ベトナム南部、ホーチミン。旅6日目の夜。
寝台バスに乗り込む。今度は1階席で真ん中の列。どうせ夜だから窓際じゃなくていい。1階は断然安定感がある。
バスの車掌にラック湖のプオンジュンに行くと告げる。
バスはすぐに出発した。5分もしないうちに車掌が携帯電話を私のところに持ってきて、私に電話だと言う。誰かから私に電話があるわけがない。が、バス会社の彼からだと気付く。バスの運転手が彼の友だちなので、ブオンメトーに着いたら運転手が私をラック湖に連れて行くという。だから安心しろという話だった。
あら、そうなの? うーん。どうなるか分からないけれど、とりあえず、ありがと。
ベトナムでは話し相手がいない。インドネシアと違い、誰も話しかけてこない。唯一話したのはカイランで会ったサラだけだ。私は一緒に時を過ごせる相手に飢えているのかもしれない。なんだか寂しいのかもしれない。いや、かも、じゃないだろう。
残念ながら、ホーチミンからブオンメトーへの行程の景色は見ることができなかった。見られたらきっととてもよかっただろう。意外に低地の、人気(ひとけ)のある国道沿いを走っているような気がした。とにかく脚がだるくてつらかった。
あまり眠れなかった。薬を飲みたかった。けれど薬はトランクにあり、トランクはバスの下の荷物入れにあった。途中休憩でトランクを出してくれと言っても、通じないのか無視されたのか、すげなく断られた。その車掌は電話を持ってきた人と違う若い人であまり優しくなく、休憩のときに私がちょっとバスを降りようとするとすぐに、ここじゃないここじゃないと、降りるのを制するのだった。どうやら私をバスの中に縛り付けておきたいらしかった。
バスが走り出して最初の休憩は中華系の店で、おびただしい数の月餅が鮮やかなパッケージに入って並んでいた。ベトナムでも中国商人は幅を利かせているみたいだ。1袋買う。袋はかなりほこりをかぶっている。きっと古いわけではなくて、ほこりがすごいからだろう。袋はかなり大きいのに、中には小さな月餅が4つ入っているだけだった。そのうちの3つを一度に食べてしまった。

寝台バスに乗り込む。今度は1階席で真ん中の列。どうせ夜だから窓際じゃなくていい。1階は断然安定感がある。
バスの車掌にラック湖のプオンジュンに行くと告げる。
バスはすぐに出発した。5分もしないうちに車掌が携帯電話を私のところに持ってきて、私に電話だと言う。誰かから私に電話があるわけがない。が、バス会社の彼からだと気付く。バスの運転手が彼の友だちなので、ブオンメトーに着いたら運転手が私をラック湖に連れて行くという。だから安心しろという話だった。
あら、そうなの? うーん。どうなるか分からないけれど、とりあえず、ありがと。
ベトナムでは話し相手がいない。インドネシアと違い、誰も話しかけてこない。唯一話したのはカイランで会ったサラだけだ。私は一緒に時を過ごせる相手に飢えているのかもしれない。なんだか寂しいのかもしれない。いや、かも、じゃないだろう。
残念ながら、ホーチミンからブオンメトーへの行程の景色は見ることができなかった。見られたらきっととてもよかっただろう。意外に低地の、人気(ひとけ)のある国道沿いを走っているような気がした。とにかく脚がだるくてつらかった。
あまり眠れなかった。薬を飲みたかった。けれど薬はトランクにあり、トランクはバスの下の荷物入れにあった。途中休憩でトランクを出してくれと言っても、通じないのか無視されたのか、すげなく断られた。その車掌は電話を持ってきた人と違う若い人であまり優しくなく、休憩のときに私がちょっとバスを降りようとするとすぐに、ここじゃないここじゃないと、降りるのを制するのだった。どうやら私をバスの中に縛り付けておきたいらしかった。
バスが走り出して最初の休憩は中華系の店で、おびただしい数の月餅が鮮やかなパッケージに入って並んでいた。ベトナムでも中国商人は幅を利かせているみたいだ。1袋買う。袋はかなりほこりをかぶっている。きっと古いわけではなくて、ほこりがすごいからだろう。袋はかなり大きいのに、中には小さな月餅が4つ入っているだけだった。そのうちの3つを一度に食べてしまった。
