考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

否定するだけでも正せない「早すぎ就活」

2011-01-17 23:58:00 | 人事の仕事

昨日(2011.1.16)の日経新聞社説は、
『経団連指針では正せない「早すぎ就活」』という内容でした。

3年生から4年生にかけての重要な時期を就活に費やさざるを得ない現状・・・
このままでは、“学生の質の低下が進みかねない。それでは企業自身が困るはず”という問題意識から、“「就活」の改善策を企業はもっと抜本的に考えてほしい”という内容は、たしかにもっともだと思います。

この社説の冒頭部分を引用しますと、

大学新卒者の採用活動について日本経団連が新たな指針を決めた。しかし学生が就職活動に時間をとられ、勉学がおろそかになりがちな現状を変えるほどではない。早すぎ、長すぎる「就活」の改善策を企業はもっと抜本的に考えてほしい。

日本経団連は採用活動の指針である倫理憲章を改め、2013年4月入社の採用から、会社説明会の時期を2カ月遅らせ大学3年生(大学院は修士1年)の12月からにする。一方で4年生(修士2年)の4月以降としている選考試験の時期はそのままだ。大学生が3年生から就活に追われる姿は変わりそうにない。

商社の業界団体である日本貿易会は昨年11月に、会社説明会を大学3年生の2~3月、選考試験を4年生の8月へと、それぞれ4カ月後ろにずらすことを提言した。
これに比べると日本経団連の見直しは、会員企業の意見の「最大公約数をとった」(米倉弘昌会長)ため、煮え切らないものになった。大学側からは「中途半端な内容」と落胆の声があがっている。

だったら、どうしたらよいのか?

4年生の秋や冬にも選考試験をする企業が増えれば、学生に大きな負担をかけている現状を改善できるだろう”という話は、もしかしたら正しいかもしれませんが、
現状でも選考試験をしている企業は数多くあり、選考試験を早めに行う企業がある限り、実態としては就活の長期化の一事象であるだけなのかもしれません。

結局は企業が「新卒」を採用のメインターゲットにする限り、この問題は抜本的な解決にはならず、良い学生の確保に向けて、どこかで動き出し、それは少なからず学業に支障を来たし、多くの学生がそれなりに企業を一巡するまでは、就職活動はそれ相応に長期化します。
これは、企業にとっても、学生にとっても、非常に大事な活動であり、ここを制限するのは非常に困難だと思います。(たしかに3年の秋から4年の夏が中心だった活動を、3年の冬から4年の秋を中心に時期をシフトすることは出来るかもしれませんが、これは本質ではないですよね。逆に理系の学生などは、4年の夏以降の時間を取られることは、もっと学業に支障を来たすことになると思いますので。)

一方で、そのような就活によって、「学生の質の低下が進みかねない」というのも変な話で、この20年以上、同じような就活だったじゃないですか。そういう就活を当然のようにしてきた自分たちを棚に上げるのは、疑問です。

けれども、自分自身の反省から、やっぱり大学生は大学生として、4年間、しっかりと学んでほしい。

それには、高校から何もビジョンもないまま、大学に進むのが当然という風潮を改めること、
一回、社会人になってから、本当に進みたい専門を見つけて、大学にいくなど、
最高学府である大学のあり方を見直すというのも一案だと思います。

そして、大学を卒業してから、本当に時間をかけて、自分が納得するまで就職活動をするというのもありですよね。
もちろん、そこには既卒も新卒もない、3年以内なら新卒なんて小手先の定義変更も関係のない世界です。

こういう話は、いろいろな考え方があって、何が正解というのはないと思っています。
でも、“採用活動の見直しについて、単独で踏み切ると人材獲得に出遅れる恐れがあるから足並みをそろえたい”という企業の工夫のなさは、答えを強制してしまいますよね。

学生の質の向上は、企業にとっても、日本にとっても望ましいので、
まさに熟す前の「青田買い」にならないように、真剣に考えてみる時期なのかもしれません。

 


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