12月1日、東京は快晴です。
blog臨時担当のクッディです。
倉正樹先生のアップスタイルの連載「極面道場」がいよいよ佳境にさしかかってまいりました。
今回は、その連載ページにまつわる、担当しか知らないお話です。
これはとても貴重ですよ。きっと、みなさん、びっくりしますよ。
連載が始まったのは、2006年4月号からでしたねぇ・・・(遠い目)。
担当としては「ただアップスタイルの連載というのも、面白くない。なにかこう読者の方をドキッとさせたい」と、思ってしまったんです。倉さんといえば、故信竜淳二先生直系のアップの達人です。
となれば、ここはひとつ達人っぽさ・職人っぽさを打ち出したい。そう考えました。
イメージは、ソバ打ち職人、あるいはこだわりの陶芸家。
となれば、衣装は「作務衣」しか考えられません。しかも、藍染の。
倉さんの作務衣姿を想像すると、じつに味わいがある、熟練の技を身に付けたオーラも感じさせてくれる。
これは、すごいっ。ニュートンも万有引力を発見したときはきっとそう思っただろうな~なんて思っちゃいました。あ、そんなものと比べるなって?
しかしですよ、考えたはいいけれど、実際に着用していただけるかどうかっていうのが最大の難関です。
「ふつうにアップの連載だけでいいじゃないか」自分の心の中の天使がささやきます。
「余計なことをして、変な連載になったらどうするんだ」心の中のフランシスコ・ザビエルもささやきます。
考えれば考えるほど、どうしても倉さんに“作務衣”を着て欲しい。
しかし、倉さんがそれを快諾してくれるかどうかわかりません。
そこで、連載の撮影の何日か前におそるおそる電話をしてみました。
その日は、たまたま倉さんが接客中で、奥様が電話に出られました。
「こんにちは、突然ですけれど、倉さん、作務衣っていうものをお持ちですかね?」
「作務衣って、あれですか? 」
「あれです。あれを着た倉さんの姿を1枚だけ撮影したいんですけど」
「そうですか・・・では、あとでまたお電話します」
プチッ
ぐはぁ~。ちょっと微妙なトーンだったぁ。大丈夫かなぁ。
心臓ドキドキです。電話しなきゃよかったなぁ・・・。変わったことしなくても普通でいいじゃ~ん。
そして数時間後、倉さんから電話がありました。
「作務衣、持っていますよ」
「えっ、本当ですか? では、撮影の時に着用していただいて、写真を1枚プスッととらせていただいてもよろしいですか?」
「え・・ええ」
快諾だ!!!
そして、撮影できたのが連載第一回目のこちらの写真です。
タイトルは「瞑想する達人」
でですね、ためしに着ていただいた作務衣なんですが、倉さんがいたく気に入ってしまいましてですね、とっても仕事がやりやすいんだそうです。
以来、毎回、撮影の時は作務絵姿で仕事をなさっています。
で、後日聞いた話ですがね、倉さんはわたくしの電話のあとに、わざわざデパートへ行って作務衣を調達して下さったんですよ。
とっても、ありがたいなぁと思ってしまいました。
熱心な読者の方はすでにご存知だと思いますが、連載の2回目(5月号)から変わった名前のカメラマンが作品を撮影しております。
その名も鞍馬 嵜太郎。
おわかりですか?
鞍馬 嵜太郎=くらま・さきたろう=くらまさきたろう
そうです。鞍馬カメラマンとは、倉さんの別名なのであります。
といっても、わたくしが、勝手につけたんですが。
美容師としてもカメラマンとしても、連載で腕をふるっていたというわけなんです。
ですから技術コマの撮影は、サロンの裏にあるスタジオで、一人で撮影しているとか。
えっ? 一人でできるの? 技術コマに両手が写っているじゃん。
その疑問にお答えいたしましょう。
まずは三脚でデジカメをセット。それをPCにつなげて、プロジェクターでフレーミングを確認。
パソコンのreturnキーを押すとシャッターがおりるという仕掛けになっているんです。
両手がふさがっているときは、足の指でシャッターをきるんです。
相当数の技術コマがありますが、毎回、そうやって大変なおもいをして、撮影されているんですね。
連載は3月まで続きます。
ああ、この技術コマは足の指でシャッターを切ったんだなぁーって、そんなこと思わなくていいから、あの素敵なアップの技を勉強してみて下さいませ。