ほさか邦夫の日記帳

前志木市長、地方自立政策研究所理事長

10月に地方自治経営学会が沖縄県で開催”―地方議会の奮起を講演を通じて訴える予定ですー

2007-08-29 13:33:57 | Weblog
 地方自治経営学会の地方研究発表大会が「10月5日~6日」の2日間に渡って「沖縄県那覇市」で開催されますが、講師として「実践的地方議会改革の進め方」と題する講演を行います。分権改革が遅れている我が国にとって国の動向を見守るだけでなく首長には出来ない「下請的地方行政」を「本来の住民自治行政」に変える力をもつ「地方議会」に奮起を訴える講演です。かつて東京都の各区は都の一行政機関でしたが公選の議会が反抗の口火を切り、国や都を動かして独立した自治体となりました。首長は法制上の制約の中で行政執行を行っているため、法を超える行動には限界がありますが議会は「地方自治」を実証するために「住民の視点」に立って現行制度を捉え、住民自治にとって不合理な法令の改正など住民の理解と支援があれば自由で強い運動を展開することができます。議会が「区」を独立させたように分権の救世主になってほしいと願っています。単に全国的な運動を展開するのではなく、それぞれが所属する自治体で実効性のある活動を展開することが重要です。憲法は「住民自治」を明確に担保しています。住民自治を実証する条例を地方議会が設置して国と真正面から闘うこともひとつの方法です。地方自治体の実質的な代表である議会の奮起を講演を通じて訴えたいと考えています。

選挙結果とボイルド・フロッグ症候群と14.1兆円の節約

2007-08-10 10:01:01 | Weblog
 参議院議員選挙は自民党の歴史的な敗北に終わった。この結果は民主党の勝利には違いないが自民党の「オンゴール」に近い。前回の総選挙の反動もあるが①年金問題②政治と金③閣僚の問題発言④相次ぐ強行採決の直接的な要因に加え「景気の回復」が中小企業や国民に実感できないことや「地域格差、負担増、雇用や医療・福祉に対する将来への不安」の複合的に集約された結果である。言いかえれば国民の気持ちを自民党がまったく把握していなかったといっても過言ではない。教育改革や憲法の改正も国民の目にはあまりにも拙速に過ぎると映ったことだろう。しかも仮に自民党が勝利したとすれば消費税のアップを国民は敏感に感じ取っていたのかも知れない。選挙結果は消費税の値上げの道を閉ざしたことになるが、現状のままでは財源は確実に不足する。
 私はかねてから中央集権からの脱却を主張し、本質を外れた国の行政改革を批判していたが、その一方地方自身も自律性と自主性を持たなければならないと言い切ってきた。必要な財源の確保と成熟社会が加速する中で、1000兆円を超える余りにも大きい借入金の増大と地方の疲弊を解決しなければならない重い荷物を国と地方は背負っているからである。
ゆでカエル症候群(ボイルド・フロッグ)とは環境の変化が少しずつ起きると、危険とは感じず現状を変えたくないという心理が働き、やがては取返しのつかないことになるという意味だが、急激な変化が起こっているのにもかかわらず、一向に気づかないのは何故だろうか。自立研では昨年「役割分担明確化研究会」を立上げ、具体的な行政経費の節減可能額に取組んできたが(11月に正式に発表)「地方の行政経費分だけでも14.1兆円」という高額の節減額が算定された。明確化による国の行政経費は地方以上の節減が可能になる。何故なら高齢者の移住に対応できる「まちづくり」についての調査中に、国土交通省は「UIJターン支援」、総務省は「交流居住のススメ」、農水省は「都市と農山漁村の共生・対流グリーン・ツーリズム」という、ホームページがありPR冊子や人気タレントによるシンポジウムの開催など多額の経費を要する同じような施策を各省庁がバラバラに実施をしている。実にムダなことだ。国と地方の役割分担の整理が急務であるが、同じ国の中でも省庁が異なると重複した事業を行っているのが実態である。
 国民の立場に立って「国も自治体」も抜本的な行政経費の節減からはじめなければならない。決して困難な改革ではない。自分のお金という意識だけで消費税の10%を超える経費が十分に節約できる。