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自然素材の家づくりはどこまでこだわればいいのでしょう?私の個人的な悩み


この数年とても業績を伸ばしている「自然素材」を売りにしました住宅会社があります。

お客様から相談を受けましたもので、その会社の素材をヒアリングさせていただきました。
床のフローリングや壁材などは無垢のフローリングや珪藻土など仕上げ材は自然素材を
使用しておりました。しかし下地や断熱材は人工建材を使用しておりました。

実は私も常々悩んでいることがございます。
どこまで自然素材を追求することが正しいのか?

結論から申せば、私は下地から接着剤に至るまで自然な素材にこだわっております。
例えば、地震力に耐えるために合板をはじめとする面材を使用している会社がありますが、
合板をはじめとする面材は自然なものではありません。
私の個人的な考えですが、このような面材は
「数十年経過しても同じような性能を担保できるのでしょうか?」
「日本のように高温多湿な環境で劣化リスクはないのでしょうか?」
「火事など緊急事態時に強度を担保したり有害な化学物質をだしたりしないのでしょうか?」
という点がいつも頭をよぎります。
もちろん使われている「化学物質」が日常的に身体に与える影響も見逃せない要因ではあります。

1970年頃から急激に使われるようになりました「化学物質」や世の中に広がり始めました「電磁波」は
ひとの身体が、この急激な環境変化についてこれていないのではないかな?と私は思っております。

しぜんな素材、しぜんな家がひとの身体にはしぜんなのではないでしょうか?
というのが私の考えです。

しかしこれは本当にみなさんのためになっているのでしょうか?
この点がいつも私を悩ませます。

地球環境にとりましては私の考えはとてもよいと思います。
お家の中の化学物質や電磁波の影響のない空間という点でも役に立っていることでしょう。
しかしそこまでこだわる必要があるのでしょうか?


費用面もとても大きな要因です。

2015年と比較しますと2024年の材料単価がだいぶ上がっていることもあり、
自然素材にこだわった家づくりにも影を落としております。

一般的に知られておりませんが、業者さんに見積を依頼する際に、
見積には必ず材料費と手間代が掲載されています。
手間代を材料費の〇%とする職人さんは比較的多く存在します。

単純に材料費が20%値上がりしますと、手間代は何も変わらないにもかかわらず、
手間代にも20%上乗せされた金額となります。
100円の商品の手間代が10%で10円だったとしますと、120円に値上がりした商品の
手間代は12円となり、合計で110円だったものが132円となります。
今回は100円という小さな数字ですが、数字でみていただきますとわかりやすいと
思います。
手間は変っていないので、材料の値上がりは仕方ないとして、手間代は以前のまま
になりませんか?とお話ししましても職人さんにご理解いただくことはなかなか難
しい状況です。

お金も非常に大切な要素です。
合板などの面材や人工建材を使用することにより、大工さんお手間を下げることが
できます。単純な作業であればあるほど、また時間が短縮されればされるほど、
手間代を低く抑えることができます。

よいものを少しでも安くみなさまに提供することもとても大切な要素です。

現在の価格帯はこの数年の材料費の値上がりはあるものの、私的には適正価格とは
思っております。
ハウスメーカーの単価と比較すればとても購入しやすい価格帯とは思っております。

※ハウスメーカーの単価は毎年年末に住宅新聞に掲載されますので、参考になさっ
 てください。
 ハウスメーカーの単価を確認する際に注意する点があります。坪単価と平均面積
 をきちんと確認することです。
 平均面積が40坪程度と大きくなればなるほど坪単価は低く抑えられます。
 しかし現実に東京都内などで家を建てる際には30坪程度の家が多くなります。
 坪数が小さくなればなるほど坪単価は高くなります。これは面積に関わらず、
 キッチンや浴室、トイレなど必要な設備は面積が大きくなりましても小さくなり
 ましても必要です。面積が大きくなればなるほど、空間が大きくなるだけですの
 で坪単価が低く抑えられることとなるためです。

価格については、自然素材の工務店さんなどでも注意する点があります。
私が直接相談を受けた内容といたしましては、自然素材をうたう工務店さんから
工事が終了した後に手がでてくる、という点です。

つまり見積時点では〇〇万円で契約をしておきながら、工事期間中に追加工事の
話がでて、断ることもできずに最終的には高いものになってしまう、という点で
す。
私の場合も追加工事が発生することがありますがその際には、追加工事が必要に
なった理由(単にお客様から追加工事の依頼があったという事例が多いです)を
きちんと説明した上で、工事期間中でありましても必ずその工事に入る前に追加
工事の見積を提出し、お客様にご納得いただいた上で工事を進めるようにしてお
ります。
そうすることにより、工事終了時もご納得の上でお支払いをしていただくことが
できます。
私が相談を受けた方の中には、工事途中の追加工事に追加見積はなく、凡その金
額のみを口頭で伝えられるのみで工事終了後に追加変更工事費用を提示され金額
に驚いたというお話もありました。

また自然素材と信じて契約を結んだにもかかわらず、実際には合板が使われてい
たり、想像していた自然素材ではなく人工建材が使われていたなどのお話もあり
ます。

工務店さんからしますと受注できること、収入があることが大切なため、なんとか
契約まではもっていき、最終的にもめてしまうという事例が残念ながら見受けられ
るようです。

私のように最初から素材から費用から工程まで馬鹿正直に伝えてしまうことで間口
を狭めてしまっているという指摘をいただいたこともあります。

しかし家づくりは信頼関係です。嘘や偽りのない、笑顔で進めることが大切と考え
ております。

本日は結論のない話となってしまいましたが、私はやはりしぜんな素材で自然な
暮らしができる家づくりをしていこう思っております。
そのような家づくりに興味のある方はご連絡ください。

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 ひと・すまい・くらし 一級建築設計事務所 
      新井 伸宏
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コメント一覧

hitosumai
追加説明させていただきます。
業績をのばしている自然素材の会社は、仕上げ材に自然素材を使用しており、化学物質も出ていないことをPRしておりますが、残念ながら化学物質を含んだ面材を使用していたり断熱材も人工建材でした。
しかしだからと言いまして購入された方が全員が過敏症になるわけでもありませんし、そのような家づくりが間違っているとは言えません。ただ私は面材や人工建材はしぜんではないなぁ、と思っております。
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