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山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

Love Situation 9

2018-06-09 15:23:30 | love situa...








そのゆらゆら揺れる瞳を見つめながら、その掴んだ腕を自分の方へと引き寄せる。


そのせいで少し身体のバランスを崩した智があっと小さく声を上げた。


「何で 櫻井なの?」

「……」


それを少し気にしながら顔を近づけそう智に問いかけると


智は何も言わず頭を横にふった。









これまで智が誰とも付き合ってこなかった訳じゃない。
何人かの女の子から告白をされたりして付き合ってきたのを今まで見てきた。
でも全然気にならなかった。


しかもなぜかあまり長続きすることはなくて、
俺って何か欠落しているのかも知れないと言って苦笑いを浮かべているのを
時々励ましながらも微笑ましく見ていた。



でも。



その原因が櫻井だったら?


考えたくはなかったけど、多分自分の想像は当たっているだろうとも思った。







高校時代。


櫻井はあまり学校に馴染もうとしなかった。
いつも冷ややかな眼差しで楽しく過ごしている俺たちの事を見ていた。
その視線にせっかくの楽しい気分に水を差されたような気がしていつもムカついていた。


でもなぜか智は違ったようだった。


好意的な眼差しで櫻井の事を見る。


確かにイケメンだと思う。
明るい髪の毛と色白な肌、そして端正な顔立ちが目を惹く。
それに賢く聡明で努力家だとも思う。




でも。




いつも同じ高校生なのに俺たちとは別の世界にいるような存在だった。
大人っぽいといえば聞こえはいいが文化祭や体育祭で盛り上がっていても
いつも冷めた感じでつまらなさそうにしていた。
教室でワイワイ騒ぐ事もなかった。


同じ学校に彼女はいたみたいだけど常に勉強や成績の事だけが最優先で
学校や、学校の行事なんてまるで興味がないみたいだった。
だから最大のイベントである修学旅行も行かなかったんじゃないかと思う。
そんな櫻井と俺たちの間に接点なんてなかった。


そして智が櫻井の事を気にして見ていたこともあったけどそれもなくなった。
あの日以来話すことはおろか視線さえ合わせなくなった。
そしてそれは卒業してからも、そしてあの同窓会でも同じだった。




それなのに。




なぜ櫻井が智のいるこの場所にいたのか。


俺が年に数回、それも特別な時にだけしか訪れないこの場所に


なぜ慣れた感じでこの場所にいたのか。











「櫻井と何かあった?」

「……」


その理解のできない状況に納得なんてできなくて
しつこいと思われるかもしれないけど智に聞いた。
でも相変わらず智は何も言わず首を振るだけでわからない。
それが余計俺を苛立たせた。


「本当に?」

「……だって、知らない」


現実にここに慣れた感じで櫻井がいたのに、知らないって。


「じゃあ何で櫻井がここにいたの?」

「わかんない」


そして智だって慣れた感じだったのに
それなのに、わかんないって。


「そ。じゃもういいや」


はい、そうですかと到底納得できるはずもなかったけど
でももうこれ以上聞いても埒は開かないだろうとも思った。
だからイライラを智にぶつけてしまう前にこの場から離れることにした。













松潤が帰った後、その掴まれていた腕を見ると少し赤くなっていた。


なぜ松潤がそんなに怒っているのか。
なぜ松潤は執拗にその人の事をきいてくるのかわからなかった。
でも何を聞かれても、何度聞かれても
自分自身この状況がよくわからなくて答えようがないのだ。


高校を卒業してからずっと何もなかったのにある日突然その人が現れた。
そしてなぜか連日その姿を見せる。
でもその姿を見るのが辛かったからもうここには来ないでほしいと頼んだ。
それなのになぜか再び姿を見せたかと思うと、
何事もなかったかのようにカクテルを頼んできて飲んでいる。






松潤はその人の事に凄くこだわっていたけど
もうずっと前から嫌われていて好きとか何かあるなんてことあるはずないのに。




それなのに。



この訳の分からない状況に頭の中はぐちゃぐちゃだった。
とにかく今日は疲れてしまって何も考えたくない。
早く家に帰って熱い風呂に入って寝てしまいたかった。
















「あの…」

「……?」


簡単に片づけを済ませ一刻も早く家に帰ろうと店の扉に鍵をかけ
足早に外に出た途端、話しかけられたような気がした。


「ごめん、本当はもうここにはこないでほしいって言われていたのに今日は来てしまって…」


振り向くとなぜかとっくに帰ったはずのその人がここにいて
なぜか困り果てた顔でそう言って謝ってくる。


でも、今?
なぜ、今?


