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7th Blood Vampire(携帯アプリゲーム)

2012-05-03 02:00:00 | ゲーム
今回の記事は『7th Blood Vampire』、ナイトメア・プロジェクトの携帯アプリゲームです。
ちょっと切ないホラーはやっぱりツボですね。
このゲームにも最高に心打たれました。

■内容紹介 ※公式サイトより
レナ……。
毎夜響く、少女を誘う謎の声。
声に導かれた彼女がその先で見たのは、血にまみれた「もうひとりの自分」だった…!
惨劇の幕が、今、静かにあがる…!

“血を もっと 血を”

■感想
ゲーム感想を書くのは本当に久しぶり。
遡ってみると前回書いたのが2009年なので、何と3年ぶりだ。
そのくせ、うちのブログ紹介が「映画や本、テレビ、ゲームの感想がメイン」などとしているので、虚言にもほどがある。
ゲームに限らず、テレビという呼び文句もかなり怪しいですけど。

さて、今回の作品『7th Blood Vampire』(セブンス・ブラッド・ヴァンパイア。以下、7thBV)は、ホラーアドベンチャー配信サイト「ナイトメア・プロジェクト」の第3弾ホラーアプリゲームです。
実はこのゲーム、タイトルの発表がされた後に、かなりの長い期間に渡り開発が中断されていたという経緯があります。
あまりに長い期間だったので、このまま開発自体が消えてなくなってしまうのでは? と心配してしまったほどです。
それが満を持して2010年末にリリースされました。
待たされた分の期待を決して裏切らないゲームとして出来上がっていたと思います。

上の内容紹介文だけだと少々物足りないので、もう少しゲーム内容を紹介します。

このゲームは吸血鬼を題材にしたゲームでジャンルとしては純ホラー作品です。
いわゆるヴァンパイアものなのですが、おそらく「こんなヴァンパイア見たことない」というぐらいその内容は独創的です。
どんなかというのは、実際に遊んでみてのお楽しみということで。

このゲームで特徴的なのが、方角(『North』『south』『east』『west』)を指示して探索を行うパートがあることです。
これが入ったおかげで、ただ読み進めるアドベンチャーゲームという感じではなくなり、かなりゲーム性が高くなっていて面白かった。
またこのシステムを使って敵から逃れる時間制限イベント(エスケープモード)があり、緊張感溢れるゲームが楽しめます。
このエスケープモード、最初はドキドキものですが、慣れてくると「追いかけっこ」を楽しんでいるような気分になってくるのがまた楽しい。
ちなみに「追いかけっこ」で捕まっても、直前からやり直せる安心設計なので、この手のゲームが苦手な人でも大丈夫。

怖い怖いと言われているゲームですが、心臓への負担は前作『一夜怪談』の方が高いです。7thBVは心臓への負担はあまりなく、じわりと来る怖さ(身構える怖さ)という感じなので、ホラーが苦手な人でもきっと大丈夫なはず。
ただしグロテスク描写、特に血の描写はナイトメア・プロジェクト史上MAXレベルなので、そこだけは注意。

描かれるストーリーは最高に良く感動的。とにかく文章、特にセリフ表現が最高に良いです。
何度も読み返したくなるほどに良かった。(実際、LOGでシーン毎によく読み返してました)
心にグッときて離れない。
主人公のレナの健気なセリフや、フレディの優しいセリフには心打たれて仕方なかった。
第3夜は感動的すぎて困った。まさか携帯ゲームで涙が出るなんて思ってもいなかった。
その後の第4夜、最終夜も感動的です。
僕は7thBVは寝る前にやっていたので臨場感も最高に出てました。(7thBVは0時以降の深夜から物語が始まる回が多いので、夜中にやると時間帯がリンクします)
寝る前プレイ、オススメです。(そのかわり、かなりの夜更かしになっちゃいますけど)

音楽も素敵です。各シーンにぴったりとあっていて、ゲームを盛り上げています。
個人的に好きなのは、「闇の残響音」(修道院の中庭で流れる曲)ですかね。
あと「中央塔おいかけっこ」(最終夜の螺旋階段で流れる曲)も好き。
ただ効果音については定番感あり過ぎるものが使われていて、いまいちだった。そこだけは残念。

物語は全5夜+エクストラ・ストーリー(前編3話、後編2話+エクストラ・ストーリー)で構成されていて、ボリュームはそこそこあります。
コラムでも語られていたけど、各話のボリュームはまちまち。(第3夜はすごく長いけど、第4夜は「追いかけっこ」が順調にいけばけっこうあっという間に終わらせることも可能、といった具合)
エンディングは全部で5つ。条件は比較的わかりやすく、全部見るのもそれほど大変じゃありません。

探索パートはぜひ、1歩進むごとにその場を調べてみてください。じゃないともったいない。かなり多彩にレナのセリフが詰め込まれていて感心してしまうほどです。
追いかけっこパート(エスケープモード)も、実はいろいろな行動ができたりします。
特に第2夜の影レナとの追いかけっこ。けっこういろんなところに逃げられます。行き止まりに逃げても平気なところが微笑ましい。エクストラまでクリア後にもう一度影レナとの追いかけっこを楽しんでみるのも面白いかもしれませんね。

