(C)2007 Metro-Goldwyn-Mayer Studios
今回の記事は『大いなる陰謀』(2007年、監督:ロバート・レッドフォード)です。
トム・クルーズ、メリル・ストリープ、そしてロバート・レッドフォードと、三種三様の映画界のビッグネームが共演を果たした社会派ドラマ。考えさせられる映画です。
■内容紹介
共和党の若き野心溢れる上院議員アーヴィング。
アーヴィングはかつて自分を共和党の風雲児と讃えた記事を書いた女性ジャーナリスト、ロスに独占インタビューを依頼する。
インタビューの内容はアフガンで展開される新戦略について。
アーヴィングはこの作戦の成功と有用性を言葉巧みにロスに訴えかける。時に強い口調を交えて。
「テロとの戦争に勝ちたいか? イエスか、ノーか?」
しかしロスは、アーヴィングの掲げる新戦略の裏に“仕組まれた真実”があることを感じていた――。
――同時刻。
大学教授であるマレーが、優秀ではあるが成績の振わない生徒のトッドを自室に呼び出していた。
マレーはトッドに、かつての優秀な二人の生徒の話を始める。
自分たちの未来を考え、ある選択をした二人の教え子の話を……。
人は何のために戦うのか? 死ぬのか?
■感想
※カッコ内空白はネタバレ反転です。注意!
この映画は社会派映画で、とにかく考えさせられる映画でした。
映画は3つのパートで進行していきます。
アーヴィングとロスの、いわゆる政治家とマスコミのパート。
ひとりの大学教授と学生のパート。
そして、実際に戦地で戦う若者のパート。
最初はバラバラに思えるこの3つのパートが、最後にはひとつに繋がります。
なので、観終わった後、それぞれのシーンを思い返してあれこれと考えてしまいます。
アフガニスタンで実際に起きている戦争について、一体どれだけの人が感心を持っているのだろうか。
どれだけの人が重要性を感じているのだろうか。
おそらく日本においては、この問題について重要性を感じている人はあまりいないと思う。
僕もそうです。
たまにアフガニスタンでの死者のニュースを聞いて、心を痛めることはあったとしても、普段生活をしていてこの問題を意識することはまずない。
しかし実際に戦闘が起きていて、人が死んでいる。
このことを忘れてはいけない。
ずっと心に留めておかないといけないとまでは言えない。
けれど、時々でいいからこの問題について考える時間をとってもいいんじゃないかと思いました。
トム・クルーズが野心溢れる政治家役というのも何とも新鮮でした。
僕の勝手なイメージでは、トムの演じる役には熱いナイスガイ的な印象を持っていました。
今回はそんな印象とはまるで違う役柄。けれど、違和感はなかったです。
トムはこういう役も十分ありだなと思います。
予告編でも強烈だった、「Yes or NO」のセリフが何とも強く印象に残ってます。
新戦略の裏に潜む事実はやはり悲しかった。
(少数部隊を囮に攻撃を受けたという既成事実をつくり、大規模攻撃の正当性をつくる。
アーヴィングの陰謀の犠牲になってしまったアーネストとアリアンの二人の最後は目頭が熱くなりました。
このようなことが実際に行われているのでしょうか? 行われたとしても情報は隠され、私たちには何も知らされないのでしょうね。
メディアの情報を何も考えずに事実と受け止めるのは危険。情報はあくまで情報として受け、ひとりひとりが報道内容について考えることが大切。そんな趣旨のレポートを大学時代に書いたことを何だか思い出すな。)
『大いなる陰謀』は、エンタメ性は低く、退屈めな映画だという感想も確かにあります。
けれど、この映画を見て、何かを感じ、考える機会があってもきっといい。
映画データ | |
---|---|
題名 | 大いなる陰謀 |
製作年/製作国 | 2007年/アメリカ |
ジャンル | ドラマ/戦争/社会派 |
監督 | ロバート・レッドフォード |
出演者 | ロバート・レッドフォード メリル・ストリープ トム・クルーズ マイケル・ペーニャ デレク・ルーク アンドリュー・ガーフィールド ピーター・バーグ、他 |
メモ・特記 | 特になし |
おすすめ度 | ★★★☆ |
■Link
+⇒公式HP(Japanese/English)
+⇒大いなる陰謀 - goo 映画
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私も、戦争自体反対ですし、9.11後のアフガニスタン侵攻までは、なんとか許せても、イラク侵攻までは、支持できないです。フセインの独裁が終わったことは評価しますが、今のイラクを幸せとは、呼べないですよね。
9.11に対しては、テロ行為は許されるはずもないですし、もちろん米国で犠牲になられた方や遺族に対しては、本当に気の毒だと思います。しかし、今まで、何度も自ら戦争をしていながら、自国での戦争被害(痛み)を味わったことのなかった米国に対しては「これで少しはやられる方の痛みが、どんな痛みなのかが、わかっただろう(全然分からなかったみたいですが)」という気持ちも、少しありました。
この映画の中で「勝ちたいか?Yes or Noか?」のセリフがありましたが、戦争に勝者などいないと思いました。戦争を始めた時点で、私は負けだと思います。
特に、イラク侵攻に関しては。
辛口コメントになってしまいました
ごめんなさい
けっこうな辛口コメントですね…。けれどMatthewさんはしっかりした意見を持っているので、すごく感心してしまいます。
戦争を政治に利用する米国は確かにどうかと思います。目には目を的な考え方は僕はあまり好きにはなれません。どんな理由があったにせよ、戦争は避けるべきだと思う。必ず犠牲になる人がいるのだから。
けれどこれは甘い考えなんでしょうね。もし日本が攻撃されてたくさん人が死んだら、僕も相手をきっと憎む。犠牲者のことも考えずに報復をしてくれと思ってしまうかもしれない。
重くなってきてるので、この辺でコメント止めます。
Matthewさん、またいつでも遊びに来てくださいね。