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SS:リレー「ハルヒファクトリー ニュー牧場物語」 第20(最終)話

2011年02月25日 20時44分08秒 | ハルヒSS:牧場リレー(担当分)
『こちら』の続きを作成し、最終回とさせて頂きました。 書き手の皆様、及びスレ住人の皆様、その際は出過ぎた真似をして申し訳ありませんでした。



「夢じゃ無いわよ」
「本当か、ハル……じゃ無かったな」
「ハルヒで良いわよ。 あんたには、そう呼んで欲しいから」
「じゃあハルヒ、お前の正体は」
「そうよ。 順当に行けば、この国の後継者になるわね。 跡継ぎはあたししか居ないから」
なんてこった。 そんな奴を働かせた上に一つ屋根の下に……フロイト先s――夢じゃ無くて現実か、これは。
「その事も含めて話があるの。 あたしに付いて来て」
 
 
 
「なんだ、此処は?」
「あたしん家よ!」
「そりゃ解る……って言うか『家』じゃねーだろ! 『家』じゃ!!」
「うっさいわね! 下らない突っ込みしてないで、行くわよ!!」
うわ、引っ張るなハルヒ!! ほら、門番や衛兵の方々、生暖かい目で見ないで下さい。 しがない一農民がこんな場所に来て、他にリアクションは無しですか!?
そして、やって来ました『ノースハイキャッスル』の大広間。 すげ~!! 絵本でしか見た事の無い世界が広がってるぜ。 これこそ夢か、幻か?
「おっほん。 君が『キョン』とやらかね?」
「は、はいっ!」
俺の目の前には、玉座に座っている国王。 まあ、ハルヒの親父か。 平たく言えば。
「わしの娘が世話になったそうだな。 礼を言うぞ」
「は、はは~っ」 
うわー、緊張するなぁ。 此処に来て緊張しないって奴が居たら今すぐ俺と交代しろ!
「娘が急に出て行ったと思ったら……昔、行った場所が気に入ったみたいで、目星は付いていたんだけど。 まさか長居した挙句に農作業をしてるとは」
「も、申し訳御座いません!!」 
こっちはお妃様、ハルヒの母親か。 ハルヒ似で美人で威圧感があるな。
「キョン、謝らなくて良いわよ! あたしが勝手に押し掛けて勝手にやった事なんだからね!!」
「「ハルヒ!!」」
「兎に角、あたしは何処の馬の骨か解らない皇太子や王子なんかと結婚する気は無いんだからね!!」
あの~、単なる牧場主の俺の方が『何処の馬の骨か解らない』と思うんですが、一般的に。
「あ、あた、あたしは……」
 
    「キョンと結婚するんだからねっ!!」
 
「「「な、なんだってー!!」」」
「ハルヒよ、それではこの国はどうなるんだ?」
「そうですよハルヒ。 縁談は何十と来てるんですよ」
「そうだぞハルヒ。 普通に考えりゃ……」
「あたしと結婚して、あんたが国王になれば良いのよ!!」
 
      普通じゃねぇ~!!
 
「まてハルヒ、それじゃあ牧場はどうするんだ?」
「掛け持ちするのよ。 国の維持と牧場管理」
「マジか?」
「マジよ!!」
「……少し考えさせてくれ」
俺は衛兵の一人に声を掛ける
「ナガトと連絡を取りたいのですが……」
 
暫くしてナガトはやって来た。 直接じゃ無くても通信手段を通して会話、でも良かったのだが
「……来ては駄目だった?」 
何だその上目使いは!? じゃ無くって
「ナガト、頼みがある」
「……何?」
「スオウと連絡を取りたいのだが」
「……貴方の考えは把握している。 通信開始」 
話が早いな、それじゃあ全てを伝達してくれ。
「……了解した」
 
 
 
「やあキョン、まさか此処でキミに会うとはね。 くっくっく……」
お、ササキ。 来てくれたか
「どう言う事よ、キョン?」
まあ、焦るなハルヒ。 今から説明するから
「俺はこの国を統治する気は無い。 牧場主と言う立場が気に入ってるからな。 しかし、何だ、その……俺は、ハルヒを嫁にしたい!!」
「キョン!!」 うわ、抱きつくなハルヒ。 場所をわきまえろ!
「くっくっく、宛て付けの為に僕を呼んだのかい?」 
さ、ササキ。 待ってくれ! 話はこれからだ。
「そこでだ――代わりと言っては何ですが……国王陛下、ササキを後継者に推したいと思います!」
 
