ご近所のお得意様から草履の注文をいただきました。
そのお客様からのご要望は、以下の通りです。
① 台の長さが24㎝
② 踵(かかと)の高さが3㎝
③ 白マットの牛革製
④ 鼻緒はシンプル、且つ上品な感じ
①はLサイズにしました。③は革の在庫があるので問題なし。④は鼻緒裏に三越本天を使用した外玉一本にしました。
唯一問題だったのが②でした。踵3㎝の台ですが、これが意外とありそうで、なかなか無いのです。全般的に今の草履は高さのあるタイプが主流で5㎝以上が普通です。時折10㎝オーバーも見かけます。
草履の高さが高くなったのには理由があります。その一番の理由は着物の裾を汚さないようにする為と言われています。もちろん見た目の美しさや足を長く見せる効果もあるので、しっかりと実益も兼ねています。
話は元に戻りますが・・・お取引のある草履メーカー数社に掛け合い、何とか踵3㎝の台を作ってもらうことが出来ました。
しかも、その作ってくれた職人さんはクローム(草履の底・牛革製)を綴じ(とじ)の技法により縫製してくれました。「綴じ」とは台の重ねてある部分を接着剤を使わず、糸で綴じあげる事を言います。今では綴じの出来る職人さんは、かなり少ないと聞いています。
クロームの淵に沿って切込みが入っているのがわかると思います。その切込みの中に縫製した糸を隠しています。全て手作業の職人技!ただただ「スゴイっ!」の一言です。
鼻緒を挿げて完成です。とってもシンプルで上品さの漂う美しい草履が出来ました。お客様に納品しましたところ、とても喜んでいただきました。今回は、台の職人さんの凄さを目の当たりにすることが出来て、とっても勉強になりました。
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