Humoreske(小噺ひとつ)

ここでおひとつ、小噺をひとつ。
フモレスケはユーモアからきたことば。

ヴァイオリニストになるってこと

2009-07-04 | 音楽♪命!
ブログでも何度も登場のSくんですが、
昨日は四谷のKホールでのリサイタルでした。

都内のメジャーホールでのデビューリサイタルという
ことになるのかな。

某財団主催の若手アーティストを紹介する演奏会に
抜擢されての登場です。客席は財団招待…。

しかし、招待の客ってのは、本当に勝手気ままで
腹立たしいものです。演奏会場を自分のうちでテレビ
見るのと区別もつけられないのか、靴を脱いで椅子の上で
落ち着きなく動くいい年した女性たち…。

もちろん若手だから知りもせずでいいのだけれども
勝手なことを発言する人たち。。。
自分でお金を払わないとこうも無責任な客になるのか!?と
日本人のいやーなところを見た気分で、怒り心頭でした。

いつか、彼の名前だけでこのホールが満席になる日が
来るんだから!!!と、勝手に人の褌で意気込む私。

さて、Sくんの演奏は、なんだろう、簡単に言うと、
中学生から、高校生になっていました。。。(←簡単すぎる)


大人になった…とはまだ言えないけれど、
なろうとしている…とにかくありとあらゆる「系統」の
レパートリーと対峙して、飲みこんでいる感じが・・・・!


正統派なものも、ヴィルトゥオーゾ的なものも、
民族的くせのあるものも、とにもかくにも「マルチ」に
飲み込んでいる。。。飲み込めていることが、まずスゴイ
ことなんだと思うんだけど。。。全曲暗譜の意欲も。。。


彼の先生たちが、終演まもなくして、ああだこうだと
指導をつけている。。。しあわせな生徒さん。。。と
思う一方と、完璧じゃなくてもいいじゃないか…
成長してるんだから…って甘い心を持ってしまう保護者的な
感覚と…いや、ちがう。お金をとって人様に聴かせると
したら…って鬼の心と…。

行ったり来たり。出たり入ったり。スタンスの定まらぬ私。

1.興行主的心境。
2.音楽ファン的心境。
3.勝手ながら姉的心境。

もはや入り混じって、どれがなんなのか分からなくなってます(笑)。

まぁ、別に普段だって、アーティストに対して
仕事上で「興行主ですからっ」って顔していない私なので
2と3がメインでしょうね。

一生懸命成長している彼の周りで、
もしかしたら皆がスタンスをぐるぐるさせているのでは
ないかと思ったり。

賛辞も、指摘も…あるいは言葉になってないいろんな空気も
飲み込んでいるとしたら?

15歳のお腹はかなりいっぱいなはず。

大人になればわかること。
まだまだ子供ねぇと言われること。
早く成長しなくてはならないこと。
促成栽培じゃないのだから、徐々に大人になること。


時間の方も、彼の周りを右往左往しているのかもしれません。

大人になるって、、、取捨選択の自由を得るために
責任を果たせるってことだし。。。
大人になれば、自分で自分を守れる方法を知るから
それがいち早く身に着くようにって、急に周りの大人が
手を放してみたり。。。

大人も彼のような人間を前にしては、
初めてづくしで一緒に成長していくのだろうし。


ブレずに聴ける人間でいたいものです。
15歳だろうと、30歳になろうと、70歳になろうと、
同じスタンスで、Sくんの演奏を聴けるようなぶれない存在。
まあ、Sくん、70のときは、85歳ですから、そこで
ぶれてたら相当やばいおばあちゃんですが。。。


モンスター15歳はいろんなことに気がつくようになって、
教えられるんじゃなくて「自分が」気づくようになり始めて
まわりの人間のこと、自分のこと、感情のこと、
こどもの自分に対する周りから、大人の自分に対する周りを
実感していくんだろうね。

まだまだ凝り固まらないし、でもこだわりがないわけでもなく
昨日の演奏にはその「こだわり」の芽がいろいろ見えて
これがだんだん彼の根になり花の色になっていくのかなーと
思ったりする部分もありました。。
もちろん、15年多く生きている分、それはちがうぜ、、、と
思うところもあったけど、、、そういう部分をコミットできる
ようになるのは楽しいことだね。


しかしながら、、、本当に、、、
「聴衆」ってのは無責任な生き物だと思うな。。。
演奏家に対して、ほれたはれたあきたすてたの他、
好奇の目、刺すような目、間違い探しの目、羨望の目、
なんていうか、無責任な「目」や「耳」が多すぎる。。。


批評家はそれが仕事なんだというけど、その目その耳の
感じるままより、「情報」からきて、「頭」が先に勝っちゃってる方が多いと
思うし・・・・・・。



どんなスタンスでも、
音楽家を、いってらっしゃい。おかえり。と迎えられる
大きい人間になりたいなあ。。。

って、これ以上体格が大きくなっては困るのだけれど。。。



最近のクラシック音楽界が嫌いなふもなのでした。





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