ふざん<書道WEB>

書道は漢字文化から発生した東洋の文明=哲学文化遺産であり、芸術=ARTよりも奥が深い。(2014.2.13記載)

墨場必携<10字以下~>

2013-02-05 17:46:03 | 墨場必携/一臼

                                    <屏風多文字>はこちら
                                    <50~14字>はこちら

< 13字 >

須定雲止水中 有鳶飛魚躍気象   =出典:菜根譚  【読み】<すべからく定雲止水の中に、鳶飛び魚躍るの気象あるべし>
◎動かぬ雲の間を鳶が舞い、静かな水の中に魚が躍るように、静と動がひとつに融け合った境地こそ望ましいものだ。


< 11字 >

潔常自汚出 明毎従晦生也   =出典:菜根譚   【読み】< 潔きは常に汚れより出で、明るきは毎(ツネ)に晦(ミソカ)より生ずるを>



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 <五言・10字> 

幽禽聲自楽 流水意長閑      =出典:韓除轣  【読み】<幽禽聲自ら楽しみ 流水意長閑なり>
◎名知らぬ鳥が楽しげにさえずり、流れる水はあくまでものどかである。


世事雲千變 浮生夢一場   =出典:王庭筠  【読み】<世事雲千變 浮生(ショウ)夢一場(ジョウ)> 
◎世の万事はすべて変化多くして雲に似ている、はかなき人生は一場の夢を見たに過ぎない。


山花迎客笑 谷鳥避人啼   =出典:盧之翰  【読み】<山花客を迎へて笑ひ 谷鳥人を避けて啼く>
◎山中の花は笑顔で客を迎えるように美しく咲き、谷間の鳥は姿を隠して囀る。


啼鳥雲山静 落花渓水香   =出典:徐貴  
◎雲のたなびく山に鳥がないて静かに、谷川の水には落花が浮かんで流れて香しい。


青山元不動  白雲自去来   =出典:虚堂録 【読み】<青山元より不動にして、白雲自ずから去来す>
◎青くそびえる山はもとから不動であり、白雲はその周囲を無心に去来している。


鶴舞千年樹 亀游萬歳池   =賀詞 「鶴舞千年樹 亀潜万歳淵」もある 
【読み】<鶴は舞う千年の樹 龜は游ぶ萬歳の池(亀は潜む万歳の淵)>


昨夜一声雁 清風萬里秋   =出典:虚堂録  【読み】<昨夜一声の雁 清風萬里の秋>
◎昨夜来の雁がねの声を聞かなかったらどうして遠い河口に秋が来たことを知ったであろうか。


心清無別(外)事 静極是眞源   =出典:斯植 【読み】<心清く外事(ガイジ)無く、静極まって是れ眞源>
◎ 心は清く外に思わないから何事も起こらない、静かさはこの上もないから此処で極意の処である。


水深魚極楽 林茂鳥知帰   =出典:杜甫「秋野」 【読み】<水深く魚楽しみを極め、林茂り鳥帰るを知る>
◎ 水は深くして魚はこの上もなく楽しみ、林は茂りて鳥は塒(ネグラ)に帰ることを忘れない。


真味只是淡 至人只是常   =出典:菜根譚 【読み】<真味はただこれ淡 至人はただこれ常>


十方無虚空 大地無寸土 =出典:法句抄(道元眼蔵)   江上之清風 山間之明月 =出典:赤壁賦




村静鳥聲樂 山低雁影遥     枕上乾坤静 夢中歳月長     春逐鳥聲開   麗日散光華


新鶯憶葉囀 新燕向窓飛      泉聲帯月静 松影入窓間      百年書法裏 萬事酒盃中
 

 

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<9文字>

心和気平者 百福自集      =出典:菜根譚  【読み】<心和(ヤワラ)ぎ、気平(タイ)らかなる者は、百福自ずから集まる>
◎柔和で安定した心の持ち主は、多くの幸福が自然に集まってくる。前句「性燥(カワ)き心粗なる者は一事も成すこと無し」(無味乾燥で粗野な心の持ち主は、一つとして物事を成し遂げることはない。)


