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隆慶一郎作「一夢庵風流記」を読む。
朱色の長槍を持ち、大きな身体を生かし、愛馬・松風で一人でも敵地に斬りこんで
いくようないくさ人であり、同時に風流人でもあった前田慶次郎。
藩に縛られるのが嫌だった慶次郎は、妻子を捨て、松風に乗って、一人あての
ない旅に出る。途中、様々な刺客に殺されそうになったり、事件に巻き込まれ
たりもするが、持ち前の豪胆な性格と戦闘能力の高さで、時に敵まで味方に
引き入れてしまう。戦国末期を駆け抜けた一人の男の一代記。
途中まで読んで、他の本を読んだり、また戻ったりと、集中して一気に読ま
なかったので、なかなか読み終えることができなかったのだが、面白かった。
どちらかというと、男性ウケしそうな話である。男のロマンって感じ。
オレもこんな風に生きたいなぁ~って憧れてしまうんじゃないかな。
この前読んだ「舞姫」の主人公・豊太郎とは、真逆の人だな。
自分のやりたいように、自由に生きる。
こんな生き方ができる人は、めったにいないし、実行するためには、
その人にそれなりの強さと頭の良さが必要なんだと思う。
この話の慶次郎は、ただ戦いが好きなだけのいくさ人ではなく、
冷静に状況を分析できるキレ者として描かれている。
武将達や、朝鮮に渡った時の現地人とのやりとりを見ても、
何を言い出したり、やり出すか、わからない面白さがある。
長いけど、飽きずに読める話だと思う。