yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

山 短編2

2013-08-21 16:13:59 | 短編
[しやがれでの新人ホストがツボだったので]




新人ホストとして同時期に入ったその人は
新人とは思えない程、風格があり堂々としていた。


同時期に入ったのは5人。
それぞれ年齢も経歴も性格も何もかもが違う。
それでも何とか店が借り上げたマンションで
お金が貯まるまでは、とお互いに気を遣いながら
一緒に暮らしそこから出勤していた。


特殊なこの世界。
周りはみな上を目指しギラギラとした雰囲気を
持っていたがその人だけはどこか違った。


みな、テンションを上げ、場を盛り上げ
お客に満足してもらい次に繋げていこうとしている中
その人だけはどこか冷めた感じがあった。


その人はいつも静かにお酒を飲みながら話を聞くだけ。
他のテーブルではアシストがついて盛り上げるのに
そこではアシストは口を挟まずただ飲みものなどの
フォローをするだけ、というのが暗黙の了解となっていた。


煌びやかで賑やかな店内。

その人のいるそこだけが空気が違って見えた。


ただ、そんな状態でもとても綺麗な顔をしていたし
なぜか一緒にいるだけで癒されると、新人ながらも
指名が途切れることはなかったから許されていたことかも知れない。



ある日たまたま指名がなく暇そうにしていた
その人にオーナがアシストに入るように声をかける。


「あれを歌ってくれ」
かったるそうに入っていたその人にオーナーは声をかける。
「…あれ ですか?」
その時に一瞬見せた笑顔。
その一瞬の笑顔にくぎ付けになった。


“可愛い。こんな顔もするんだ”


いつもの冷めたような大人っぽい顔から一転
笑顔になると少年のような可愛らしい顔。
そのギャップに驚きと戸惑いを覚える。


それから注意してその人の事を見てみると
度々オーナーが声をかけアシストにつかせている事に気づいた。
オーナーはあらゆる無茶ぶりを押し付けるが
その人は涼しい顔で何でもこなしてしまう。


“もしかして凄い人なのかも知れない”


そう思った。



「どんな無茶ぶりにも応えて凄いなぁ」
この日はアフターだの何だのでマンションにいるのは
基本アフターをしない智とそして自分の二人だけだった。


ここではお互い干渉しあわないのが暗黙のルールとなっていたから
プライベートで話すのは初めだった。
でもどうしてもその人に対する興味が抑えきれず
思い切って話しかけてみる事にしたのだ。


“急に話しかけて嫌がられるかな?”

ドキドキしながらその顔をみる。


「あの人につくとメンドクサイ」
その人は口を尖らせながら可愛らしい顔でそう文句を言う。


“可愛い”


