣のようなうなり声をあげるんだよね。それが虐げられてきた人生への怒りの塊に思えて結構いい。
ぐるる… みたいな(笑) 傷ついた野獣のラミン・ファントム。でも下品にならないところが彼の不思議な持ち味ですね。
ファントムは“エンジェル・オブ・ミュージック”であり、秘めていた愛情の発露としてクリスティーヌを初恋と父親的な被保護欲で想う壮年の男のイメージがあるので、それだとやはりある程度年季の行った俳優の方がいいわけですが、ラミンのファントムは、隠れ住まなくてはならない怒りと、報われぬ恋情の辛さを叫ぶ若いファントム。
シエラ・ボーゲスのクリスティーヌ。パッと見地味に見えたんですが、小出しに歌唱力を出してきたら、その物凄さ(^_^;)
現代子っぽい生き生きとしたクリスティーヌでとっても好感でした。ソロも素晴らしかった…。
Sierra Boggess Think of Me Phantom of the Opera 25th Anniversary HD
何しろ今回のファントムもラウルも双方押せ押せなので(笑)、二股かけるどっちつかずの女でも、気が強くて突っぱねるのもそぐわない。
二人の男の間で自分を見出していく女性に見えました。その上愛らしい。
シエラ本人がそうらしいけど、どこか天真爛漫なクリスティーヌだからこそ、この男共に挟まれても何とかできた(笑)
指輪を返すところ、クリスティーヌの心情が身に染みたよ。
ラウルのハドリー・フレイザー。
これは…画期的なラウルでしたよ!! ラウル・ド・シャヌイ子爵は究極のおぼったまなので、つまりは想いのままにしたいタイプのはず。
でもこれまで見てきたラウル像はそれぞれでしたが、クリスティーヌをひたすら愛し包む王子様の部分がフューチャーされるのが一般的でした。
でもハドリー・ラウルは違ったよ! こいつ高慢ちきだよ!(笑) 言い方が悪いな。上の世界しか知らない者に特有の押しの強さと、人とも思わぬところがある。
それは怪人はもとより、オペラ座の支配人や出演者、さらには愛するクリスティーヌにさえも出てるんですよ。彼女の話、聞いてるようで聞いてないもん(笑)
そう書くとヤな男みたいですが、これがそうではない。そういう生まれであっただけで、愛を知り少しずつ変化する。
金と力に物言わせ惚れた女を守ろうとするが、彼女がおびえてることにあまり頓着してない(笑) 取り乱しぶりを見てやっとただ事でないと分かり、物凄く腹を立て怪人撲滅宣言(笑)
騎士道精神の王子様でもなく、気弱な貴族の二男坊の逆切れでもない(映画版がちょっとこれ)。
ハドリー、地味顔で背も低いんだけど、演技が凄い上手い。表情が細かい。
All I Ask of You (Sierra Boggess and Hadley Fraser) - Royal Albert Hall | The Phantom of the Opera
一部分
彼もいい声してんなぁ。ハイ・バリトンというのか?
何を怖がっているんだ、僕についてくれば何も問題ないだろ? みたいな上から目線が、クリスティーヌの「お願い約束して?」と必死の懇願に動かされ、安心させてやると見せる愛らしさにメロっとなり、かわいいな、かわいいな、たまらないな!みたいになってしまう子爵様。チューしすぎ(笑)
えらい心境の変化が出てるんですけど! うわ初めてラウルがいいと思った!(笑) ラウルに興味なかった私が。
この点、怪人はあまり表情を見せられないので不利ですね。ラミンファントムはその分全身とメガトン級の声で訴えてたよ(笑)
二人が女を取り合う墓場のシーンは(語弊)、ラミンファントムがもう生き生きとしていた(笑) ファントムとラウルは別々のシーンで、「今度はお前(二人)に宣戦布告だ!」と叫ぶんだけど、二人ともそりゃあもう殺!みたいに気合(笑)
日陰者の天才と社会の上に立つ貴族、その間で揺れるクリスティーヌという定番の関係性から、三者ともにエネルギーのはけ口を見つけられずにいた若い魂が、出会うことで化学反応に近い大きなうねりを見せる感じに。若い三人だからこその魅せ方とバランスに結構感心した。
ラストの三すくみ対決は、涙の愁嘆場にされると見ていられないんだが、それぞれが一歩も引かず要求をぶつけあった果てに、愛する者のために初めて己を捨てるんですよ。
自己犠牲を超えた献身。
三人ともそれぞれの献身の姿を激しくさらけ出すシーンになっていて、素晴らしかった。
普段は40~50人のキャストで行う公演を、140人前後に増やし巨大コンサートホールでの特別公演。
物凄い豪華。
レ・ミゼ25周年記念のようなスタンドマイクの前で歌うコンサート方式ではなく、ちゃんと舞台形式でした。
ただ会場が大きすぎるためか制約があり、山場となるシャンデリアの降下は許可できなかったらしい。
それでも衣装は素晴らしいしセットも凝りに凝ってる。怪人の黒マントの背の刺繍も美しい。
見どころは他にも満載です。カルロッタ役の女優さんが、ふとっちょでめちゃ高慢プリマらしくてベストだった!
