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今回の記事は『ミスト』(2007年、監督:フランク・ダラボン)です。
名作『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督の新作映画。今回はホラー・ミステリーです。
恐怖でパニックに陥った後の人の危うさが恐ろしい。そして、壮絶なまでの後味の悪さも衝撃でした。
■内容紹介
のどかな田舎町を襲った激しい嵐の翌日、湖の向こう岸に不穏な霧が発生していた。
デヴィッドは家を修理する為、息子のビリーを連れて街のスーパーマーケットへ修理用品の買出しに出掛けた。
買い物客でごった返すマーケットでデヴィッドが品物を探していると、一人の中年男が叫びながら店内へ駆け込んできた。
男は霧の中で何かに襲われたと訴える。
店の外は濃い霧で覆われていた。もう数メートル先も見えない。
しかし、人々は男の訴えを真剣に取り合おうとはしなかった。
誰もが男が霧の中で何かに躓いたんだろう、程度に思っていた。
すると、突然、店の電気が消えた。
停電か?
馴染みの店で、勝手をよく知っていたデヴィッドは発電機のある地下へと向かった。
発電機を調べていると、外へ通じるシャッターが急に激しく揺れた。
何かが外から強大な力で叩いている。
霧の中に、何かがいる!
■感想
※カッコ内空白はネタバレ反転です。ネタバレ度は低いとは思うのですが、一応は念のため
フランク・ダラボン監督と聞いてまっ先に思いつくのは『ショーシャンクの空に』です。
この映画は間違いなく映画史に残る名作です。
そんな映画を撮った監督の新作なので、期待せずにはいられなかったです。
同じ思いを抱いている人も多いのか、映画館はレイトにもかかわらずけっこうな混雑ぶり。
さすがです。
この映画は、ジャンルはホラー・ミステリー。
けっこう怖いので苦手な人は注意した方がいいかもしれません。
あまり多くはないですが、ビクッとするシーンもありました。
映画館で体が少し動いてしまうくらい心臓にきたのは久しぶりです。
ホラーの醍醐味とは言え、怖ぇー。
ですが、この映画でもっと怖いのは人間の心理の危うさかもしれません。
極限状態に追いやられた時、人は正常な判断ができなくなる。
何かにすがりたくなる。
そんな時に、狂信めいた言葉で人々を扇動する女性が出てきます。
「助かる為には生贄が必要だ」と。
ひとりが彼女にすがると、我も我もと後に続いていく。
集団で危険な思想に翻弄されていく様は怖かった。
主人公のデヴィッドを含め何人かは、そんな中でも危険な思想には惑わされず、生きる為に行動を起こしていきます。
神にすがるばかりで自ら行動を起こそうとはしない扇動された人たちとは対照的です。
結果がどうであれ、誰が何と言おうと、僕はデヴィッドたちの方が人間らしいと思いました。
映画の展開はスリリングで目が離せないです。
霧の中に潜む恐怖、追い詰められた人の心理を存分に味わえます。
結末は、そうとう後味が悪いです。
この後味の悪さはかなりの破壊力を持っています。
(あまりにも残酷なラストです。考えうる限りの一番最悪な終わり方となっています。
デヴィッドの後悔は一生消えない。
傷はもう一生癒されることはないのだろう。
それを考えると、心が痛くてたまらない。)
けれど、この後味の悪さがダラボン監督の真髄だと何かの本に書いてあった。
確かに『グリーンマイル』などを思い返すと、「そうなのかもしれない」と思えます。
この結末だったからこそ、感情の爆発ともいえる強い痛みを感じたのかもしれない。
ハッピーエンドだったらおそらくこうはならなかった。
きっと「面白い映画だったな」ぐらいで終わっていたと思います。
『ミスト』は結末ゆえに、全ての人にはオススメはしません。
ですが、すごい映画だったと思います。
機会があったら一度は見てみてください。(矛盾してるなぁ)
でも子供はダメです。トラウマになりかねない。R-15になってる意味もなんだかわかる。
映画データ | |
---|---|
題名 | ミスト |
製作年/製作国 | 2007年/アメリカ |
ジャンル | ホラー/ミステリー/ドラマ |
監督 | フランク・ダラボン |
出演者 | トーマス・ジェーン ネイサン・ギャンブル マーシャ・ゲイ・ハーデン ローリー・ホールデン アンドレ・ブラウアー トビー・ジョーンズ ウィリアム・サドラー ジェフリー・デマン フランシス・スターンハーゲン アレクサ・ダヴァロス クリス・オーウェン サム・ウィットワー ロバート・トレヴァイラー デヴィッド・ジェンセン ケリー・コリンズ・リンツ、他 |
メモ・特記 | R-15指定 原作:『霧』(スティーヴン・キング著、扶桑社刊) ※スケルトン・クルー1 骸骨乗組員に収録 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
■Link
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ミストは確かに凄い映画でした。
モンスターももちろん怖かったのですが、それ以上に良く描かれていたのが人間の心理でしたね。
だからこそラストにそうとうな衝撃が来るのだと思います。
この映画凄かったですね。
観終わって凄く身震いしてしまった…
そしていつまでも引き摺ってしまう結末でした。
原作者、スティ-ブン・キングのファンなのですが、
ホラー系の彼の作品って映画化されて良かったものって少ないのですが、
この作品は素晴らしかったですね。
モンスターではなく、人間の心理状態に視点を置いて
作ったことが良かったのだと思います。
しかし、本当に考えさせられました。
確かに後味は悪かったけれど、名画と言える映画になっていたと思います。さすがはダラボン監督です。
この映画を何と言っていいのか困ります。「おもしろかった」とは違うし、「良い映画だった」も何か違う。「残酷なラスト」が一番しっくりくるような気もするんですけど、「残酷な映画だから見てみ」なんて変だし、人に何といって薦めていいのか難しいですね。
こんな後味悪い映画は初めてですw
でも、秀逸なラストだと思います。
ただ奇抜なだけじゃなく、
伏線が丁寧に張られているので、
納得できるラストでした。
いい映画だと思うんですが、
しかし他の人に勧めるのが難しいですねw
本当にいろいろと考えさせられて、怖いだけのホラーとは違っていました。さすがはダラボン監督&キングのタッグだったなと思ってます。
ブログの更新はあまり頻繁にはできてませんが、またいつでも来てください。
色々と考えさせられる作品で、
単なるパニックもののホラー映画とは一線を画す作品でしたね。
本当にラストがズシリと重いんですが、
あのラストだったからこそ傑作になっているのだと
思います。
他の記事も拝見したのですが、
色々と観ている作品も被っているようで、
興味深い記事が多かったので、
またお邪魔させていただきたいと思います。
後味は悪いですよ。かなりすごく。
心の底から叫びたくなってしまうぐらい。
この終わり方のせいで賛否両論が別れるんでしょうね。
この映画、他のブログでも、話題になっていましたね。
怖いだけでなく、後味も悪いんですか?
レビュー読んだら、ますます観られない映画になって行ってますね
後味の悪さって、わからないけど、たぶんこんなオチ(?)なのかなぁと・・・勝手に想像して終わります