本作は、ソフィア・コッポラ監督、ビル・マーレー、スカーレット・ヨハンソン主演。2004年のアカデミー脚本賞かなにかを受賞している。アメリカの大物俳優でありながらも家族との関係に悩みを抱えている中年男性と写真家の夫がいながらも夫婦の絆、愛に何か違和感そして孤独感を持ちながら自分の将来について思い悩む若い女性が偶然にも東京で出会う。彼は仕事で彼女は夫の仕事の付き添いとして東京にやってきた。出会いは、日本でも最高級ホテルとして知られている「パーク・ハ○アット東京」のバー。ふたりは見知らぬ他人でありながらふとしたことでお互いが抱える悩みを感じながら気が合うようになる。歌舞伎町での飲み屋、高級寿司屋、しゃぶしゃぶ屋、カラオケ屋、ゲームセンターなど日本の〈伝統〉文化とはいいきれない現代文化と接触していくことでお互い自分の内面と向き合い克服していこうとする。この映画自体静かな作品であるが、場面には新宿、渋谷という喧噪としたカオスの街と都会の中の寺院や京都の寺社という凛とした静寂な空間を織り込まれることで、彼らの心的ストレスを発散・解消する空間と日本文化を媒介にすることで自分自身と向き合う厳粛な心的空間を生み出している。そして彼らは日本の東京での短い生活によって己の葛藤に打ち勝とうと未来を見つめることができたのである。
わたし自身、この作品は非常に好きな一本だ。映画の主題もそうなのだが、社会学をやっているわたしにとっては都市空間そのものの映像を通じての描写、そして都市という存在が人間の心理とどう係わっていくのか(都市でも人に「癒し」をもたらすのか)などということを深く考えさせられるものとなる(80年代には東京論が流行ったことなどで、都市をサブカルチャー的に捉える基盤ができあがった)。また、外国人から見た日本人、日本社会の描写というのも非常に面白いものである。「あれは違うだろ」「あんなふうに寡黙じゃないよ」などと批判してしまいがちな場面もないわけではないが、それはもしかしたら自分たちが普段気づいていない一面を彼らは誇張しながらもしっかりと感じとっているのかもしれない。
※本作は監督のソフィア・コッポラ自身の監督になるまでの半人生を描いている。彼女は名監督・フランシス・F・コッポラの娘でもあり、彼の代表作「ゴッドファーザー partⅢ」で(実際は生まれてすぐのときにも出演している)マイケルの娘役として出演している。ただこの作品で悪評されたため俳優業からは遠ざかり、写真家と結婚し自らも写真家を目指そうとするが自分の才能のなさに気づいて結局それもあきらめることになり夫とも離婚した。本作ではその時のソフィアを描いたものでらるが、それから彼女は自ら勤めた監督作品が高評したことで若手の監督としての自分を見つけることになった。やはりカエルの子はカエルなんでしょうかね。彼女の作品はどれも面白いので観ていただきたい。
わたし自身、この作品は非常に好きな一本だ。映画の主題もそうなのだが、社会学をやっているわたしにとっては都市空間そのものの映像を通じての描写、そして都市という存在が人間の心理とどう係わっていくのか(都市でも人に「癒し」をもたらすのか)などということを深く考えさせられるものとなる(80年代には東京論が流行ったことなどで、都市をサブカルチャー的に捉える基盤ができあがった)。また、外国人から見た日本人、日本社会の描写というのも非常に面白いものである。「あれは違うだろ」「あんなふうに寡黙じゃないよ」などと批判してしまいがちな場面もないわけではないが、それはもしかしたら自分たちが普段気づいていない一面を彼らは誇張しながらもしっかりと感じとっているのかもしれない。
※本作は監督のソフィア・コッポラ自身の監督になるまでの半人生を描いている。彼女は名監督・フランシス・F・コッポラの娘でもあり、彼の代表作「ゴッドファーザー partⅢ」で(実際は生まれてすぐのときにも出演している)マイケルの娘役として出演している。ただこの作品で悪評されたため俳優業からは遠ざかり、写真家と結婚し自らも写真家を目指そうとするが自分の才能のなさに気づいて結局それもあきらめることになり夫とも離婚した。本作ではその時のソフィアを描いたものでらるが、それから彼女は自ら勤めた監督作品が高評したことで若手の監督としての自分を見つけることになった。やはりカエルの子はカエルなんでしょうかね。彼女の作品はどれも面白いので観ていただきたい。