更潜礎石下 浮上小身


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<8文字>

 

千萬里 日夜一孤舟   =出典:中国孔子 『滄溟千萬里 日夜一孤舟』が元

 

知足常楽 能忍自安   =出典:釈尊の遺教経 【読み】<足りたるを知れば常に楽しく、よく忍べば自ら安らぐ>

◎不満不足は欲から生じるもの、現状に満足すれば楽しく暮らせる。不足を辛抱忍耐することにより平穏な生き方ができる。

 

垂絲千尺 不釣凡鱗   =出典:虚堂和尚語録  ◎千尺もある深い釣り糸は、雑魚は釣らない

 

四季平安 百幸如意   =出典: “四季平安”は中国のお祝い言葉。賀詞には、恭賀新嬉、恭喜恭喜、五福臨門、吉祥如意、百幸如意などたくさんあり。

 

心外無法 満目青山   =出典:禅語  ◎こころの外に法は無し。見よ眼前に広がる雄大な山々を

 

積善之家 必有餘慶  =出典:易経         能言能行 国之宝也

 

 

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<7文字>

 

白雲千載空悠々      =出典:崔 障香/黄鶴樓   【読み】<白雲千載空(ムナ)しく悠悠> ◎白い雲が千年の後の今も変わらずに悠々と流れてゆく。

 

萬里無雲孤月圓   =出典:虚堂録  【読み】<萬里雲なく孤月圓(マドカ)なり> ◎見渡す限り雲ひとつなく、円い月が照っている。

 

人間萬事塞翁馬   =出典:淮南子 【読み】<人間萬事塞翁の馬> ◎人間の幸不幸は図り知ることができないから、禍も悲しむにあたらず幸いも手放しで喜べない。(国境の塞近くに住む老人の飼い馬をめぐる禍福の因縁話)

 

栄枯事過都成夢   = 【読み】<栄枯の事、過ぐれば都(ス)べて夢と成る> 

 

人間是非一夢中   =出典:良寛  ◎七言詩「回首五十有餘年 人間是非一夢中~」より。いいとか悪いとかの判断ものさしは正しいのかな?

 

心頭無事一床寛   =出典:禅語 【読み】<心頭無事にして一床寛し> ◎心頭滅却すれば一つの床も広々と感じられるものである

 

無一物中無尽蔵   =出典:禅語…中国禅宗第六祖・慧能禅師の言葉「本来無一物」より  ◎何もない中に限りない沢山なものが詰まっている。それを見つけ出せる人は無限の宝を得ることができるし、努力も工夫もしない人は何も見つけられない。

 

遠山無限碧層々   =出典:碧巌録  【読み】<遠山限り無く 碧層々> ◎遠く連なる山々が碧を幾重にも重ねてそびえている様子。

 

野水無心自去留   =出典:虚堂録 「青松不礙人來往」が前につく 【読み】<青松は人の來往を礙(サマタゲ)ず 野水無心に自ら去留す>

 

九天雲静鶴飛高   =出典:道元禅師『永平広録』 【読み】<九天雲浄らかにして鶴の飛ぶこと高し> ◎前句「四海浪平龍睡穏」=四海の浪は平らかであるから龍の眠りも穏やかである。九天の雲も清らかで鶴が高く飛んでいる。

 

漁人入得桜花洞   =出典:陶潜明/桃花源記 【読み】<漁人入りて桜花の洞をうる>(民間信仰=桃花郷伝説とも共通する)

 

満船明月載得帰 =出典:五灯会元         天地無私春又帰 =出典:禅語 

 

獨座山中天地静        白雲悠々去又来        平生富貴逐春来

 

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 <6文字>

 

徳如海 寿似山   =出典:伸聞詩  【読み】<徳は海の如く 寿は山に似たり> ◎徳は広い海の如く、寿は山に似て高い。

 

