2018年08月25日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[韓日漁業協定交渉 日本に速やかな交渉再開を促す]
相手国の排他的経済水域(EEZ)での操業条件を決定する韓日漁業協定の交渉が、2016年6月以降、2年間、暗礁に乗り上げているが、日本側の不誠実な交渉態度により、今年もなかなか突破口を見つけられていない。
韓国海洋水産部は、2018年操業期(2018年7月-2019年6月)のため、2018年8月初めに開催予定だった”韓日漁業委員会”が開催されなかったと明らかにした。
韓日両国は”大韓民国と日本国との間の漁業に関する協定”に基づいて、毎年、相手国EEZで操業を行ってきた。
また、両国は相手国EEZでの操業に関する具体的な条件を毎年交渉を行い決定してきた。
しかし、2015年操業期(2015年7月-2016年6月)が終了した後、交渉が難航、長期間、それが中断された状態となっている。
2018年操業期(2018年7月-2019年6月)のための協議はこれまで6回行われた。
今年2018年4月に課長級会議、同年5月-6月に局長級会議が3回、同年6月に室長級会議、そして次官級会議が開かれた。
交渉が膠着状態に置かれた主な理由は、韓国のタチウオ延縄漁業の取り扱い、東海の中間水域のズワイガニ漁場での両国の円滑な操業のための漁場の交互利用(シフト操業)に関する主張の隔たりとされている。
2015年操業期(2015年7月-2016年6月)交渉時、2019年までに、韓国は延縄漁船の着業許可隻数を40隻、日本は巻き網漁船30隻と釣り漁船10隻、計40隻、お互いに減らしていくことに合意している。
しかし、日本側は、韓国の延縄漁船の違法漁業問題を提起、着業隻数を206隻から73隻に、3分の1相当までに大幅に削減することを要求している。
韓国側は、先に合意した40隻のほか、追加減船案とともに、違法漁業根絶のため、今後、違法漁船の日本EEZ着業を禁止することどを提示している。
過去から両国は東海の中間水域でのズワイガニ操業のため、一定の水域と期間を合意して漁場を交互に利用してきたが、日本の交代操業水域と期間の大幅な拡大要求等で交渉が進展していない。
シフト操業協議は、2015年から再開され、民間団体である韓国水産会が主管し、日本側と協議してきた。韓国政府も両国漁業者間の協議が円満に行われるように助言・指導するなどの努力をしているが、双方の立場の違いが大きい状況である。
韓国漁業者は、日本EEZで年間1万8,000トン余りを漁獲していたが、日本の漁業者は、韓国EEZで7,000トン程度の漁獲で、交渉が決裂したままでも、日本の損害が大きくないという計算が敷かれているというのが業界の観測となっている。
さらに、2011年の福島原発事故以降周辺8県で獲れた水産物の輸入禁止措置に対する日本側の反発心理も作用しているものと分析されている。
世界貿易機関(WTO)は、今年2018年2月に「韓国の日本産水産物の輸入禁止措置がWTO協定に違反する」という決定を下したが、韓国政府はこれを不服として、2審に上訴した状態となっている。
韓国政府は日本側に早期交渉再開を促す一方で、漁業者の被害を最小化するための対策を始めた。
今年2018年初め、政府は水産協同組合を通じて韓日漁業交渉被害業種のうち大型巻き網など出漁経費が高い漁業種について緊急経営安定資金を支援している。
また、タチウオ漁業者の被害を最小限に抑えるためタチウオ禁漁期の7月、北緯33度以南でのタチウオ操業を許可している。
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[韓日漁業協定交渉 日本に速やかな交渉再開を促す]
相手国の排他的経済水域(EEZ)での操業条件を決定する韓日漁業協定の交渉が、2016年6月以降、2年間、暗礁に乗り上げているが、日本側の不誠実な交渉態度により、今年もなかなか突破口を見つけられていない。
韓国海洋水産部は、2018年操業期(2018年7月-2019年6月)のため、2018年8月初めに開催予定だった”韓日漁業委員会”が開催されなかったと明らかにした。
韓日両国は”大韓民国と日本国との間の漁業に関する協定”に基づいて、毎年、相手国EEZで操業を行ってきた。
また、両国は相手国EEZでの操業に関する具体的な条件を毎年交渉を行い決定してきた。
しかし、2015年操業期(2015年7月-2016年6月)が終了した後、交渉が難航、長期間、それが中断された状態となっている。
2018年操業期(2018年7月-2019年6月)のための協議はこれまで6回行われた。
今年2018年4月に課長級会議、同年5月-6月に局長級会議が3回、同年6月に室長級会議、そして次官級会議が開かれた。
交渉が膠着状態に置かれた主な理由は、韓国のタチウオ延縄漁業の取り扱い、東海の中間水域のズワイガニ漁場での両国の円滑な操業のための漁場の交互利用(シフト操業)に関する主張の隔たりとされている。
2015年操業期(2015年7月-2016年6月)交渉時、2019年までに、韓国は延縄漁船の着業許可隻数を40隻、日本は巻き網漁船30隻と釣り漁船10隻、計40隻、お互いに減らしていくことに合意している。
しかし、日本側は、韓国の延縄漁船の違法漁業問題を提起、着業隻数を206隻から73隻に、3分の1相当までに大幅に削減することを要求している。
韓国側は、先に合意した40隻のほか、追加減船案とともに、違法漁業根絶のため、今後、違法漁船の日本EEZ着業を禁止することどを提示している。
過去から両国は東海の中間水域でのズワイガニ操業のため、一定の水域と期間を合意して漁場を交互に利用してきたが、日本の交代操業水域と期間の大幅な拡大要求等で交渉が進展していない。
シフト操業協議は、2015年から再開され、民間団体である韓国水産会が主管し、日本側と協議してきた。韓国政府も両国漁業者間の協議が円満に行われるように助言・指導するなどの努力をしているが、双方の立場の違いが大きい状況である。
韓国漁業者は、日本EEZで年間1万8,000トン余りを漁獲していたが、日本の漁業者は、韓国EEZで7,000トン程度の漁獲で、交渉が決裂したままでも、日本の損害が大きくないという計算が敷かれているというのが業界の観測となっている。
さらに、2011年の福島原発事故以降周辺8県で獲れた水産物の輸入禁止措置に対する日本側の反発心理も作用しているものと分析されている。
世界貿易機関(WTO)は、今年2018年2月に「韓国の日本産水産物の輸入禁止措置がWTO協定に違反する」という決定を下したが、韓国政府はこれを不服として、2審に上訴した状態となっている。
韓国政府は日本側に早期交渉再開を促す一方で、漁業者の被害を最小化するための対策を始めた。
今年2018年初め、政府は水産協同組合を通じて韓日漁業交渉被害業種のうち大型巻き網など出漁経費が高い漁業種について緊急経営安定資金を支援している。
また、タチウオ漁業者の被害を最小限に抑えるためタチウオ禁漁期の7月、北緯33度以南でのタチウオ操業を許可している。