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×ゲーム/山田悠介(小説)

2010-03-27 23:16:00 | 読書
今回の記事は『×ゲーム』(山田悠介、幻冬舎文庫)です。
もうとんでもない怪物じみた人間が出てくるところとか、山田悠介さんらしい小説だと思った。
怖いというよりは読みやすいホラー。

■内容紹介
小久保英明《こくぼ・ひであき》は小学校時代「×《バツ》ゲーム」と称し、仲間4人で蕪木毬子《かぶらぎ・まりこ》をいじめ続けた。
段ボール箱にいじめの内容を書いたクジを入れ、それを引いては書かれたことを実行するのだ。
ある日、英明は「蕪木に告白する」というクジを引き、やむなく愛を告げる。
それから12年、突然、彼らの前に現れた蕪木は、英明への偏執的な愛を抱き壮絶な復讐を始める。

■感想
山田悠介さんの小説読破、7冊目。
山田さんの小説は読みやすいので、「よし、読むぞ」という意気込み無しで読み始められ、かつサクッと読み終われるところはなかなか良い。
この『×ゲーム』も読みやすく、サクッと読めてすぐ読み終わった。

前回読んだ『パズル』は今まで感じていた山田悠介作品にはない感覚の面白さを感じたのですが、『×ゲーム』は打って変わって、いかにも山田悠介さんらしい小説だと思った。
現実離れしたゲームっぽい設定(『×ゲーム』には無いですけど)、尋常じゃない歪み方をした人間(貞子っぽい感じの)、比較的ライトな人物描写(基本軽い)。
これが僕が山田作品に持ってるイメージで、ゲーム感覚で楽しく読めるのは山田作品の良さだと思っています。
『×ゲーム』には、ゲームっぽい設定を除き、これらが該当します。
普通の人が書くと、いじめに関わっていた英明が罪悪感を感じ悩む展開になりそうですが、山田作品だとその辺のことでは悩まない。
この少し渇いたライトさが妙に現代的に感じてしまうし、ある意味でリアルです。

物語は基本、主人公の英明視点で描かれていますが、強烈なインパクトを残すのはやっぱり蕪木です。
豹変する態度や異常な行動は怪物じみていて、可哀そうな境遇ながらあまり同情的な気持ちにはなれない。
(まぁ、偏執的な愛に突っ走る蕪木はある意味切ない…かもしれない。怖いけども)
悩まない英明も含め、その辺はあえて外して書いているような感じがします。
湿っぽく重めの内容にするよりも、ライトで読みやすいホラーをとった山田悠介さんの作家魂を感じる。
物語の展開を最後まで飽きさせないところは流石だった。
個人的にはプロローグとエピローグはなくても良かったかなという印象もあります。
エピローグはある種の怖さを増してはいるけど、本編には上手く絡んでいないと思う。


書名:×ゲーム
著者山田悠介
ジャンル:小説(ホラー/ミステリー)
メモ:特になし
おすすめ度★★★


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1 コメント

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Unknown (あんこ)
2012-01-04 21:26:30
山田悠介の事大好きです
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