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人の旅を笑うな ~ベトナムの水辺の村へ~

ちょっとだけ垣間見た川と湖のほとりの暮らし

28  携帯ショップでバイクを待たせたから

2017-03-01 10:20:00 | フォンディエンの町と村 お話
アンビン島からの続き

ベトナム南部、ヴィンロン。旅4日目の午前。

船着場からバスターミナルは近かった。そこは長距離バスターミナルではなく、近郊バスターミナルだ。けれど意外にもそこからカントーへの直行便が出ている。50000ドン(260円)。運転手にフォンディエンに行きたいと伝えておく。
メコン川の中洲島アンビン島から戻り、カントーの近くの水上マーケットのある町へ行こうとしていた。宿はフォンディエンという町にあった。

バスに乗り2、3時間後、街角で降ろされる。そこにバイクタクシーがいる。若い感じのいいやさしそうな青年だ。フォンディエンまで100,000ドン(520円)。一応値切って80000ドンにしてもらい、「SIMカードが買いたいんだけど、途中でどこかに連れて行ってくれる?」と言うと、「いいよ」と大きな携帯ショップに寄ってくれた。

ベトナムではWifiがどこでも使えて、日本のスマホをそのまま使っていてもこれまで何の問題もなかったのだが、これからどんな田舎に行くか分からないので、念のため国内どこでも使えるようにしておきたかった。

日本のドコモショップみたいなガラス張りの大きな店に入ると、若い定員さんが何人もいて、女性店員さんは1人残らず、とんでもない美人だった。そして、キャビンアテンダントよりも丁寧で洗練された応対をした。私は何よりもそのことに驚愕した。

ついでに言うと全員小柄で顔も小さく肩幅はやはり30センチぐらいだ。さらについでに言うと、お兄さんたちもみんなそこそこカッコよくて丁寧だ。

携帯ショップでの手続きはものすごく時間がかかった。書類にいろいろ記入して設定して30分以上かかって無事に携帯が使えるようになった。料金は75000ドン(390円)でそれより安いものはない。今思うと、それはプリペイドSIMではなくて普通の携帯契約だった。

バイクタクシーの青年のことが気になって仕方なかった。あまりにも長く待たせたので、さっき値切っていることだし、チップをあげようと思う。

店を出るとバイクの運転手は怒りもせずにこにこしながら待っていた。あれ、あのお兄さんこんなに老けてたかしら? こんな顔だったかしら? でも私はいつも人の顔の記憶が悪い。自分の記憶力の悪さにがっくり来ながら「ありがとう、ごめんなさい」と20000ドン手渡すと、隣にいたもっと老けたバイクタクシーのおじさんが、「やったな!このやろう」みたいに笑いながら突っつく。

とにかくベトナムに来てから気になっていた仕事を片付けたのでほっとして、私は再びバイクの後部座席に乗った。バイクは心地よく走り出した。

私は右手でシートの後端の取っ手をつかんでいる。そして不意に気づく。
あ……! これ、さっきの若者じゃない! さっきのバイクには手をかけるところがなかった。しまった、20000ドン損した。というより、このバイクのおじさん無駄に得している。ああ、せっかく値切ったのに。