一花開天下春   =出典:虚堂録  【読み】<一花開いて天下春なり> ◎梅が咲き初めて、どこもかしこも春とはなった。

 

月在天水在瓶   =出典:禅語   【読み】<月は天にあり 水は瓶にあり >(月~雲もある) 

 

雲林野思幽夢   =出典:倪瓉・元 【読み】<うんりんやしゅうむ> ◎雲にかかる林、野に住む思い、夢までが静かで安らかである

 

痴兀兀兀兀痴   = ◎坐禅が兀兀地と形容されるごろりとした山のような不動な身心の姿勢

 

南山雲北山雨 =出典:碧巖録      徳不孤必有隣 =出典:論語      夜静寒巌虎嘯

 

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< 5文字>

 

茶煙永日香」=出典:方囘  ◎茶を煮る煙がたち、ひねもす香しい。     「観白雲幽石」=出典:菜根譚 <白雲幽石を観てー玄に通ずー>

 

悠然見南山」=出典:陶淵明/飲酒 【読み】<悠然として南山を見る>    「浮生夢一場」=出典:王庭筠  ◎はかなき人生は一場の夢を見たに過ぎない。

 

鳥鳴山更幽」=出典:王籍 【読み】<鳥鳴いて山更に幽(カスカ)なり> 王安石の「一鳥不啼山更幽」はこの句には及ばない。

 

潜心観道妙」=出典:倪瓉 【読み】<心を潜めて道妙を観る>◎心を潜め考えれば、道の玄妙深遠がわかる

 

好事不如無」=出典:禅林句集 【読み】<好事も無きにはしかず>◎好い事を追い求めると得られない、とらわれのないところに得られる。

 

林下十年夢」=出典:禅林句集 ◎山で修行して山から出てきた男が湖で大笑いをしたという事。煩悩に悶悶とし気が付いたら実態は何もなかったということ。「湖邊一笑新」と続く。

 

日々是好日」=出典:碧巌録 【読み】<日々(ニチニチ)是れ好日(コウニチ)> ◎いつでも心地よい日である。でも良いことばかりではないから、執着、煩悩をたちきって清純無垢となりましょう。

 

白雲自去来」=出典:虚堂録 <青山元不動白雲自去来>より ◎白雲はただ流れるのみ。無心の境地になりたいものです。

 

日出乾坤輝」=出典:禅語(日出乾坤輝 雲収山岳青) <日出でて乾坤輝き 雲収(オサ)まり山岳青し> ◎太陽が登ると万物がその光を受けて世界が明るく輝き、雲が消え去ると山々は青々としてくる。

 

大賢如大愚」 【読み】<大賢は大愚の如し>  ◎非常に賢い人は知識をひけらかさないので、一見したところ愚人のように見える。

 

心清意自閑」 【読み】<心清ければ 意自から閑(シズ)か> ◎心が真っ直ぐで邪念がなければ、気持ちも自然と騒がしく乱れることはありません

 

渾兮其若濁」=出典:老子 【読み】<渾として其れ濁のごとし> ◎濁った水のように不透明である。濁った水を清く澄ますことができるのは“道”を体得した人物だけである。

 

萬里一條鐵」=出典:傳燈録 【読み】<萬里一條の鐵> ◎万里のように遠く離れた距離(気持ち)も、一片の楔(鉄=レール)でつながる。以心伝心にも通じる。空っぽ、無になることの大切さを説く。

 

水急不流月」=出典:碧巌録 【読み】<水、急なるに月を流さず> ◎急流に映る月影は揺れてはいても流れることはない。真理は月のように変わらない。忙しい毎日を送っていても心を失わないように。

 

室閑茶味清」=出典:禅語 【読み】<室閑かに茶味清し> ◎静かな部屋に茶の香りが清らかにただよう。

 

山高月上遅」        「酒逢知己飲」      「宝在此山中」        「無々無是非

 

坐久収烟雲」        「樂亦在其中」      「此世随縁過」        「在幽石枯木

 

