◇ サラサドウダン(更紗灯台、更紗満天星)
自然郷は、我が国でも有数かつ稀有な サラサドウダン の群生地 です。
↑このように、自然郷では サラサドウダン が最優先で保護されるべき樹木です。
日照が不足している場所 では、花が咲きません。いずれ死滅する可能性が高いです。
また、鬱蒼とさせている と、他の樹木にやられてしまいます。
今、自然郷はサラサドウダン の最盛期です。
↑この、サラサドウダンを近接撮影したのがこちら↓
↑これを、さらに近接撮影したのがこちら↓
↓こちらは、山荘のサラサドウダンです。
※ サラサドウダン と ドウダンツツジ の違い:
木そのものはよく似ていますが、花の形状が異なるので、花で判別 します。
①:サラサドウダン は、別名:フウリンツツジ(風鈴躑躅)ともいいます。
花に「薄桃色の縞模様」があり↓、これが「更紗(サラサ)」のようなのでそのように命名されました。
②:ドウダンツツジ は、満天星躑躅、灯台躑躅などと書きます。
花に「薄桃色の縞模様」が無く、花が白い のが特徴です。
(今年は私はまだ咲いたのを見ていません。咲き終わってしまったのか?咲かなかったのか?)
紅葉の時には、サラサドウダンよりも真っ赤に紅葉します。
③:なお、サラサドウダンよりも さらに紅色が強い ベニサラサドウダン というのがあります。
自然郷でもきわめて本数が少ない希少種です。
(今回は撮影しそびれました。 ≪「今日の八ヶ岳」≫6月18日の項に写真があります。)
※ ドウダンとシカの食害対策 &ヤマネ:
①:サラサドウダンもドウダンツツジも、ツツジ科なので毒があるため、「葉っぱ」はシカも食べません。(食べるのに口が届く「低木」の場合)
②:また、ドウダンの「花の蜜」をヤマネが吸います。(花の蜜には毒が無いのか?)
そのため、ドウダンの根元の「ホラ(空洞)」にヤマネが住み付きます。
③:ドウダンには毒があるはずなのに、冬に近くなると「樹皮」がシカの食害にやられます。(樹皮には毒が無いのか?)
ドウダンのシカ対策は、冬になる前に木の幹を「麻の幹巻布」(ホームセンターで売っています)で「グルグル巻き」にしておきます。これで完璧です。
「グズグズ巻き」だと風雪でほどけて、シカにやられるかもしれないので、面倒でもきちんと巻きます。
◇ レンゲツツジ(蓮華躑躅)
↓今、自然郷では最盛期ですが、一部では満開を過ぎたようです。
※日照が不足している場所 では、花が咲きません。それどころか、いずれ死滅してしまいます。
別名:ベコツツジ、ウマツツジなどといわれ、全草に致死性の毒があります。
そのため、牛や馬も食べないので、牧草地では群生化しています。
自然郷のツツジも牧場の名残りです。
ちなみに、「躑躅」とは「足がふらつく」という意味で、人が食べても危険です。呼吸停止を起こすことがあります。(ゆえに、致死性)
当然、シカは食べません。
自然郷の山野草(7)
梅雨入りしてから、自然郷もめっきり「虫々(ムシムシ)」がたくさん出てきました。
でも、東京よりはずっと涼しいです。東京は「蒸し蒸し(ムシムシ)」です。
オオヤマフスマ(大山衾)
別名:ヒメタガソデソウ(姫誰袖草)、タガソデソウ(誰袖草)、カオルタガソデソウ(香誰袖草)
ナデシコ科です。だいたい群生しています。
「フスマ(衾)」とは「布団」の意味。命名の由来は、群生している様子があたかも「布団」のようだから。
(でも、↓この写真からは、そこのところがよくわかりません。スミマセン)
別名の由来は、 『古今和歌集』巻第一 春歌 上 33(番目)
「色よりも 香こそあはれと 思ほゆれ 誰が袖触れし 宿の梅ぞも」(よみ人知らず)
(訳:「(花は)色よりも香りの方が趣きがある。いったい誰が袖を触れていった?この家の梅の香り。」)
から命名されました。
小さいのでたぶんシカは食べないと思いますが、確認していません。
