ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

それぞれの役割・任務を成功させる~具体的な方策・首長編①~

2014-01-01 09:00:01 | Weblog
それぞれの役割・任務を成功させる
~具体的な方策・首長編①~


 明けましておめでとう御座います。本年も宜しくお願いします。

 元旦を迎えて〝仕事を成功させる〟にはどうすればよいのか、フト考えました。今年は多くの夢を実現するために実務からお話したいと思います。

 仕事といっても人間にはそれぞれの役割と任務があります。CEOとしての役割もあれば、ミドルマネージャーとしての仕事など様々です。自治体においても首長・管理職・職員として、あるいはいま最も発揮すべき役割を求められている地方議員としての役割や果たすべき任務があるはずです。

 今回は仕事始めも近いことから地方の首長と議員を対象に考えたいと思います。最初は首長です。

 第一点は首長に求められる役割・任務を自分自身で見つけ出すことから始まります。自治体のトップリーダーとして自分は今、何を住民から求められているかの再発見です。知事・市長・市町村長は4年間というスパーンの中で長期的な課題・中期的な課題・短期的な課題の発掘と具体的なテーマを決定しなければなりません。誰もが中・短期的な仕事は見つけやすいのですが、本当は超長期的な課題を見つけ出し、解決すべき方向性を設定することが最も重要です。そうしないと自治体という船は、さざ波に押されるように細かい蛇行を繰り返し、住民に対する理解や説得力が極度に弱くなるからです。首長は住民に対して「明確な方向性」、言いかえれば「住民と共有する夢」を持つことが求められているからです。住民の乗る船がどこに行くかを明確に示さなければリーダーの役割を果たすことにはなりません。

 第二点は長期的な方向性に基づき、中・短期的な課題と具体的なテーマの解決方策です。首長は多くの職員を有していますから、スタッフをより有効に活用することが重要です。ややもすると日常的な業務の執行が職員の役割と思いがちですが、そうではありません。首長の持つ夢を具体的に実現する手足となることも職員の役割です。

 私も市長在任時にいくつかの失敗や成功がありました。その一つは首長が組織の原則を無視すると管理職にとっても一般職員にとっても「働きづらい職場」をつくってしまうことになります。確かに、新たな課題の設定に対する具体的な解決の処方箋は主任や係長が担っていることが大多数ですが、部長→課長→係長へと続いていくと正しい意図が伝わりにくくなります。口答の指示などは月とスッポンほどの違いになります。ですから指示は必ず文書によらなければなりません。文書をつくることがキライな首長にとっては辛い仕事になりますが、箇条書きにするだけで十分です。次は指示の方法です。部長や課長に課題における係長クラスの担当者を決めるよう要請し、決定したら管理職立会いのもと、担当者に対して再度指示の目的と内容を細かく説明します。首長に対する報告の期限も必ず設定します。しかし、期日内に立案が出来なかったとしても決して叱責してはいけません。方向性を少し変えて再度部課長に委ねることです。

(以下次号)



穂坂邦夫の著書

2013.1 Xノートを追え!中央集権システムを解体せよ・朝日新聞出版
                                  (1,470円)

―いじめをなくし、教員の資質を高めるために―
2005.7  教育委員会廃止論・弘文堂(1,600円)
―国と地方を救う役割分担の明確化―
2008.4  地方自治 自立へのシナリオ(監修)・東洋経済新報社(3,150円)
―健全化への処方箋―<行政・議会・住民の協働による地方再生マニュアル>
2008.5  自治体再生への挑戦・株式会社ぎょうせい(2,500円)
―市町村長を廃止するー<地方を変える、国を変える、徹底した比較・検証・調査>
2008.12  シティマネージャー制度論(監修)・埼玉新聞社(1,500円)