      「「「「「「「な、なんだってー!!!!!!」」」」」」」
 
「な、何言ってんのキョン!」
「そ、そうだキョン。 僕がこの国を!?」
「何を言い出すのかね君は!?」
「そうですよ! 貴方は国の運命を何と考えているのですか?」
「確かに浅はかな考えかも知れません。 しかしササキは優秀な奴です……俺が国王になるよりは安心出来ると思います。 コイツの周りにはタチバナ・スオウ・フジワラと優秀なブレーンが居ます。 万が一の時はモリさん・アラカワさん・タマル兄弟・ナガト・アサクラも居ます。 そして――俺とハルヒの子供が出来たら、改めて血縁者として、この国を継いで貰う。 未熟な考えだと思いますが、俺の精一杯なんです、勘弁して下さい」
そうとも、しがない農民が後継者になるよりは、安心して国を統治出来るだろうよ。
「この石は、あたしが持つから……あたしはキョンの考えが良いと思うから、良いでしょ? お父様、お母様」
「「ハルヒ」」
確かにパワーストーンは、ハルヒが持っていた方が良いな。
「ぼ……わ、私はキョンの頼みなら引き受けたいけど。 本当に私で良いのかしら?」
「ササキなら大丈夫だろ、親友の俺が保障する。 ササキ一人じゃ無い、いざとなったら俺達が居る。 そうで無くても皆居るじゃないか。 尤も、国家の大事を俺がどうこう言う事自体が間違ってるが。 頼めるか?」
「あたしからも、お願いするわ。 ごめんなさい、あたし達の我が儘で……大丈夫よ! キョンが信頼してるんだから!!」
 「わーっはっはっはっは!!」 
こ、国王様!? どうかしましたか?
「解った解った! ハルヒの頼みなら仕方あるまい。 ササキとやら」
「はいっ!!」
「娘の……いや、婿の我が儘と言った方が正しいか。 跡取りになって、この国を統治してくれないか? 娘と婿の子供が成長するまで」
「わ、私で良ければ」
「すまんなササキ」
「ありがとうササキさんっ!!」
 
――期間限定とは言え、良かったのだろうか? こんな感じで一国の運命を左右する事を俺が決めて。
でも、俺が統治するより、余程良いと思うが……どうなんだろうか。 この選択の評価は未来の歴史学者に委ねるとしますかね。
 
 
 
月日は流れ、秋。 収穫祭の時期に合わせて行われた俺とハルヒの結婚式、と同時に行われたササキの戴冠式。 周辺諸国から王侯貴族やら使者やらやって来て――堅苦しい儀式は疲れるし柄に合わないぜ、やれやれ。
そして、何故この時期に式をやったかと言うと
 
      『カンパ~イ!!』
 
やっぱメインは収穫祭だろ? こっちの方が堅苦しく無くて良いや。 なんて思って居たら、例年以上に人が多い事、多い事……周辺諸国からやって来たのは、狩り出された人手も一緒だよな。 収穫の為の。
「キョン君・ハルヒ様、おめでとうございますぅ!」
「めがっさ、お似合いのカップルっさー!!」
「是非、僕の教会で式を挙げて欲しかったのですが、仕方ありませんね。 しかし、お祝いは盛大にさせて頂きますよ」
「……例年より人が多いのは、貴方達を祝福する為」
「ちょっと、皆食べてばかりいないで、誰か警備の仕事手伝ってー!!」
今年も農作物・乳製品共に生産が好調で、ワインの仕上がりも良く――ってツルヤさん、ワイン樽、出し過ぎじゃありませんか?
「いいっさ!! 今、出さないで何時出すんだい? さぁ、飲むっさ青年!!」
「わ、解りました……って、あれハルヒは?」
収穫祭恒例のダンスが一旦終わり、ステージに現れたのは
「ハルヒ・ササキ!?」
そして、何時か聞いたメロディと共にハルヒとササキの歌声が広場一体に響き渡る。 それまでドンチャン騒ぎだった祭りの喧騒は収まり、誰もがこの歌声に聞き惚れているみたいだ。
しかし、相変わらず歌詞の意味が解らない。 アサヒナさん、歌詞の意味、解りますか?
「き、禁則事項ですぅ」
周囲の人間は俺の方を見てニヤニヤしてるし、タニグチは涙目で睨んで来るし。 何なんだ?
 
 
  




――時は流れ十数年後。 俺とハルヒは子宝に恵まれ、牧場生活も安泰だ。 そして、この国は平穏に統治されて……これはササキのお陰だろうな。 
さて、そろそろ子供達に全てを話しても良い頃かな。
「って、お~い! ハルヒは何処行った?」
「パパ? ママはねぇ~」
「また農地を広げるってチェーンソーを持って出掛けたよー!」
 
  やれやれ。 国土全部を牧場と農地にする気かね、ハルヒは。
 
 
 
        ~THE END~
 
                    NO!! This Story……Never Ending!!
 

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