確かに来ないでほしいと言ったのに何事もなかったかのように来ていた。


でも、なぜ今、その話をしてくるのか。


とてもじゃないけどそれどころじゃなかった。
頭の中は松潤に言われた言葉でいっぱいだった。
これ以上何も考えられない。今は誰であったとしても話なんてできる状況じゃなかった。













「今急いでるから」

「……!」


そう言って話を遮るようにその場を去ろうとすると
待ってと言ってその人が俺の手首を掴んだ。


「ごめん、」

「……」


そして掴んでしまった事に対してだろうごめんと謝ってくる。
謝るくらいだったら早くこの手を離して欲しい。
もう頭の中で理解できる許容範囲はとっくに超えている。


「あの、高校時代の事も…」


そう思いながらその手を見つめるが、その手はぎゅっと俺の手首を掴んだまま離さない。


そして。


なぜか、今、高校時代の事を言ってくる。



何で、今?
何で、今更?


その話をしてくるのか、意味がわからない。









「本当に急いでいるから」


せっかく信号は赤から青へと戻ろうとしていたのに
なぜまた赤信号へと戻そうとするのか。
その手を何とか振りほどこうとし、その顔を見ると



なぜか。



その人がやっぱり困り果てた顔で俺の顔を見ていた。



何、で?


困っているのは自分自身なのに。


っていうか困らせているのはその人自身なのに。


あり得ない状況のオンパレードで頭の中はパニック寸前なのに。











松潤とは高校時代からずっと友達だった。
優しくていつも自分の事を守ってくれて
落ち込んだときは励ましてくれた。


ある時、松潤を好きだという子から呼び出された。
なぜかその子は俺が松潤と一緒にいすぎるから
自分の事を見てくれないのだと思い込み激情した彼女に顔をひっぱたかれた。
でもそれがばれたくなくて誤魔化したけど松潤はすぐに気付いてしまった。


それからますます松潤は過保護と言ってもいい位の接し方で俺に接した。
そしてそれは高校を卒業してからも変わらなかった。
マメに連絡をしてくれて、そして仕事をやめると知った時には
心の底から心配してくれた。


そしてここのバーで働く事になった時。


このバーの状況や伯父さんの思いを瞬時に察してくれて
他の友達にも取り決めをしてくれた。
そしてバーの雰囲気を壊さないよう守ってくれた。


凄く大切な友達だった。
その松潤が自分の事をずっと好きだったのだと言った。
確かに好きだと言われたことは何度もあったしキスされた事もあった。
でも彼女もいたしそれは友達としての好きだという事だと思っていたし
キスも冗談だと思っていた。


でもそれは自分が思っている好きと松潤が思っている好きというのとは
違っていたという事なのだろうか。


困り果てたその人を見つめながら、


なぜか今は


松潤の真剣な顔。


松潤の言葉。


松潤のいつも自分を見つめる優しい笑顔が次々と浮かんできていた。






でも。





目の前には、困り果てた目で見つめるその人の顔があって


そして、その人に掴まれたままの、俺の手がある






その掴まれたままの手首と




そして




困り果てた目で見つめるその人の顔を交互に見つめ




そのまま




時だけが静かに過ぎていく。






















 【おまけ】



「ニノ、智くんの事ラジオ聞いたよ。ありがとうね」

「ふふっ何で翔さんがお礼言ってるんですか?」


収録が終わり楽屋に戻ると待ってましたとばかりに
翔さんが嬉しそうにそう話しかけてきた。


「え? だって、嬉しかったから」


そう言うと、変かな?って顔。


「ふふっ相変わらずですね」

「え?」


やっぱり大野さんの事に関して自覚がないんだよね、翔さんって。
昔から大野さんが褒められると自分の事のように喜び
そして自分が褒められたかのようにお礼を言っていた。


「翔さんは大野さんの事を知ってもらいたい人ですからね」

「そんな事ねえけど実際頑張ってたからさ」

「ふふっまああんな合格率の高い試験になぜか凄いプレッシャーを感じながら、珍しく頑張っていたと思いますよ?」


なぜか大野さんはあれだけの合格率なのに、
落ちるんじゃないかとおびえながら勉強をしていたんだよね。
まあ、そういう所が可愛い所でもあるんだけど。


「ふふっニノは智くんのそういう所が好きなんでしょ?」

「は?」

「何かさ苦手な事に一生懸命取り組んでいる姿が凄く健気で可愛いんだよね~」

「いや、別に」


でもそれを言われたくなくて素知らぬ顔で流す。


「え~またまたそんな事言ってぇ」

「それにもうそんな可愛いとか健気とか言ってる年でもありませんし」

「それはそうなんだけどさぁ」


そう言うと不満そうな顔。
本当にこの人は。


「ま、でもやるときはやる男ですからね」

「そうだよね~」


そして褒めると途端に満面の笑みを浮かべてくる。
でも実際問題、丸暗記はできてもテスト慣れしていなくて
しかも応用力を必要とするものを苦手とする大野さんにとって
凄い挑戦だったのだと思う。
それでもやっぱりやってしまうのが大野さんらしいと思った。