ヤマオダマキ(山苧環)
キンポウゲ科。ゆえに毒があります。
「オダマキ(苧環)」とは「糸巻き」のこと。命名の由来は「花の形が糸巻きに似ている」から。↓
シカが、まれに食べているようですが、毒があってマズイらしくあまり食べません。
※参考までに、こんなヤマオダマキ↓もありました。
ヤマオダマキの花が黄色系なのに対し、ミヤマオダマキ(深山苧環)の花は紫色系です。
それで間違えやすいのですが、これは↓ヤマオダマキ(変種?)です。
※ ミヤマオダマキ(深山苧環) は、自然郷よりも標高の高い所に咲いていて、いわばヤマオダマキの高山植物版です。
ヤマオダマキよりも、色がもっと群青色系の強い紫色系で、花弁も少し違います。
←ミヤマオダマキ(深山苧環)
←ミヤマオダマキ(深山苧環)
グンナイフウロ(郡内風露)
山梨県大月市桂川流域の古い地名に「郡内」というのがあり、そこで発見されたフウロソウ(風露草)ゆえにそのように命名されました。
フウロソウの中では、自然郷では一番先に咲きます。
シカには食べられないといわれていますが、実際にはシカに食べられています。
ケブカ ツル カコソウ(毛深蔓夏枯草)
全体的に毛が荒いので ツルカコソウ(蔓夏枯草)の変種とみられていますが、ツルカコソウにも毛があり変種とはみなさないという説もあります。
←花穂が円筒状(靫、ウツボ)です。
地面に這うようにして生えているので、シカには食べられていません。
ウツボグサ(靫草)
円筒形の花穂が、弓矢を入れる容器「靫(ウツボ)」に似ていることから命名されました。
←花穂が円筒状(靫、ウツボ)です。
シカには食べられずに、ずっと残っています。これも地面に這うようにして生えているからだと思います。
※なお、『神農本草経』(下品)に、ウツボグサの花穂(あるいは、花期における地上部分の全部)を乾燥させたものを 「夏枯草(カゴソウ)」といい、消炎・利尿作用があるとしています。
それゆえ、前出の ケブカツルカコソウ は、「毛深いウツボグサ」という意味でもあります。
◇ 地面を這うように生えている小さな草花
自然郷での自生種山野草には「地面を這うようにして生えている、背丈の低いとても小さな花」が多いです。
そのため、つい草刈りで刈ってしまうことが多いですが、いずれも貴重な山野草です。
また、日照が不足している場所 では、せっかく存在していても花が咲かず、そのために存在に気がつかないことも多いです。
自然郷では、いわゆる雑草は まずありません。
自然郷で生えている小さな草は、いずれも「タダものではない」ものばかりです。(外来の牧草類、シバ類、ササ類は除く)
↓今この時期、とくに目立つ小さな草花群。
←ミツバツチグリ(三葉土栗)
※ミツバツチグリ(三葉土栗):4月15日付ブログ記事で紹介。また、6月4日付ブログ記事「ヤマシャクヤク」の項でも既出。
←イワニガナ(岩苦菜)
←イワニガナ(岩苦菜)
※イワニガナ(岩苦菜):別名 ジシバリ(地縛り)、ハイジシバリ(這い地縛り)
キク科。地面を這うようにして生えている様が地面を縛っているようなので、このように呼ばれています。
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自然郷にも、いろいろなセミがいて、この時季に鳴いているのは「エゾハルゼミ」だと思います。
いよいよ、これから夏までは、愛らしいセミたちとも会えます。
気候が涼しく(天気が良ければ)今、自然郷は快適!です。
※それにしても、最近ガソリン価格が高くありません?
※高速道路料金も、割引率適用の縮小により、めっぽう高くなりました。
ETCでインターから出る際、高速道路料金が表示されるのですが、「高くなったなぁ!」というのが率直な感想です。
(記事本文のメモリーがもういっぱいになってしまいました。それで、しょうがないので「コメント」欄に書きました。)