道勝則境静」        「松樹千年翠」      「巣龍栄華極」        「酔裏楽天真

 

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  < 4文字 >

 

「和敬清寂」=出典:茶祖・珠光の「謹敬静寂」を千利休が一字改めた語句 ◎和=お互い仲良く、敬=敬いあい、清=心も清らかに、寂=何事にも動じない心。

 

「清寂養和」  ◎静寂の中でこそお互いの心が通じ合う

 

「以和為貴」=出典:礼記 <聖徳太子の憲法17条の最初の文言> ◎調和する事を貴い目標とし。道理に逆らわない事を主義としなさい

 

「真空妙有」=出典:禅語 <吾心は秋月に似たり 碧潭に清く皎潔~と続く。> ◎私達の心は秋の明月のように円満無欠であり、緑色の深淵に照り映えて清く輝いている。人みな仏になる性質をもっていることを、月にたとえている禅語です。

 

「長楽無極」=出典:漢瓦當 <長楽極まり無し> ◎楽しみが長くつづいてきわまりない。

 

「道法自然」=出典:老子  ◎人間の道は自然にのっとる、人為を加えてはならぬ。

 

「平安是福」=出典:明唐伯虎不如歌  <平安是れ福> ◎無事なのが是ぞ真の幸福である。

 

「大道無門」=出典:禅語 至道も同じ。◎大道は無象無形で人を拒否する関門もないが参入しがたい。 続く句は「千差路有り 此の関を透得すれば 乾坤に独歩せん」(その門はどの道にも通じている。その門を通ることができれば、天地の間を自在に歩けよう)

 

「天馬行空」 ◎何物にも遮られないで、素晴らしい勢いで進んで行く様子。考え方や着想が自由奔放である。

 

「行不由径」=出典:論語  <行くに径(コミチ)に由(ヨ)らず> ◎楽をして横道や近道を辿ろうとするものだが、結局そのような道は、成功へと導くことはない。大道を、そして正道を歩みなさい、その道は自らの意志で拓かれる。

 

「閑中至楽」=出典:蔡軾  <かんちゅうのしらく> ◎閑暇こそ、最上のたのしみ。人生の理想

 

「寛仁厚徳」=出典:漢玉銘 <かんじんこうとく> ◎心寛大にしてあわれみ深く、徳は積み重ねて厚い。

 

「上善若水」=出典:老子 <じょうぜんみずのごとし> ◎理想的な生き方は水の如きもの。

 

「独座中堂」=出典:菜根譚 ◎何物にも動かされぬ本心が、どっかと中心に坐っている。

 

「独座観心」=出典:菜根譚   「鳶飛魚躍」=出典:菜根譚   「日裏看山」=出典:『雲門廣録』、『禅林句集』 

 

「鳳来麟現」     「風花雪月」     「和気満堂」     「心到天真」     「山静興長」

 

「南風和暢」    「無為真人」    「心地寛舒」    「落葉帰根」

 

「澂(澄)心静慮」     「和光同塵」      「花鳥風月」 

 

 

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 <3文字>

 

「 無量寿」   「 乾坤輝 」   「 耐風雪 」    「 動中静 」   「 閑是宝 」

 

「 観吾心」         「 脱手套」     「聴無聲 」     「静而舒 」      「 不老門 」

 

「 寿無涯」     「思無邪 」       「 莫妄想 」     「 恭則寿 」    「 不動智 」

 

「 虚(處)間静 」

 

 

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    <2文字>

 

「 寂静 」  「獨坐 」  「 花開 」  「慶雲 」  「 澄観 」  「 飛雲 」

 

「 幽邃 」<ゆうすい> ◎奥深い       

 

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  <1文字>

 

「 無 」  「心 」  「 虚 」  「和 」  「 壷 」  「 命 」  「 黙 」  「 寂 」   「 夢 」

 

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  < 歌 >

 

