JEWEL BOX KDC!!

軽井沢学園を応援する会誌ーストリートパズルより

大人気シリーズのこの投稿。
軽井沢学園のたかねっちは今は副園長先生で頑張っています(^^)

ちなみに今、佐久市文化事業団、鎌倉彫美術館でも
軽井沢学園の子達の撮った写真展をやっていますよ!

http://www.saku-cosmohall.jp/?p=2911

また改めて明日お知らせしますね!



‐園の庭をはきながら‐

VIVA!!SPORT

たかねっち☆

 子どもは風の子元気な子。こんな言葉を聞くことも少なくなりました。遊び場の減少、ゲーム機の普及やネット社会、道路交通の激しさや不審者の問題等、最近では近所のこどもたちが集って外で遊ぶ機会がめっきり減ってしまったように思います。また、こどもの声がうるさいからと保育所建設の反対運動が起きたという報道まで耳にする昨今。これも少子化のあおりなのでしょうか。私は批評家ではありませんので、そのことについて良し悪しを論ずるつもりはありませんが、最近学園のこどもたちを見ていて気づいたことをお話ししたいと思います。

「たかねっち~、外に行ってもいいですか?」
「えっ?雨降ってるんじゃない?」
「大丈夫、もうやんだからっ!」
「はいよ、降ってきたら戻って来てね~」
「は~い」
学園では、最近こんなやり取りが増えたように思います。天気が良ければ外へ出たがる。宿題終われば外へ出たがる。暗くなっても外へ出たがる・・・そうなんです。最近うちの子たちは暇さえあれば外へ出たがるのです。では、外で一体何をしているのかというと、バスケのシュート練習、サッカーのパス練習やキャッチボール。一人黙々と野球の素振りをする子もいます。「部活かっ!?」そう思う程、最近の学園はスポーツの盛んな施設へと変貌しているのです。以前は、休日の晴れた日でも室内でゴロゴロとテレビを観たりゲームをしたりと今どきのこどもだったのですが、何故そんな風に変わったのでしょうか?そこには理由があります。

軽井沢学園には「運動部」なるものがあります。運動部とは、その名のとおりここで暮らすこどもたちが毎週様々な運動をする時間のことを指しますが、運動部と聞くと何だか体育会系の部活のようで、家庭の役割を果たさなければならない児童養護施設には一見ふさわしくないような活動と思われるかもしれません。ところが、この運動部の活動が予想を超えた成果を上げているのです。
 そもそも運動部とは、スポーツ大好き保育士「翔くん」が4年程前にこどもたちの余暇利用の一貫として、隣接する西部小学校校庭や体育館をお借りして始めたことがきっかけです。当時は、活動といっても道具も何もなく、翔くんが自前のボールなどを使って、皆で楽しむレクリエーション的な活動だったのですが、応援する会の皆さんよりお預かりしたサポート会費で少しずつ道具を揃えさせて頂き、今ではボランティアさんも来て下さってフットサルやバスケット、バドミントン等の各種スポーツに留まらず、感覚統合、体幹トレーニング、プライオメトリック等、体育会系の私にも何だかさっぱりわからないような専門的なトレーニング法まで導入しています。
 これらはこどもたちに強制するものではなく全て自由参加なのですが、毎週水曜日に行われる運動部は皆が心待ちにしており、こどもたちにとって楽しく充実した時間となっているようです。

 「楽しんでやること」「仲間のミスを責めないこと」「ふてくされないこと」の最低限のルールを決めて、毎回様々な活動を行っている運動部ですが、体力増進、運動スキル向上などの効果のみならず、普段の生活場面においてもこどもたちの驚きの成長ぶりがみられます。例えば、こんなことがありました。

ある日「ワアーーー!!」というこどもの泣き叫ぶ声が事務室まで響いてきました。私は「おっ喧嘩か?」と思い外へ出てみると小1の男の子が泣きじゃくっており、その周りを小学生4人位が取り囲んでいます。まさか集団でいじめているんじゃないだろうな。そう思い私は理由を尋ねました。すると、一人の子が言いました。「バスケしてたら誰々と誰々で喧嘩が始まってさあ」皆、神妙な顔をしてこちらを見ています。そして、小5の男の子が私に歩み寄って言いました。
「でもたかねっち、大人に入ってもらわなくてもオレたちこども同士で解決するから大丈夫!ちゃんと話し合いで解決するから心配しないで!」
と言いました。「そ、そうですか、じゃあみんなお願いね」そう言って私はすごすごと事務室に戻りました。以前は「アイツが悪い、コイツのせいだ」などと言っては泣きベソかいて職員に助けを求めに来ていた彼らの意外な行動に接し「おお❤なんて大人な対応」そう感心していると、しばらくして先程の男の子が息を切らせて事務室にやって来ました。「たかねっち、無事話し合いで解決しました。じゃ、失礼します」それだけ言って再び外へ戻っていきました。
「・・・・。」私は唖然としてしまいました。

 早速、その一件を運動部顧問の翔くんに報告しました。顧問の話しでは、挨拶や礼儀、思いやりの気持ちや助け合いの精神など、最近のこどもたちの成長ぶりには目を見張るものがあるそうで、率先して職員の手伝いをしてくれた話や、障がいを持った子への優しい接し方、暴力的だった子の行動変化など、嬉しい話がたくさん出て来ます。また、活動中は褒めるなどプラスの言葉掛けに徹し、終了後は毎回全員で車座になり反省会を行って、そこでもこども同士で他者の良かった点(プレー)を讃え合い、皆が良い気分で終われるよう配慮していることも聞くことが出来ました。なるほど。小5男児の言動が少し理解できた気がします。

これらの成長が全て運動部のおかげと言うつもりはありません。日々保育士達の献身的な関わりの努力があってこそのこと。その土台の上に、応援する会皆さんの経済援助により可能となったサッカー、野球など地域のスポーツ活動への積極的参加や、様々な社会体験。これらのことがうまく噛み合って、こどもたちの飛躍的な成長に結びついているのだと信じています。

「どうせボクなんか」「生まれてこなければよかった」などと自己肯定感(自尊心)の低いこどもたちが大勢暮らす児童養護施設において、私たち職員は自己肯定感を高めるための方法をあの手この手で模索していますが、この運動部の活動も有効な試みの一つと言えます。やはりこどもたちには体を使って外で元気に遊ばせることが大切なんですね。

先日、朝ご飯を食べながらの会話です。大リーグのイチロー選手やイタリアセリエAの本田圭佑選手などスーパープレイヤーの契約金や年俸の話しになりました。
こども1「オレ、Jリーガーになって2億円もらったら半分学園に寄付するね」
高根「おっありがとう❤」「たかねっちにもお小遣いちょうだいね」
 こども1「うんいいよ」
こども2「じゃあ俺は、5億円寄付するよ」
高根「お~マジですか❤」
 こども3「オレは、5ひゃく万億円学園にあげる」
 高根「よくわからないけど、超助かります❤」
これで学園も安泰です(笑) 
 
大きな夢を抱きながら、学園の庭では今日もまたボールの弾む音と共にこどもたちの声がこだまします。
おわり
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「メンバーから」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事