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久保寺健彦作「ブラック・ジャック・キッド」を読む。
ブラック・ジャック(BJ)の熱烈ファンである小学生の和也は、将来、自分がBJに
なるものと疑わず、普段から黒いマントを着用し、BJになりきっていた。
しかし和也は、クラスの男子と女子の仲が悪化するきっかけを作ってしまい、
ついには全体戦争をすることになって・・・。両親の不和、学校の転校といじめ、
不思議な存在との遭遇、親友との出会いを通して、和也は成長していく・・・
というような話。
日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を獲った作品らしい。
書店でこの作者の本が平積みにされているのが気になって読んでみた。
でも、この話ってファンタジーではないよなぁ。ファンタジーな要素も
入ってるけど、途中までそんな空気一切なかったような(笑)
それは置いておいて、話自体は面白かった。
私もブラック・ジャックが好きで、全巻集めてしまったクチなので、
何となく想像しながら読めるのが楽しい。
もっと軽い話かと思ってたけど、結構、暗い面もあり意外だった。
ただ、重っ!と感じる話でもない。BJになりきる主人公や、少女マンガを
こよなく愛する親友の男の子のキャラなど、設定が面白くて、話の重さを
吹き飛ばしてしまうようなパワーがある。
こんな小学生がいたら嫌やなぁ・・・と思うけど、これだけ熱中できて、
のめり込めるモノを持っていることは幸せなことだと思う。
単にBJへの憧れだけで動いていた主人公がどんどんと、自我に目覚めていく
様子の描き方が上手いと思った。