「名物を 喰うが下司の 旅日記」 (S7.6 戦艦日向、秋田停泊の折)

 

「昼下り 緑陰深し 五角堂」 (S20 冬頃 大邱にて)

 

「破れたり ああ破れたり されどなお 我が生命の 今日も続けり」 (S20.8)

 

「疲れ来て 尚疲れ来て 其の上に 斃れる身ならば 死ぬるともよし」 (S20.8)

 

「ひとみなと かたりつかれて こし山の ふもとに君と ゆうげする今」 (人みな=吾を理解し難い人、君=野上義臣氏)

 

「三界を 今こそさびしく 思いけり 両親去りし 今となりては」 (S22秋)

 

「線香の 煙ゆらゆら のぼりあり 墓石に青し 苔の生えいて」

 

「花枯れし 姉の墓前に ぬかずきて 涙にぬるる 弟吾は」

 

「ほろにがき 薬あふれば かげあれど 光まばゆき あこがれの道」

 

「女下駄 借りて佇む 橋の上に いとど身にしむ 武庫の川風」

 

「若草は ほほえみいたり 花も尚 忘れ得ぬ日よ 吉永の里」

 

「胸に秘め言い終えもせぬ この思い 春は来たりぬ ああ春は来ぬ」

 

「急ぐなよ 何れ帰国の 身にしあれば 病むことあらば 父母の泣く」     (S27.11)

 

「秋深み お星輝く 夜明けかな」    (S31.11  習字の研究会)

 

「光ありて 雲は行くなり おもむろに あわれ 三十七の秋暮れんとす」 (S24)

 

「今日よりは 火の塊とならんとは  あまりさびしき現実にして」 (昭和24年7月6日操山中学3-C教壇にて)

 

「言いたきを 書きて破れば 秋雨や 音したたかに 白雲のゆく」 (S26.9.9)

 

「吾はおも 夢を追うとぞ 定めけり 余りにさびしき 現実なれば」

 

「雨よ風よ山川よ ああふるさとは なつかしくあり」

 

「今年こそ よいことあるが 如くにて 鶏の声して 清らに明けぬ」  (S32)元旦

 

「満奇洞は 天下の奇岩 億劫の 太古より成り ひれ伏して観る」

 

「神さびし 吉備津の宮居 銀杏散る」  (S50.11)

 

「柿くえば 丸き頬のふくらみて 入日なつかし ふるさとの山」

 

「風寒し 永劫の月 宙天に」

 

「この果てに 君あるが如く 思われて 春のなぎさに しばしたたずむ」

 


「水魚にたわむれし少年の頃 如月の月に親を尋ねて 泣きわびし夜 かくて我が青春は涙もて 我は芸道に狂い来て古希は今 更に迷わん この命なり」

 

「この山中の 地上に転々と また重なり合う 枯木の数々の 命なきが如き このわびさびを 書き続けよう そしたら 生きるかも知れない」

 

「琴線に 触れしことども さながらに もの言わぬ人の 水茎の跡」(比田井天来先生の書を見て)

 

「書は 須らく 楽しかるべし」

 

「神無月 光の窓の下にして 筆揮い居り 古希行かん日近く」

 

「春の雨にたたかれて 夏の炎に焼かれ行き 秋虫の声身にしみて  冬霜柱に紅く染め 若き命の人は行く」

 

「狐花 手折りて行くや 里の道」

 

「こおろぎの 鳴くや久遠の 闇深し」

 

「神さびし 吉備津の宮居 銀杏散る」

 

「肌寒き 吉備のぬばらに 彳めば 神さびませり 千木の宮居は」

 

 

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  (北海道旅行~S49.6)

 

「霧深き 白老の里に 踊りいる ピリカの歌の アイヌ悲しも」

 

「夕なぎの 阿寒の湖(うみ)は 静かなり 千古の謎を 秘めて語らず」 

 

「風寒き 天都山に 登り来れば 知床岬と オホーツク海見ゆ」 

 