この人は冷めてて大人っぽい雰囲気を
持ち合わせながら本当は可愛らしい人なんだなと思う。
思いがけず返事が返ってきて嬉しくなってそのまま話しかける。


「……こんな風に話すの初めてだね?」

「そうだね」

「あっごめん。嫌だったら言って?」

「ふふっ嫌じゃないよ」


そう言って智は可愛らしい顔で笑う。
一緒に暮らしているとはいえ
お互いの事は何も知らない。
嫌がられず話してもらえたことが嬉しかった。


それから二人になるとお互いの事を話した。
大学を卒業して就職したがやりたい事があり辞めた事。
2年と期限を決めお金を貯めるためにこの世界に入ってきた事。

智さんは?と聞くと
まだ考え中なんだ、と言って笑った。


「今日もオーナーの無茶ぶり凄かったね」

「ホントめんどくせー、あのオヤジ」

「ふふっ」

そんな他愛もない話をしながら仕事が終わった後過ごす。


今日も3人は外に出ていていない。


話が途切れると智が静かな目で見つめた。


「な、何?」

「翔くん、俺の事よく見てるね?」

そう言って顔を見つめたままクスリと妖艶に笑った。


「ごめん、つい」

いつもと違うその妖艶さにクラクラする。
自分でも顔が赤くなった事が分かった。
確かに自覚はある。
直ぐに謝った。


なぜかその存在が気になる。
何をしているのかと。
どんな表情をしているのかと。

だからつい目で追ってしまっていた。


「俺の事好きなの?」
そう言って顔を近づけてきたと思ったら
クスリとまた妖艶に笑う。


「……え?」
心を見透かされたようにそう言われたので
うろたえてしまう。


智は何を思ったのかゆっくりと顔を近づけてきて
唇にチュッとキスをする。


「……な、何を?」

「ふふっ翔くんって男とするの初めて?」


“当たり前でしょーー”
そうは思いながらも嬉しさの方が勝り何も言えない。

顔が、身体が、熱くなったのが分かった。


「ふふっ可愛いね」
そう言いながら智は妖艶に笑う。

「いつも翔くんの視線感じてたよ」


気づかれてた。
あれだけ見てれば当たり前か。
そうは思いながらも恥ずかしさで何も言えない。


「いつもいつも俺の事見てたでしょ?
そんなに気になる?」

「……ごめん」


智さんは責める風でもなくただただ妖しい顔をむけ
そう言って微笑んだ。


「もっとしたい?」

両手が伸びてきて頬を包み込むようにふれる。

もう何も考えられない。
うん、と小さく頷くと智さんはふっと笑う。


どうにでもしてくれという気持ちと
どうにかなってしまいたいという気持ちと。


唇が近づいてきて緩く口が開かれると
深いキスをしてくる。
ただその動きについていこうとに夢中になる。


「翔くん、顔、真っ赤。かわいいね」
顔をゆっくりと離すと
智はそう言ってまた妖艶に笑う。


思わずその華奢な肩を掴みそのまま身体を押し倒す。
そして上からその綺麗な顔を見つめる


「好きだ」

声にならない。

智はふっと妖艶に笑う。


そのままその身体をぎゅっと強く抱きしめ
自分からその唇に唇を押し当てた。



山 短編1

2013-08-13 18:41:20 | 短編



 何かが、違う。



「また別れたんだって?」
学校が終わっていつものように一緒に駅まで歩いて帰る道のり。
そう言ってクスリとあなたは笑った。


「またって」
その言葉に苦笑いしながら返す。


「だって一体何人目?」
そう言いながらクスクス笑う。
その顔は責めている風でもなく
ただ単純に不思議で仕方がないって顔。


「何か違くってさ~」
告白されて、合いそうなら取りあえず付き合ってみる。
で、合わなければ別れる。
ただそれだけなんだけど、この人にとっては
とても不思議にうつるらしい。


「またそれ言ってるし」
そう言ってまたクスリと笑った。


「そういう自分はどうなのよ?」
高校から一緒になったその人はとても綺麗な顔立ちで、男女問わず←
モテモテでよく告白されていた。


「え、俺ぇ?」
なぜか意外って表情をしながら聞き返す。


「こないだも女の子に告白されてたって聞いたよ」
そう言う噂を聞いたのは一度や二度ではない。
けど、智は誰とも付き合う様子はなかった。


「……何か、分かんないだよねぇ」
少し考えるような表情をするとそう言った。
「ふふっ、またそれ言ってる」
そう言いながらもその言葉になぜか安心し嬉しくなる。
「まあ、俺の事はいいから。で、それで何が違うの?」
智は不思議そうに聞く。


何って。


智だったらこんな事言わないだろう。
智だったらこんな事しないだろう。
智だったら。
智だったら。
……。


「何かが、違うんだよ」
それを言葉にする事なんてできなくて曖昧に答えた。
「ふぅん」
その言葉に納得したような納得してないような表情を浮かべる。


「それにしても最近回転早くね?」

「そう?」

「そうだよ、今回なんて何日間ですかって感じジャン」

「……付き合ってみないと分かんないとこがあるから仕方ねぇんだよ。
それにこっちから別れを切り出してばかりいる訳でもないしさ」

「え、そうなの?」

智は意外って顔をする。


「うん、何で自分と一緒に帰ってくれないんだとか、何とか言われてさ」

簡単に説明した。





あの日。
高校の入学式で
初めて智に会った。


智は美しくて儚くてかなり人目を惹く存在だった。


同じクラスと知った時の嬉しさはとても言葉にできない。
仲良くなりたくて話しかけまくってようやくここまでこれた。


智は自然と人を寄せ付ける力を持っていて
同じように考えている奴らがたくさんいたから最初の頃は
話しかけるのも結構至難の業だった。


そして智は見かけの美しさとは違って
温和でかなりボーっとした性格だった。


“俺がこの人を守っていかなくては”


