鼻緒匠 はな壱 ~鼻緒職人の世界~

全国的に鼻緒を作る職人の数は減少の一途を辿っています。鼻緒職人の仕事内容や鼻緒についてなどをブログに載せていきます。

激レア! 本海亀(タイマイ)雪駄 修理

2015年05月23日 09時53分42秒 | コスメ・ファッション
皆さんはタイマイという海亀をご存知でしょうか?タイマイとは数種類ある海亀の一種です。主に甲羅をメガネフレームなどの鼈甲(べっこう)細工に使い、柔らかい革の部位を履物やバックなどに使います。

海亀の多くは絶滅危惧種に指定されています。1975年に発効した野生動植物保護のための国際条約、通称「ワシントン条約」によりタイマイの取引は著しく規制されています。よって、現存するタイマイの革が無くなれば、今後は入手困難必至の雪駄なのです。

何と!その本海亀雪駄の修理依頼がありまして・・・





ご覧のように鼻緒裏がボロボロの状態になっています。とても履くことは無理です。幸いだったのはタイマイの革の状態がとても良く、リメイクが可能だと判断できたことです。

ゆっくり鼻緒を台から引き抜き、その鼻緒の縫製糸を一つ一つ丁寧に解き、鼻緒からタイマイの革だけを取り除きます。





写真からお分かりの通り、ボロボロの裏生地を剥がすのは本当に大変でして。。。まさに遺跡の修復作業・・・汗

何とか解き終えた革に、裏側から丁寧にアイロン掛けをしてシワを伸ばし、また最初から鼻緒作りを始めます。

本当に緊張の連続でしたが、何とかミシン作業が終わりました。



後はいつもと同じように前坪を縫い付け、曲げ作業を行えば鼻緒の完成です。



鼻緒が出来上がりました!あとは鼻緒を台にすげれば修理作業の完了です。





今回の修理は今までで最も難しかったです。この修理依頼をいただいたお客様によると、この雪駄は知人の形見の履物で、作られてから20年以上は経過していたようです。雪駄を拝見する限り履かれた回数は少ないと思いますが、やはり経年による劣化は少なからずありました。ところどころタイマイの革にひび割れがあり、そのひび割れの修復にかなりの時間を要しました。これなら何とか修理に耐えられそうと判断して作業に入りましたが、途中でパックリ割れてしまったどうしよう・・・などと考えながらの作業でした。

しかし、先にも書いたように今後は入手困難の代物なので、何とかしたいの一心でした。出来上がった雪駄をお客様に納品しましたところ、あまりの出来の良さに驚いていまして、逆に履くのが勿体ないと・・・まだまだ永く履くことが出来ると思うので、時折メンテナンスをしながら履いて欲しいです!


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