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【#文春オンライン】北朝鮮に“貨物船”を売りさばく、怪しげな韓国企業の実態とは

2020-01-01 19:54:05 | 海外の反応
「わが社の船が北朝鮮企業の手に渡ってしまったことは我々も把握している。しかしこれは機微な情報なので、社内でも知っているのは数名だけだ。いったい君はどこでその情報を入手した?」

制裁を回避するために新設した「北朝鮮ペーパー企業」の存在
 2019年8月20日、私はソウル都心の鍾路区仁寺洞にある船舶企業A社を訪問した。A社はビルの9階のフロアーの半分を占有し、構えも立派だ。ただ、微妙な違和感が漂っている。幹部と思しき年配女性が妙にけばけばしい化粧をし、なぜか社員の机は全て正面入り口方面を向き、窓際に座る幹部が社員全員のコンピューター画面を後方から監視できるようになっている。社員は一言も話さず、どこか普通ではない。

 私はその会社の在来船部門の担当部長のオフィスに、通訳とともに座った。40歳前後、オールバックの髪型の彼は、明らかに苛立っていた。

 A社は複数の船舶を所有・運航する。そのうちの一隻に、ある「バラ積み貨物船」が含まれていた。石炭や鉱石等、梱包されていない貨物を輸送する船だ。

 A社は16年3月、この貨物船を売却し、「Nampho Fishery 社」という企業がこれを購入した。国際海事機関(IMO)のデータベースを見ると、この会社の所在地は北朝鮮の「南浦市臥牛島区」。つまり、北朝鮮企業が韓国企業から貨物船を購入した、ということだ。この北朝鮮企業は当時、IMO船舶データベースに新規登録されたばかりだった。おそらく北朝鮮が海外から船舶を調達する際、制裁を回避するために新設したペーパー企業と思われる。

 同年4月1日にこの船は「Tong San 2号」と改名され、北朝鮮籍の貨物船としてIMOに登録された。その後、この船は自らの位置を示す「自動船舶識別装置」の電波発信スイッチを切り、行方をくらましながら航行するという不自然な動きを示した。

国内法にも抵触する「北朝鮮への貨物船の売却」
 そして17年、ついにこの船が国連制裁違反に利用されていた実態が明らかにされた。6月15日、この船は国連制裁対象品の北朝鮮産石炭を積載して南浦港を出発した後で行方をくらましていたが、やがて8月24日に中国遼寧省営口市の鮁魚圏区の港まで北朝鮮産石炭を運搬していた事実が発覚した。明確な国連制裁違反である。

 この船は10月3日に、国連安全保障理事会1718委員会(北朝鮮制裁担当)により国連制裁対象船舶に指定された。その後、この船は全ての国連加盟国により入港禁止対象に指定されている。

 北朝鮮は最初から制裁違反の取引に利用する目的で、韓国企業からこの船を調達していたと思われる。しかし、韓国の単独制裁により、北朝鮮への貨物船の売却は禁止されており、この船舶売買は明らかに韓国の国内法に抵触している。国連安保理決議も、「(制裁)措置の回避に貢献しうる(中略)資産」の国外移転を禁止しており、この取引は国連制裁違反にも問われるはずだ。

「韓国の警察から捜査を受けたこともない」
 北朝鮮はこれまでにもしばしば、国連制裁違反の前歴がない、履歴が「真っ新」な船舶を何隻も調達してきた。こうした北朝鮮の行為を防ぐには、北朝鮮に協力していた船舶売買の仲介業者を洗い出し、彼らの動きを封じ込める必要がある。それを聞き出すために私はA社を訪問したのだ。別に機密情報を入手したわけではなく、IMOの公開情報をもとに訪問しただけである。

 しかし、A社の担当部長は頑なだった。「あなたの弊社への訪問の目的が理解できない」。最後に彼はこう言い放った。

「わが社は合法的な手続きを経て、あの貨物船を売却した。何も問題ない。韓国の警察から捜査を受けたこともない。だから君に説明する必要などない」

 結局、私と通訳はオフィスから追い出されてしまった。北朝鮮による貨物船の不正調達は、韓国では事件化すらされていない。

韓国企業から北朝鮮に流れていく船舶のゆくえ
 韓国企業が保有する船舶が北朝鮮企業に売却されて、国連制裁違反に利用された事例は他にもある。

 例えば、韓国の船舶会社B社が保有していた石油タンカーが17年1月に正体不明の英国企業に売却された。同年4月末頃、この石油タンカーは「Korea Myongdok Shipping 社」という実態不明の北朝鮮企業に転売され、「Yu Phyong 5号」と改名された。そして11月末、この石油タンカーは国連安保理が禁じている洋上での「瀬取り」を通じて、外国籍タンカーから石油精製品(計約1721トン)を不正に調達していたところをアメリカ政府に探知され、18年3月30日には国連安保理で制裁対象に指定された。同年6月には日本の海上自衛隊も、この石油タンカーによる瀬取りの模様を撮影している。

 奇妙なのは、元の所有者である韓国企業B社だ。IMO船舶データベースではその所在地は「韓国蔚山市」としか登録されておらず、正確な住所がわからない。筆者が入手した韓国の企業登記の情報を見ると、B社は12年時点で社名を変更し、釜山市に移転していた。だが、新しい社名も住所もIMOには報告されていない。B社は先の石油タンカーを16年に購入しているが、本当の社名を用いず、なぜか旧社名でずっと所有・運航していたのだ。

韓国に存在する怪しげな企業の数々
 韓国国内には、国連制裁違反と関係する怪しげな企業が多々存在する。なかには韓国警察が捜査した企業もあるが、韓国政府は何ら捜査結果を公表しないので、果たしてどこまで取り調べや取り締まりが行われたのか不明である。韓国の検察当局が会社の関係者を起訴した場合でも、実名を公表しないので、誰が制裁違反を犯していたのか、わかりようがない。制裁違反に知らずに巻き込まれていた外国企業も少なくないだろう。

 韓国政府には、制裁違反者の情報を公開するよう、国際的な圧力をかける必要がある。

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