人材開発・組織開発コンサルタントZOFFY雑感

個人的関心ごとについてコメントしています。

「アシミレーション」で一体感を育もう!

2009-04-30 21:47:49 | ビジネス・コラム
4月もそろそろ終わり。
毎年4月に昇格人事・定期異動を行う会社では、新任の管理職の方がはじめてチームを任され、多忙な日々を過ごし、ホッと一息つく時期かと思う。が、是非、この時期にやってみて欲しいことがある。

それは「アシミレーション」。直訳すると「融和」という意味になる。

「アシミレーション」は、新任の組織リーダーが、ファシリテーターを活用して、リーダーと既存社員との相互理解を深め、立ち上がり期を加速させる手法のことをいう。

組織に新しいリーダーが着任したとき、リーダーも既存社員も、一定期間「様子見」をすることが多い。しかし、経営環境の変化が激しい今、一刻も早く、リーダーと既存社員が一丸となり、チームとして機能する必要がある。また、新任リーダーは以前の職場や組織の常識、成功体験などを持ち込もうとしがちだが、新しい職場にそれが受け入れられるとは限らない。

そんな状況を打破するために、この「アシミレーション」が大いに役立つ。

では、「アシミレーション」はどのように進めるのか?
具体的に、米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社で行われている手順をもとにご紹介すると次のようになる。

・あるリーダーが新しい職場の長として着任したとする。
・しばらく自由に仕事をしてもらい、一ヶ月たったところでリーダー自身が「アシミレーションしましょう」とメンバーに声をかける。
・リーダーの直属の部下全員が集められ、リーダー自身が「私のアシミレーションをやってください」と言い、席を外す。
・リーダー不在のその席では、そのリーダーについて知っていること、知らないこと、リーダーにやってほしいこと、やってほしくないことを列挙しまとめていく。なお、この場では、通常、人事部のスタッフがファシリテーターとしてアシミレーションを進行していくこともある。ファシリテーターは、メンバーの本音が出てきやすいよう、最初は軽い質問からはじめ、徐々に業務に関すること、厳しいコメントなどを引き出すよう工夫していく。
・以上のプロセスで出てきた要望、質問などを模造紙に書き込み、壁に貼る。
・この間、だいたい2~3時間。模造紙が出来上がったら、今度は、メンバーが退出し、リーダーに模造紙を張り出した部屋に入ってもらう。
・ファシリテーターが、リーダーに対し、「あなたの部下の皆さんから出た内容です」と、模造紙の内容を一つ一つ説明していく。もちろん、誰が言った内容かは触れず、その内容について、リーダーに伝え、コメントを求めていく。この間だいたい30分程度。
・そして、リーダーのコメントが出尽くした段階で、再度、メンバーに入場してもらう。
・アシミレーションで出た内容について、リーダーが、改めてメンバーに対し説明していく。

以上、全体で4時間弱。

GEでもこの制度を取り入れてから、新任リーダーが早期にチームに溶け込めるようになり一体感が育まれるようになったという。

よく「上は、三年にして下を知り、下は、三日にして上を知る」などと言われる。
しかし、そのような状況で、この厳しい世の中を乗り切れることはあり得ないと思う。

是非、新しくリーダーになった人。そして、人事教育部門の人たちにも、アシミレーションのような取り組みを実践してみてほしいと思う。

研修や飲み会なんかに比べ、ずぅ~と高い効果が期待できると思う。

(参考)
世界で最も賞賛される人事
ヘイコンサルティンググループ,浅川 港
日本実業出版社

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※また、こちらの本では、「リーダーズ・インテグレーション」という名称で、アシミレーションに似たものが紹介されている。アシミレーションを自社に取り入れようと思う方には、参考になるかと思う。
ファシリテーターの道具箱―組織の問題解決に使えるパワーツール49
森 時彦/ファシリテーターの道具研究会
ダイヤモンド社

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コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
. (ぶくろ)
2010-07-08 12:01:58
ブログ拝見しました。

確かに現在の厳しい社会の中でcommunicationを円滑にする方法の手段だと思いますが、一つ間違えれば肉弾戦になる可能性も秘めている気がしてなりません。だれもが前向きな方だけではないので、このツールが100%有効という事はない。それに、だれかの発言が漏れ、個人攻撃的ないじめにも繋がる気がしてなりません。

あくまでも、communicationを向上させるツールの一つで、これですべて解決するというツールではない。



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ぶくろさんへ (ZOFF)
2010-07-08 13:58:50
こんにちは。コメントをいただき、ありがとうございます。
おっしゃるように、肉弾戦、個人攻撃など、ネガティブな結果が心配されるのはごもっともだと思います。
私も、アシミレーションで100%何でも解決できる!とは思っていません。
もともとこれを実施しているGEでも、これ単体でリーダーを育成したり、組織内のコミュニケーションを活発にさせたりできるとは思ってないようです。様々な手段を講じて、トータルでやっていこうとしているようです。
また、肉弾戦、個人攻撃が起こる心配のある組織には、アシミレーション以前に、多分もっともっとやるべきことがたくさんあるのだと思います。それは、制度面の変更であるかも知れませんし、経営者や管理者に対する社員の不信感の払拭かもしれませんし、そもそも社内が疑心暗鬼の風土に覆われていてこれを何とかしなければならないのかもしれません。このように現状をクリアにし、何を目指すのかを明らかにすれば、アシミレーションだけでなく様々な解決策が浮かび上がってくるのではないかと思います。
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