あさのあつこ作「晩夏のプレイボール」を読む。
高校野球にまつわる10話の短編集。忘れないために、あらすじメモ。
中学から一緒に野球をやってきた真郷と律。肩を壊し野手転向をよぎなくされた
真郷。飄々としていて闘争心の少ないピッチャー律。2人は、甲子園の地区予選
準決勝で、後1アウトの所まで追い込まれていた・・・の「練習球Ⅰ・Ⅱ」
野球好きだった加奈は、少年野球チームに入っていたが、中学入学を機に、
男のスポーツである野球から離れざるを得なくなる。チームメイトだった美倉と
高校で再会した加奈は・・・の「驟雨の後に」
英斗は久しぶりに故郷へ戻る。甲子園出場を果たした血のつながらない兄を
誇りに思っていたことを思い出す。今は高校の野球部の監督を務める兄が
英斗に告げた真実とは・・・の「梅香る街」
中学校の野球部で知りあった彰浩・信吾・有一。高校でも甲子園を一緒に目指した
かったが、様々な事情で、廃校になる予定の高校に通うことになった。甲子園に
行くことを夢見ることもできない微妙な心境を綴った「このグラウンドで」
野球好きな息子を幼い頃に事故で失った夫婦。それから何十年も経ち、夫は
死の淵に立っていた。病院で高校野球を見ていると、息子と同姓同名の
選手が出てきて・・・の「空が見える」
甲子園で見事優勝したピッチャーの優流。しかし、その先の目標が見えず、
不安を感じていた。久しぶりに実家に帰った優流は、体調の悪い親友・健斗を
見舞うが・・・の「街の風景」
平凡であることに悩んでいた一登は、河原で素振りをしている少年を見かける。
その後も、その少年が気になった一登は、河原へ通うようになり、
野球に興味を持ち始める・・・の「雨上がり」
才能はないけど、野球に魅せられた嘉人は、高校で野球部に入りキャッチャーを
していた。レギュラーになることもなく卒業しようとしていたが、中学生の頃から
屈指の左腕として注目集めてきたチームメイトの雄大に、球を受けてほしいと
頼まれる・・・の「ランニング」
病魔に冒された順平は、久々に帰った故郷で彰信と再会する。彰信は、高校の
野球部でバッテリーを組んできた女房役だった。「なんで諦めるんだ」と
本気で怒られたことを思い出す順平は・・・の「東藤倉商店街」
この前読んだ「大延長」に引き続き、高校野球の本。
同じ高校野球を扱っていても、全然毛色が違うので、読み比べると面白い。
あさのさんの野球モノは、ゲームの進行や結果よりも、それに携わる人達の
心情の揺れや、微妙な人間関係を描いている。だから、野球モノを読んでると
いう気分には余りならない。あくまで野球は、人間を描くためのエッセンスの
一つといった感じ。
この中だと、「梅香る街」と「雨上がり」が好きかなぁ。