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SS:リレー「ハルヒファクトリー ニュー牧場物語」 第7話

2011年02月23日 21時20分24秒 | ハルヒSS:牧場リレー(担当分)
『こちら』の第7話を書かせて貰いました。 書き手の皆様、その節はお世話になりました



俺たち2人に続いて俺の家族も牧場に向かう。 近日中に行われる農場での収穫に備え、家族の誰かに牧場での家畜の世話を依頼せねばならない。 すると
「は~い、わたし世話するする~!」
と妹が張り切って手を挙げた。
「大丈夫か?」
「あたしが教えるわ。 行くわよ、妹ちゃん!!」
「うん、よろしくハルにゃん」
ぼっくじょう~ぼっくじょう~♪ と自作の『牧場の歌』?を歌いながら妹はハルヒと一緒に歩いて行く。
 
始めは見慣れない動物達に臆していた妹だったが、持ち前のバイタリティーとハルヒの手ほどきで、夕方には
「見てみて~キョン君!」
乳しぼりを始め、家畜の扱いに完全に慣れていた。 これなら牧場は任せられそうだ。
 
そして収穫の日。 ハルヒと妹は牧場で家畜の世話、俺と両親は農場で収穫作業に入った。 まあ、収穫作業は重労働だから妹が入るより大人の手が入った方が何かと良いだろう。 偶に作業の手を休めハルヒ達を見てると楽しそうだ。 まるで姉妹を見ている様だ。
やはり人手があって正解で、思ったより早いペースで収穫作業が終わった……とは言っても、数日掛かったんだがな、実際。 どれだけ農地を拡大したんだよ、ハルヒよ。

 
 
季節は秋終盤、この地方の収穫作業も大方終了し、このニシミヤタウン最大のイベント『収穫祭』が始まった。
収穫の為に地方から集まっている連中を含め、大勢の人達が街の中心にある広場に集まっている。
「おっ、キョン君ひっさしぶり~。 収穫お疲れさん! さあさあ、遠慮せず飲むっさ」
「あ、ツルヤさん。 頂きます」
「キョン、あたしも飲みたい!」
「ほらよ、あんまり飲みすぎるなよ」
ブドウの産地であるのでワインが盛大に振舞われる。 俺やハルヒも頂く事にする。 え、飲酒して良いのかって? 牧場経営している年齢なんだぞ、何か問題でもあるのかね。

夕方から地元の楽団の演奏をバックにダンスが始まる。 広場いっぱいに踊りの輪が広がる。 気がつけばハルヒがステージの上に立って居た。 あいつ酔っ払ってないか? 妙に上機嫌だな。
そして、楽団の演奏に合わせ――何処の国の言葉か解らないが歌を歌っていた。 広場に響き渡るハルヒの歌声に、それまで踊っていた連中含め、広場にいた全員がその歌声に聞き惚れていた。
まあ、楽団が曲を演奏してる位なんだから有名な曲なんだろうが、牧場生活が長く流行に遅れがちな俺には初めて聞く曲だ。 そのハルヒの歌声は、俺の心にも染み渡った。 
所で、さっきからやけにコイズミやアサクラなどが俺を見てニヤニヤしているのは気のせいか? この歌の歌詞の意味を知っているのか。 まあ、後でハルヒに聞いてみるとするか。

ハルヒの歌が終わると万雷の拍手が広場を包む。 そしてダンスが再開される。
「なあ、ハルヒ。 さっきの歌の意味って何だ?」
それまで上機嫌だったハルヒが急にアヒル口になったと思ったら、
「さ、察しなさいよ!」
と、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。 顔が赤いのは……ワインの飲みすぎか、ハルヒよ?


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