ようやく仲良くなるとすぐそう決意した。
それからずっと帰りは一緒に帰っている。
時にはどちらかの家によって宿題をして帰ったりもする。
その関係が心地よくて崩したくはなかった。


「智と一緒に帰るのが習慣になっているからって言っても
友達と自分とどっちが大事なんだって言ってさ」

「……別に俺は一人で帰ってもいいんだけど」

智は遠慮がちにそう言う。


「俺がヤなの」

これだけは絶対譲れない。


「それより、今日は俺んちで宿題やってくっしょ?」

「うん、翔の教え方上手だもん」

無邪気に笑うその顔は幼くてとても可愛らしい顔をしている。


“かわいい”


こんな可愛らしい顔でそんな事を言ったりりするから
とてもこの習慣を変える事なんでできない。


なぜか智なら何しても笑って許せる。
智がやると何でもかわいく思える。
智のためだったら何でもしてあげたくなる。


なんだろ?
自分でもよくわからない。




家に一緒に帰り部屋で宿題をする。
テーブルに座りこっそりその顔を見つめる。
うーんと口を尖らせ考えているその姿が可愛らしい。


「どこが分かんないの?」


自分でも甘いなと思いつつ智が困っているとすぐに口が出てしまう。
そして智が分からないという問題を説明する。
智はなるほどなるほど、と言いながら笑顔を見せる。
そして翔は学校の先生になるといいよ、教え方上手だもん
といってまたまた無邪気に笑う。


“可愛いすぎる”


「……ね、智は誰かと付き合わないの?」

「また、その話? だから、よくわかんねぇんだってば」

智は少し困ったようにそう答える。


「……じゃさ、 俺と付き合ってみるっていうのは?」

「……は? とうとう男にまで見境なくなったの?」

最初はびっくりした顔をしていたが、すぐに呆れた顔になる。


「違う違う 智だから、だよ」

「……?」

直ぐに否定するが智は不思議そうな顔をする。


「ずっと考えてたんだ。
何でこんな長続きしないんだろって」

「……うん」

智はまっすぐな目でこちらを見る。


「中学まではそれなりに普通に女の子と長く付き合えてた。
でも高校になってから長く付き合えなくなった。
何でかわかんないけど他の子と付き合いながらも智を探してた」


「……」


「で、何か違うって思って、ダメだった。
……ね、智は俺の事 嫌い?」

「……嫌いなはず ねぇじゃん」

戸惑いながらも素直に答える智が愛おしい。


「……ね、キスさせて」

いつもほかの女の子とキスするときも智の事考えてた。
智とだったらどんなだろ。どんな感触なんだろって。


「ね、俺の事好き?」

「……好き、だけど」

「だったら、ね」

そう言ってテーブルにある手をギュッと掴むと
顔を唇と唇が触れ合う寸前まで近づける。
智は避けようとはしない。
そのまま唇をその唇に押し当てると、ちゅっと触れるだけのキスをした。


顔をゆっくりと離し智の顔を見ると真っ赤になっている。
そしてそのままお互い見つめあう。


「……信じらんね」
智が小さく呟く。


「も、一回」
そう言ってまた顔を近づけるとチュッとキスをする。
そのまま角度を変え何度か触れるだけのキスを繰り返す。


「……一回じゃねえし」
顔を離すと智が小さく呟く。


「嫌だった?」

「……嫌じゃない けど」

「ね、俺と付き合って」

「……」

智は戸惑った表情を浮かべている。


「キス 嫌だった?」

「嫌じゃ なかった けど」

「も一度、キスしてい?」

声が掠れている。


ゆっくりとその身体を押し倒し
上からその綺麗な顔を眺める。
智は真っ赤な顔をしながらも拒絶する感じはない。


そのまま唇を近づけていってちゅっと角度を変えながら
触れるだけのキスを繰り返す。
そしてゆっくりと緩く智の唇が開かれ
腕が背中に回ってきた。


そのまま舌を差し入れると深いキスをした。

ありふれた日常 part15(あたらしあらし)

