ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

お金(財源)をどう工面するのか―各政府間における主権の確立①-

2009-02-15 00:00:00 | Weblog
 総選挙の行方が問われているが、衆議院議員の任期満了まで8ヶ月を切った。民主党中心の政権誕生が確実視されているが、過去の歴史を考えると民主党自身が高転びさえしなければという条件付である。
 ただ自民党が勝っても民主党が勝っても「財源の確保」が大問題となる。例えば自民党がかろうじて政権を維持することが出来たとしても、将来への不安や天下り、税金のムダ使いなどの批判を払しょくしなければ消費税の値上げなど出来る環境には程遠い。しかもH21年度の予算に引き続き再来年の予算編成にあっても、景気対策やセーフティネットの構築などに膨大な財源が必要となる。民主党が主張しているようにバラマキでなく、国民を守る真正面からの予算を組んだとしても財源不足の問題だけは避けて通ることは出来ない。一方では国の債務がGNPの2倍を超え、危険水域に近づいている。しかも現在の1,500兆円とも言われる預金の多くは団塊世代のもので、日本の貯蓄率は激しく低下している。財源の確保が国債の増発だけに頼るのがいかに危険だということは一目瞭然である。
 自民党も民主党も総選挙後の政権維持を考えると埋蔵金だけに依存することは不可能で、抜本的な構造改革と行財政改革によって財源を創出しなければならない。しかし、小泉改革が失敗したように医療費や介護費のカットは多くの病院の赤字化につながり倒産や廃業を招くとともに、療養病床の廃止は数多い医療難民や介護難民を生み出してしまった。同時にドクターの病院離れによって深刻な医師不足を呼んでいる。数年前には病院のたらい廻しによる死亡は現在より極端に少ない。労働力の流動性を高めるためだと実施した派遣労働の緩和は、新たな勤労難民をつくり出してしまった。現場に立脚しない思いつきの施策や弱者の立場に立たず、セーフティネットさえ構築しないままの規制緩和がいかに多くの犠牲者を出すことになるかを実証している。
 これからは「弱者の立場に立った国民に痛みのない改革」こそが求められており、この改革の成否が選挙後の政権維持につながることは明白である。いいかえれば仮に民主党が政権をとったとしても「痛みのない構造改革・行財政改革」を断行すること以外、生きる道がないといっても過言ではない。自民党は既得権の壁によって「道」がないと諦めているか、あるいは「やる気」がないのかも知れないが「この道」があることをこれからのブログによって是非証明したいと思う。
「この道」は地方政府(各市町村)・地方広域政府(都道府県)・中央政府(国)における主権の確立による「30兆円(推計)」を超えるという大財源の創出である。
 この改革は国民に痛みを求めるものでなく、各政府間の既得権を整理するだけで、主権を侵すものでもない。しかし、主権の明確化には役割分担の明確化(ナショナルミニマムの充実・サービス責任者の明確化と効率化・権限の錯綜や重複投資の排除等)とともに従来の中央集権的制度によって生まれた、地方に対する国のコントロールや定年を待たないで早期に退職する慣習を持つ官僚制度によって独立行政法人や特殊法人、財団などの外部団体などに対する途方もない補助金(補助金・負担金・交付金・委託金・補給金のH18年度の総額は27兆5882億円)にはメスを入れなければならないことは当然である。
―以下次号―


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