音楽もアレンジがロックっぽいところもあるので、現代っ子三人キャストに合ってた。
一呼吸おいて。
アンコールが問題でした。
私は見てはいけないものを見た。
カーテンコールの後、アンドリュー・ロイド・ウェーバー御大が登場。段々好々爺の域に。
その後、歴代の英語圏のファントムが4人登場。レ・ミゼ記念公演と同じ流れ。
そしてウェーバー先生が「マイ・エンジェル・オブ・ミュージック♡』とご紹介と共に。
サラ・ブライトマン登場。
お決り的に一人クリスティーヌ対4人+おまけのファントム対決。おまけはラミン(笑)
これ… あああ。恐ろしい!! 年季のセイレーン
サラが山○リンダ化してるとか、お太り召された、衰えたとかそんなことばかり目にしますが。
目ん玉ひん剥いてよく見ろよ!! 彼女の表情を。
そりゃ25年経てば外見は劣化もしますよ(嫌いな言い方だが)。歌にも変化がある。でも中身は…
この人、絶対普通じゃない。
通常はまだしも、歌ってる時の眼。ラミンのアンジョルラスどころじゃない。
まさに人外魔境。そして生まれながらの女王。女王らしき人はいっぱいいますがね。実はそうはいない。マドンナだってガガだって努力家。
オケのスピードもガン無視(笑) “歌え私のために!”なんてファントムズが5人がかかりで叫んだとて、しょせんあんたら働き蜂だよ女王に運ぶ。
トップバッターのコルム・ウィルキンソンはレ・ミゼのオリジナル・バルジャンですが、怪人もやってたんですね。
もはや記念日じいさん化してるけど、相変わらずお元気。ジョン・オーウェン・ジョーンズは現役怪人。素晴らしい歌唱。
初演ファントムのマイケル・クロフォードがサプライズでしたが、直前まで来れるかわからなかったため歌はなし。
サラと組んでた彼が入ったとて、変わらなかったと思うな…。
なんか雌トド(土下座)を捕獲しようと5人がかりで囲い込み漁してるが、あっけなく海に引きずり込まれるの図。
観客も動画見てるこっちも。ひらに、ひらにご勘弁を!
ラミンはあとから背後に忍び寄り、「Sing for Me!」だけ参加。諸先輩方をたてたんでしょうが、もはや背後霊にもなりゃしない。
あの魚雷男が霞(爆笑) サラの巨○にすっぽり隠れちゃってるのもある…(汗)
ついでにこんなのも。
Sarah Brightman & Antonio Banderas -The Phantom Of The Opera (1998)
狩人登場2分過ぎ
14年前。確かこの頃、バンちゃんファントムで映画化の話があったんだよね。延期になって(たぶん先生とサラの離婚問題)、実現化した時にはジェリーがファントムに。
歌はそこそこだが、かなり健闘。しかし油断なく間合いを取っている(笑)(笑) そして深みにはまる前に逃走。やっぱり怖いよぉ…
だが最も恐ろしいのが、さんざん大揉めして別れた元夫が暗闇でうっとり見つめている図。
そうだこれがALW版オペラ座の怪人の神髄だった
今さらながら思い出したよ…。たとえどんなに若い女優が完璧に歌っても、この歌はウェーバー先生がサラのために書き下ろしたもの。
てへっ。かなうわけねえや!(ガブローシュ風)
マイケル・クロフォードに敬意を表して手を伏し拝むラミンが怪人なのに可愛い(笑) この子愛されるはずだよ。コルムじさまにはすっかり孫状態で、大ラスにみんな引っ込んだカーテンの隙間から「遠慮せんで出んかい!」と押し出されていた(笑) おまけにシエラ嬢が後ろから抱きついて(無邪気でかわいい)それじゃお姫様、抱っこしますよと抱きかかえて退場していた。
いい若い衆だな…(もはや落ちている)
2012年6月9日
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