「ニノのラジオの事聞いた?」

「ううん」

「褒めてたよ? 勉強頑張っていたって」

「ニノが? 珍しい事もあるもんだ」


そう言うと嬉しそうに智くんは笑った。
あまりニノは表立って智くんの事を褒めないから
ニノから褒められると凄く嬉しそうな顔をするんだよね。


「うん、結局できちゃうってさ」

「んふふ」


そして凄く嬉しそうに笑うその姿にこちらまで嬉しくなってくる。


「そう言えばね~俺も見たよ?」

「へ? 何を?」


相変わらず主語がねえぇ


「マルとの対談」

「あ~どうだった?」

「何かね翔くんがお兄さんぽくてうけた」


うけたって。
っていうか珍しく見てくれて凄く嬉しいけど感想それだけ~?


「他に何かないの?」

「ん~別にない」

「嘘でしょ~」


俺いいことたくさん言ってたよね?
やっぱりマルだしいつも言わないような事とかグループの話だとか。
そう思いながら聞いてもやっぱりないらしい。


少し不満を感じつつも、見てくれてありがとというと
うんって凄く満足そうに笑ったから
見てくれたし感想も聞けたし嬉しそうな顔も、
そして可愛らしい顔も見れたからまあいいかって思った。










全然関係ないのですが私の作業用BGMはほとんど嵐さんの曲なのですが
その中に混ざって魔王のサントラもいれています。
GracEとかLiVE/EViL、RequieMとか。
撮影時にずっと大野さんが聞いていたと言っていたサントラ。今聞いてもやっぱりいいです。
そして魔王と言えばたまたま雑誌を見返していたら今話題の方が語っていました。
『大野君は…いやっ本当に興味深い方で。なんか、見てて飽きない人なんですよね。
つい目で追っちゃうんですよ、いつもこの人、何するんだろう?って(笑)
すっごい興味深い人。
とにかく興味深いですね、大野君。実際、興味深いじゃないですか』プラスアクトミニ2008vol02
って、どんだけ興味深いのだって感じですが💦
でもわかる気がするのです。奥が深いというか。
風とか聞いちゃうと、もうどうなってんだろうって止まらなくなるんですよね。


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6 コメント

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魔王と死神くんと (白紙)
2018-06-09 23:57:31
 翔さんは、自分が通い詰める理由が分かっているのかいないのか。高校時代のことを今になって謝るのはどうしたいからなのでしょう?高校時代から智君のそばに居て大事にしてくれていた潤君の気持ちを考えると複雑ですね…。本当に続きが気になります。
 話題になっていたドラマ、役者さんの演技が上手だと褒められています。メインのお二方とも智っさんと共演しているので、とても嬉しいです。特に主人公の方はインタビューで、ここ数年、演じる際に役は作り込まないとコメントしていて、智っさんも台詞だけ覚えて、後は現場の流れに合わせていく、と言っていたのと似ているな~と感動してしまいました。演じていないのに、そのキャラクターにしか見えない智っさん。もの凄くドラマが見たいです。それではまた。
  