2013-08-03 23:37:24 | 山コンビ ありふれた日常


仕事が終わって二人でまったりと過ごす時間。


智くんは足と足の間に縦に並ぶように座り
全身を預けるように寄りかかっている。
“この時間が何とも言えずいいんだよね~”
そう思いながら後ろからその華奢な身体を抱きしめる。


「あ、そうだった。あれ見ない?」


こないだ番組でやった企画物。
智くんの発想力が素晴らしくてもう一度見たいと思っていた。


「……ん~?」


少しの沈黙の後、眠そうな声が返ってくる。


「ちょっ、さては半分寝てたでしょ?」


慌てて前側にいる智くんの顔を覗き込むと
そんな事ないよ、と言って首を傾けにっこりと笑う。


“可愛すぎるから”


「ね、あれ見よ?」
そう言ってリモコンを手に取り操作する。
「ああ、これね~」
画面が映ると智くんは思い出したようにそう言って笑った。


「うん、これ。智くんのが凄くってさぁ、また見たいって思ってたんだよね」
そう言って自分の部分をとばす。
「あ、とばさないで。翔くんのも見たい」
智くんは後ろを振り向きそう言った。


「……この時の翔くん、すごく楽しそう」
水鉄砲で遊んでいる姿を画面で見ながら智くんが小さく呟く。
「……まあ楽しかったけどね。
でもこれ絶対メンバーとやるともっと楽しいと思うんだよなぁ」
メンバーの行動が容易に想像できるようで思わず笑ってしまう。


「あんまり他の人に透け透けの見せちゃダメ」
メンバーでやったら、あいばちゃんはきっと大はしゃぎで~
にのは~などと妄想してたら
智くんが突然後ろを振り向き、めって顔をする。


「……? うん、わかった」
画面では集中的に水鉄砲を浴び透け透けになった姿が映し出されていた。
そんな事言うなんて珍しいと思いながらも
気にしてくれているのが嬉しい。




そして場面は変わり嵐についての話になる。


『歌も上手いし、踊りも上手いし、字も上手いし、絵も上手いし、
才能は誰もが認めるところだから…』


「……」

「……」

「何か、恥ずかしい…」

「俺も改めてこうやって見るとちょっと恥ずかしい」


雑誌などでは度々言ってきたことだが
こうやってテレビ画面で改めて見ると本人を目の前にして
何だかちょっと照れくさい。


「だからとばそうって…」

「……でも。恥ずかしいけど、嬉しい」


智くんは照れたようにそう言う。


“カワイイ”


まあ、ずっと思ってきた事だし何度も伝えてきている事だけど。
そう思いながら顔を見ると顔が真っ赤になっている。


“カワイイ~”


「ずっと思っていた事だし。それに智くんがリーダで本当に良かったと思ってる。
それにここでは最近って言ってるけど、本当はずっとそう思ってる」
そう言って後ろからギュッと抱きつくと耳まで真っ赤になる。


“可愛すぎる”


“って、智くんの発想力が見たくってつけたハズだったのに、この展開って”


あまりの可愛らしさに我慢できず
身体をずらすとそのままその身体を優しく押し倒す。
そして、え?って顔して見つめるその綺麗な顔を上から見つめる。


「智くん、好きだよ」


誰よりもできる人なのに、その控えめ過ぎる位のその性格のせいで
勘違いしている人が多いという事は分かっている。
そしてそこがこの人の利点ではあるのも分かっている。
でもその才能を知る過ぎるくらい知っている自分にとっては
少しもどかしく感じてしまう時もある。


でも。


あなたが嵐でいてくれてよかった。
あなたが嵐のリーダーでよかった。


そう思いながらその綺麗な顔に顔をゆっくりと近づけると
目が閉じられる。
そのままちゅっとその唇にキスをした。


「俺も翔くんが同じグループでいてくれてよかった」
唇が離れると、まるで心の中を見透かしたように上を見上げそう言う。


「愛してる」


その存在すべて。


もう一度ゆっくりと顔を近づけるとそのまま深い深いキスをした。