もう記事がけっこうな長さになってしまってますが、あともう少しだけ。
登場人物紹介と各エンディング感想にて、ゲーム感想にかえさせてもらいます。
一応、ネタバレなしの方向で書くので、未プレイの人が読んでも大丈夫なはず。
(あとで読んでみて、エンディング条件ってネタバレなんじゃないかと思ったので、そこだけ反転しています)
登場人物紹介は公式サイトでちゃんとしたものが見れますので、興味が湧いた方はそちらもぜひ訪れてみて下さい。

■登場人物
・レナ
主人公。体が弱く1日をベッドで寝て過ごすこともしばしば。
性格もおとなし目で素直だが時々頑固。
意外なほど適応力の高かったアリス(『歪みの国のアリス』)や、ホラー作品にあるまじき楽しすぎる性格だった萩間(『一夜怪談』)に比べると歴代で最も弱々しい主人公だったと言える。
それだけに終盤に進むにつれ健気に必死に振る舞う姿に強く心打たれてしまいます。

・影レナ
レナが遭遇したもうひとりの自分。
外見はレナにそっくりだが全身血にまみれ、目は血のように赤い。レナを執拗に追う。
その正体には悲しい秘密が隠されていた。
クリア後におそらくもっとも可哀想に感じるキャラクターかもしれない。
レナとは「追いかけっこ」で死闘を演じます。この「追いかけっこ」が楽しめるようになれば、あなたの影レナへの愛も充分に達した証拠。

・リズ
レナの友人。よくお見舞いに来てくれる。明るくしっかりした性格で面倒見が良い。
第3夜は涙なしでは語れません。

・マシュー
レナの友人。リズと一緒によくお見舞いに来てくれる。性格はお調子者で、レナに好意を抱いている。
当初、リズの弟かと思っていたけど、そんなことは全くなかった。
リズに比べると、かなりのエピソードが消失している感があり、そのあんまりな扱いには影レナ以上に同情が集まるのかも。
個人的に、真冬のナイトメアで配信された「if…、一緒に帰りたかった…」という画像に全ての想いが凝縮されていたように思います。

・アーウィン
レナの家で働く使用人、兼、レナの家庭教師。
几帳面で生真面目で厳しい性格だが、不在がちな母親に代わりレナの面倒をよくみているので、レナにはとても慕われている。
彼が登場した時のピリッとした空気感はゲームの雰囲気を大変に締まったものにしていました。さすが。
公式サイトの紹介の掃除が得意という補足にクスリとしてしまう。
7thBVの第3の主人公扱いで、彼の思惑を理解して初めて7thBVの醍醐味が味わえます。

・フレディ
レナが出会った祓い手の少年。ほがらかで優しい性格で時々緊張感に欠けるが、年齢の割にとてもしっかりした姿はレナじゃなくても惚れる。
設定ではレナよりも年下の少年ということだが、初めてその顔画像を見た時にはまったく子供だとは思っていなかった…。
なお身長差もレナより小さいらしい。
弟属性が強い子なので最強のショタキラー(←自粛)…お姉さんに大人気。もうキュンキュンします。

・初代様
実際には登場しません。おそらくエンディングをひとつ見ただけでは何のことだか分からない登場人物。
しかし作中には彼の想いが散りばめられているので、それを意識して見ると切なくなってしまう。


■エンディング感想
エンディングは全部で5つ。
選択肢やエスケープモードの逃避成否で分岐します。

・バッドエンド1
発生:第4夜
条件:(影レナに捕まる。
このエンディングは悲しい。
なおエクストラまでクリア後に、このエンディングを再度見ると、初代様の思いに気づいて、また何ともいえない切ない気持ちになります。

・バッドエンド2
発生:最終夜
条件:(中央塔おいかけっこで捕まる。
バッドエンド1と甲乙つけ難いけど、おそらくこれが最も悲しいエンディングです。
影レナの叫びが悲しすぎる…。

・エンディング1
発生:最終夜
条件:(その手を受け入れる。
選択肢前の彼女の余計な一言さえなければこのエンディングを最初に迎えた人もいたのだろうか?でもたぶん意図的に選択しないとこのエンディングには来ないかな。
実はこのエンディングが一番、レナが苦痛なく幸せに暮らせるエンドだったと言えるのかも知れない。
それを人としてのレナが望んだ結末だったかどうかは別として。

・エンディング2
発生:最終夜
条件:(脳裏によぎった風景は――灯火堂
7thBVの真エンディング。
エンディング後にもエピローグがあり最も長く、唯一エクストラへと繋がるエンドとなっています。
終わり方がけっこうダークなのが7thBVらしい。

・エンディング3
発生:最終夜
条件:(脳裏によぎった風景は――大聖堂
アーウィンエンドと呼ばれるエンディング。
ほぼ語られることのなかったアーウィンの内面をエクストラに次いで少しだけ窺い知ることが出来る。
と同時にレナの中に息づく“ある人”との同調をもっとも強く感じられるエンディングでしょう。

上記5つのエンディングをすべて見るとエクストラ・ストーリーが出現します。
エクストラについては遊んでみた人のお楽しみということで何も書きません。

『7thBV』、おすすめゲームです。お手持ちの携帯に対応している方はぜひダウンロードして遊んでみてください。


タイトル:『7th Blood Vampire』
おすすめ度:★★★★★ (5つ中、★:1pt, ☆:0.5pt)
ジャンル:アドベンチャー/ホラー
機種:携帯配信(au、docomo、SoftBank、WILLCOM、イー・モバイル、iPhone、Android)

■Link
⇒ナイトメア・プロジェクトPC公式サイト



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