「ドロの木は どこまで続くか 舗装路を バスははしれり 阿寒目指して」

 

「アスナロの 並木をぬけて 行くバスの 窓につめたし 北海道の風は」

 

「この湖は 何かさみしく 静まりぬ 四方の山々 水面に映りて」

 

「水無月の 千歳空港に 下り立てば 薄く曇れり 冷やかにして」

 

「万緑の 道は遙けし 月寒の 街を過ぎたり 札幌へ向う」

 

「石狩の 道標下の 信号に バスは停れり 昼過ぎし時」

 

「あこがれし 北海道の 土踏みぬ 青春の日より 四十二年後に」

 

「六十の 年坂越えて 北海に 旅する夫婦の 姿こそあわれ」

 

「左遠く 雄阿寒岳の 聾えたり 新緑の道を 摩周湖に向う」

 

「あちこちに 牛の群あり 青草を 食いておりけり 平原の朝」

 

「美幌には 残雪白し 右下に 遙けくひろがる 屈斜路の湖」

 

「バスの行く 舗装道路の 両側に 美しく並べり タンポポの花」

 

「アイヌとは 悲しきものよ 美幌なる 峠の宿に 熊と共に居て」

 

「緑濃き 野幌の雨は しとしとと よろこぶがごと 我を迎うる」

 

「遠山は 残雪白く 続きたり この峡谷は 風のつめたく」

 

「熊笹の オロフレ峠 登り行けば 左遙かに 洞爺湖の見ゆ」

 

「登別 地獄太鼓の 音冴えて 夜のしじまに とどろきわたる」

 

「新緑の 大平原は つづきたり 靄いと深し 苫小牧の朝」

 

「八千米の 高度より見ゆる 松島の 海の青さよ 新緑の山」

 


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<沖縄・・・台湾>

「五月晴れ 沖縄の島に たどり来て 散りにし人の あとをとむろう  」 (S48.05 沖縄)

 

 


「南国の 花蓮の山の 芝に寝て ポインセチヤの 紅を見き」  (S50.11 台湾にて)

 

「アミ族の美女のガイドが 日本の 歌を歌える 声や愛しも」  (S50.11 台湾にて)

 

 

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      <鹿久居島にて>

 

「鬚(ひげ)白く 鹿久居の島に 日やけ顔」 (S45.7悟牛・一臼合作)

 

「海静か 浮身にうれし 鹿久居島」            (S46.夏)

 

「波音に 虫の鳴き入る 鹿久居島」           (S47.7)

 

「沢蟹に 指つめられて 島の夏」                (S48.7) 

 

「墨の香や いよ夜の更(ふ)くる 島の夏」 (S49.7)

 

「真実と 書いて息づく 夜の島」                  (S50.7)

 

「浮身する 教え子のあり 鹿久居島」         (S51.7)

 

 

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   <笠井山にて>

 

「月に行く 驚異の人あり 新世紀」 (S49.10)

 

「あたたかき 心に浸る 十三夜」  (河田婦佐枝)

 

「月に吼ゆ 玉龍会の 集いかな」 (S50.10)

 

「厚衣(あつごろも) かぶりて名月 いまいずこ」 (河田婦佐枝)

 

「金粉の 酒召しませや 月の宿」 (S51.10)

 

「ハーモニカ 音冴え渡る 山の家」 (S51.10)

 

「天と地を わけて今宵の 月はあり」(S52.10)

 

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  <好みの歌>

 

「ほろほろと なく山鳥の 声聞かば 父かとぞおもふ 母かとぞ思ふ」  (名僧行基菩薩の歌)

 

「急がずば 漏れざらましを 旅人の あとより晴るゝ 野路の村雨」

 

「宿かさぬ 人のつらさが 情にて おぼろ月夜の 花の下ぶし」  (大田垣蓮月)

 

「枯木に宿る鳥もなくただ上弦の月青し」

 

「この道や 遠く寂しく 照れれども いゆき至れる 人かってなし」  (島木赤彦の歌)

 


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