しばのずしょりょう

読んだ本などの感想をひたすら書く所。

一夢庵風流記

2007-04-20 00:56:36 | 歴史・時代小説
一夢庵風流記一夢庵風流記
隆 慶一郎

新潮社 1991-09
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隆慶一郎作「一夢庵風流記」を読む。

朱色の長槍を持ち、大きな身体を生かし、愛馬・松風で一人でも敵地に斬りこんで
いくようないくさ人であり、同時に風流人でもあった前田慶次郎。
藩に縛られるのが嫌だった慶次郎は、妻子を捨て、松風に乗って、一人あての
ない旅に出る。途中、様々な刺客に殺されそうになったり、事件に巻き込まれ
たりもするが、持ち前の豪胆な性格と戦闘能力の高さで、時に敵まで味方に
引き入れてしまう。戦国末期を駆け抜けた一人の男の一代記。

途中まで読んで、他の本を読んだり、また戻ったりと、集中して一気に読ま
なかったので、なかなか読み終えることができなかったのだが、面白かった。
どちらかというと、男性ウケしそうな話である。男のロマンって感じ。
オレもこんな風に生きたいなぁ~って憧れてしまうんじゃないかな。

この前読んだ「舞姫」の主人公・豊太郎とは、真逆の人だな。
自分のやりたいように、自由に生きる。
こんな生き方ができる人は、めったにいないし、実行するためには、
その人にそれなりの強さと頭の良さが必要なんだと思う。
この話の慶次郎は、ただ戦いが好きなだけのいくさ人ではなく、
冷静に状況を分析できるキレ者として描かれている。
武将達や、朝鮮に渡った時の現地人とのやりとりを見ても、
何を言い出したり、やり出すか、わからない面白さがある。

長いけど、飽きずに読める話だと思う。

現代訳 森鴎外「舞姫」

2007-04-13 01:43:41 | 恋愛・青春・友情もの
現代訳 森鴎外「舞姫」現代訳 森鴎外「舞姫」
安川 里香子

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安川里香子作「現代訳 森鴎外「舞姫」」を読む。

将来を嘱望され、ドイツへ渡った太田豊太郎。しかし、ドイツの自由な風に
刺激を受け、自分の生き方に疑問を抱いてた矢先に、父親を亡くし、貧しい生活を
強いられている踊り子エリスと出会う。彼女との交流を深めるうち、豊太郎の
才能に嫉妬している者達の密告により、罷免されてしまう。そんな彼の窮状を
見過ごせず、親友の相沢は救いの手を差し伸べるのだが・・・というような話。

森鴎外の名作「舞姫」を現代風に訳したもの。
原文にとっつきにくい人には、オススメ。かなりわかりやすく訳されている。
これを読んだ後、もう一度原文を読んだのだが、また違う鴎外の世界を楽しめた
ような気がする。(とりあえず初見の時のような、旧字体の文字が頭に入って
こないということはなくなった。)

今度、宝塚で上演されるので、どんな話か思い出すために、読んでみたのだが、
こんなに短い話やったかなぁ・・・。でも、高校か中学か、教科書に載ってた(?)
くらいだから、そんなに長くはなかったのだろうけど。

それにしても主人公の豊太郎は、優柔不断すぎるやろー!
まぁ、今まで自分の我を通さず、自分の気持ちのおもむくままに行動すること
なんて考えもしなかった人だから、きっぱりと決断しないといけない時に、
こういう弱さが出てきてしまうんだろうけど。
自分の思う通りに行くことなんて、めったにないことなのかもしれないな。


※原文を読んだ本↓

舞姫 ヰタ・セクスアリス―森鴎外全集〈1〉    ちくま文庫舞姫 ヰタ・セクスアリス―森鴎外全集〈1〉 ちくま文庫
森 鴎外

筑摩書房 1995-06
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マンガ名作オペラ3巻 椿姫 他

2007-04-12 01:27:41 | まんが
椿姫―アイーダ/リゴレット/マクベス椿姫―アイーダ/リゴレット/マクベス
里中 満智子

中央公論新社 2006-11
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里中満智子作「マンガ名作オペラ3巻 椿姫 他」を読む。

オペラの名作「椿姫」「アイーダ」「リゴレット」「マクベス」を
わかりやすくマンガ化した本。

オペラには興味があるけど、どんな話かようわからん・・・という人に
オススメの本。「リゴレット」はわからないけど、それ以外の話は、
普通のお芝居としても演じられているので、馴染み深い作品も多く、
入っていきやすいのでは・・・。
多分、かなりかみ砕いて描かれているので、わかりやすい。

神童

2007-04-11 01:17:14 | まんが
神童 (1)神童 (1)
さそう あきら

双葉社 1998-06
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さそうあきら作「神童」全3巻を読む。

音大を目指して浪人中の和音は、ある時、野球好きな小学生・うたと出会う。
彼女は、天才ピアニストでもあった。うたの表現力豊かなピアノに圧倒された
和音は、彼女に弟子入りすることに。うたのピアノの音に刺激を受けた和音の
ピアノもどんどん変わっていって・・・。一人の天才少女と、耳はいいけど
才能は凡庸な青年の交流を描いた作品。

天才の出てくる話って面白いよなぁ。
飄々としていて、周囲の羨望や嫉妬、畏怖など、まるで気にしないで、
自分の思うままに、才能をいかんなく発揮する。その様子を見ているだけで
気持ちがいい。漫画の中の話だったとしても。

この漫画からは、本当に音楽が聞こえてくるみたい。
それが、ピアニストうたの天才ぶりを力強く裏付けていて、
作品自体が魅力的になっているのだと思う。

ラストはかなり予想外な方向へ。ビックリしたけど、感動できる。
挫折を味わっても、本能は止めることができないのだなぁ。

1巻の最初の方に出てくる登場人物の名字って、みんなJR横浜線沿線の駅名
だよね?なんで途中でやめたんかわからんけど、そういう遊び心は面白いと思う。