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白紙さんへ (きらり)
2018-06-10 21:20:15
白紙さん、コメントありがとうございます。
そして続きが気になるとのお言葉嬉しいです。
3人の思いが交錯してますね。
おおっそういえば死神くんで共演されてましたね。
本当にお二人とも演技が上手で毎週楽しみに見ていました。
大野さんは監督もそうおっしゃっていましたよね。そしてそこがいいのだと絶賛されていましたね。
本当にドラマ見たいです。できればしっとりとした演技が見たいですけどコメディでも何でもいい。
もっともっと色々な役が見てみたいのになかなか…なんですよね。本当にもったいない事です。
凄く凄く切望しているのですがまだもう少し叶わなそうなのでレギュラー番組とDVDを見て待つ事にします。
ありがとうございました🎵
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遅れて済みません。 (白紙)
2018-06-18 20:27:01
 昨夜、untitledでお話を書こうかとあったのを見て、すぐコメント入れようと思ったのですが、ちゃんとBlu-ray見てからと思ったら遅くなりました。自分が土曜日の夜にお迎えに行って、見られたのが日曜日の夜だったので。まだ嵐会の途中までですが、お話是非読みたいです。智っさんがあんまり喋らないので、それに対する4人の反応とか心の声とか。とっても気になっています。こちらはメッセージのようなつもりで送ったものなので、きらりさんが読んでくださったら、そのまま消してくださって構いません。これから嵐会の続きをちょっとだけ見る予定です。本編はいつになるやら…。
返信する
お詫びと言い訳です (きらり)
2018-06-19 22:29:17
白紙さん、こちらこそすみません💦
そしてコメントありがとうございます。
読みたいと言って下さって嬉しいです。
私も嵐会から見ているですが、凄く見所満載で楽しくて。
でも見た瞬間、これは書いたらきっと大宮色が濃くなるなと思ったのです。
でもここは山ブログだし大宮ってどうなのだろうと思って。
で、確認しようとも思ったのですがそもそもそれ自体ナンセンスだなと思って
消してしまったのでした。お騒がせしてすみません。
嵐会、智さんは相変わらずあまり話しませんが
5人が和やかで朗らかで凄くいい感じですよね。
色々書きたいことは頭の中にあるのでもう少しリピしてアップできたらと思います。
本当は頭の中だけにしまっておいてお蔵入りしようと思っていたのですが
読みたいと言って下さって嬉しかったです。
ありがとうございました🎵
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こんにちは (藍い雨)
2018-06-23 15:39:11
きらりさん。お久しぶりです。

ホントは もっと前に コメントを送ろうとしてたんですが 送ろうとすると何故か 中国(?)の 変なサイトに繋がってしまって おまけに 変な 警告とか出てきて 怖くなって しばらく お邪魔できずにいました。
でも もう 大丈夫みたいです。良かった~。きらりさんのお話が読めないのは さみしいですから。

Love Situation う~ん。もどかしい展開ですよね。智君も翔君も 好きだと 認めてしまえば 動き出せるのに お互い 素直には 認められないそれぞれの想いがあって。 それに J君の 何だかんだ 一途なとこも 切ない。

智君の バーテンダーが かっこいいんですよね~。ホントに こういうの やってくれないかなぁ。かわいいのも いいけれど 私は 断然 笑顔のない(笑) 超絶クールな 大野智が 見たい!
そろそろ 青担の ライフポイントが なくなりそうです(笑)
嬉しい お知らせを 早く 聞きたいですよね。

続き 楽しみにしてます。やっぱり 山の二人には 幸せでいて欲しいのです。


それにしても 何だか いろいろ ありましたねぇ。嫌な空気が 漂っていると言うか…。
嵐さんだけは どうか 何事も ないように。どうか いつまでも 5人が 笑っていられるように…と 願って止みません。

そんな時に出た Untitled。・・・の「つなぐ」 が 素敵過ぎて そればっかり 見ちゃう。なかなか 進みません(笑)

やっぱり 大野智は 凄い! 鳥肌どころか 泣きましたね。私。

まだまだ 彼を 見ていたい…と 痛烈に 感じました。

梅雨の時期。体調には気を付けて また 素敵な お話 書いて下さい。

それでは また。


藍い雨
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藍い雨さんへ (きらり)
2018-06-24 00:17:12
藍い雨さん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。

ここから変なサイトに繋がりそうになってしまっていたのですね。なぜなのでしょう(涙)
本当に申し訳ないです。でも大丈夫になってよかったです。
それに私の話が読めないのはさみしいとのお言葉も凄く嬉しいです。ありがとうございます。

Love Situationの方は高校生の時からの色々な想いがあるので
なかなかスムーズにいかずもどかしい感じになっていますね。
続き楽しみにしていると言って下さって嬉しいです。山の二人は幸せそうなのがやっぱりいいですよね~。
バーテンダー似合いそうですよね。そしてクールで少し冷たく感じる位の役いいですね。私も見たいです。
でもずっとずっと待っているのですがなかなか…なんですよね。

周りざわついていますね。
事務所が弱まっているせいとも言われますがどうなのでしょう。何事もないよう祈ることしかできません。

untitled素敵ですね。本当に凄い人です。
凄すぎて私も何度も見ています。
あまりにも素晴らしいものを見ると自然と涙が出ますよね。
そして本編も嵐会も5人とも凄く素敵でやっぱり嵐っていいな、素敵だなって改めて思ってしまいました。
体調のことありがとうございます。そしてまた素敵な話をと言って下さって嬉しいです。
ありがとうございました🎵
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